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『デカレンジャー』放送から20年 刑事ドラマ由来の「特異な設定」 続編も多く人気のワケは?

マグミクス / 2024年2月15日 7時10分

『デカレンジャー』放送から20年 刑事ドラマ由来の「特異な設定」 続編も多く人気のワケは?

■モチーフは「刑事ドラマ」 怪人の「やっつけ方」にも特徴が?

 本日2月15日は、2004年に「スーパー戦隊シリーズ」第28作目にあたる『特捜戦隊デカレンジャー』が放送開始した日です。今年2024年で20周年を迎えました。今なお続編が製作されるほどの人気作品の功績を振り返ってみましょう。

 本作は「警察」をモチーフにした作品です。東映特撮作品では「宇宙刑事シリーズ」や「レスキューポリスシリーズ」など、警察モチーフ作品は多々ありますが、意外なことにスーパー戦隊シリーズでは本作が初となりました。

 そのためか、刑事ドラマをモチーフにした仕掛けが用意されています。デカレンジャーのメンバーがお互いにあだ名で呼び合う部分がそうでした。これはドラマ『太陽にほえろ!』などからのオマージュでしょう。本作ではあだ名はお茶の名前で統一していました。ちなみに本名の名字は推理作家に由来しています。

 刑事ドラマモチーフで作品に大きく影響した点は、これまでの「悪の組織」と戦う戦隊ではなく、散発的に起きる犯罪事件を捜査するというストーリー展開でしょうか。つまりデカレンジャーは悪の組織と戦うヒーローではなく、地球の治安を守るヒーローだということです。

 そのため、毎回登場する「アリエナイザー」と呼ばれる宇宙犯罪者に、犯罪の斡旋や各種兵器のレンタルを行う武器商人「エージェント・アブレラ」という、シリーズ通しての敵役はいますが、黒幕であっても首領ではないというところがポイントでした。ちなみにアリエナイザーという名前の由来は、脚本の荒川稔久さんが子供のころに「ALIEN」を正しく読めず「ありえん」と読んでいたことに由来するそうです。

 こういった理由からか、従来のシリーズでいうところの怪人や巨大メカの数は多く、放送話数の倍である100は超えると言われています。これは戦隊シリーズのなかでもっとも多い数かもしれません。

 この設定を生かすため、本作では現在の地球(2004年当時)を舞台としながらも、人類が宇宙に進出し、宇宙人が当たり前のように社会にいるという架空世界となっていました。こういった従来の作品になかった、SF刑事ドラマとも言うべき設定が本作の魅力と言えるかもしれません。

 刑事ドラマというと、最後は犯人逮捕で事件解決というのが基本でしょう。しかし、子供向けのヒーロー番組では「怪人を最後に倒す」というのが基本です。そのため、本作は折衷案として「ジャッジメント」というシステムを採用しました。

 凶悪犯であるアリエナイザーを確保したデカレンジャーは、警察手帳にあたる「SPライセンス」をジャッジモードに変形させ、アリエナイザーの名前と罪状を読み上げます。このジャッジメント要請をはるか銀河の彼方の「宇宙最高裁判所」が受理、数秒で判決を下し、デリート許可が出たアリエナイザーをデカレンジャーが倒す……というシステムでした。

 これまでの特撮刑事ヒーローのほとんどは自らの権限で怪人を抹殺していましたが、ここがデカレンジャーでは大きく変わった点と言えるかもしれません。もちろん、無罪になる例もあります。後に明かされた逸話では、宇宙最高裁判所の時間のスピードは地球の200万分の1程度で、地球では数秒程度でも現地では数か月も審議していることが明かされていました。

■TV放送終了後も続編が製作、「夢の共演」も?

「デカレンジャー」に変身するための手帳型のアイテム「SPライセンス」は、怪人の処遇を決定する「ジャッジメントタイム」にも使用された。画像は「SPライセンス -MEMORIAL EDITION-」(バンダイ) (C)東映

 本作の魅力といえば他にもあります。個性豊かなキャラクターたちを演じる俳優陣もその魅力のひとつでしょう。

 熱血漢の主人公「バン」こと赤座伴番/デカレッド(演・載寧龍二さん)、冷静沈着な天才肌の「ホージー」こと戸増宝児/デカブルー(演・林剛史さん)、物腰穏やかで頭脳派の「センちゃん」こと江成仙一/デカグリーン(演・伊藤陽佑さん)、死語好きなクールビューティー「ジャスミン」こと礼紋茉莉花/デカイエロー(演・木下あゆ美さん)、お風呂大好き「ウメコ」こと胡堂小梅/デカピンク(演・菊地美香さん)、追加メンバーである「テツ」こと姶良鉄幹/デカブレイク(演・吉田友一さん)がメインのデカレンジャーとなります。

 これをまとめる地球署の署長である「ボス」ことドギー・クルーガー/デカマスター(声・稲田徹さん)と、地球署のメカニックである白鳥スワン/デカスワン(演・石野真子さん)が本作のレギュラーでした。お気づきと思いますが、レギュラー全員が変身できるというのも本作の特徴でしょう。放送当時は変身メンバーが戦隊シリーズ最多でした。

 高い人気を得た作品で、共演者たちの仲もたいへん良かったと聞いています。それゆえでしょうか、近年に至るまで続編や他作品の出演が多い作品でした。

 直接の続編とも言えるのが、戦隊シリーズ十周年記念作品「10 YEARS AFTERシリーズ」の第2弾として製作された『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』(2015年)です。TV版の10年後が描かれており、TVシリーズのプロデューサーだった塚田英明さんが『科捜研の女』、土田真通さんが『相棒』を担当していたことから、より本格的な刑事ドラマ要素が加えられていました。

『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』(2017年)では、2代目宇宙刑事ギャバンとの共闘が描かれています。この作品でファンが長年望んでいた宇宙刑事との共演が成されました。もっとも、過去のヒーローショーで「宇宙警視総監」となった初代ギャバンとの共演があったそうです。

 この「スペース・スクワッド」というチームは日本版『アベンジャーズ』を目指していたそうで、宇宙刑事以外にも他のメタルヒーローとの共演となりました。『ガールズ・イン・トラブル スペース・スクワッド EPISODE ZERO』(2017年)という女性陣が中心となった前日譚も製作されています。

 さらにこの世界観の延長で、母親となったジャスミンが、他の戦隊ヒロインと共演した作品『ヒーローママ☆リーグ』もありました。この他にも他の戦隊と同じく、前後の戦隊との『戦隊VSシリーズ』や、仮面ライダーとの共演になる『スーパーヒーロー大戦』といった作品にも出演しています。

 20周年にあたる本年2024年には、『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』の上映も6月に決定しました。今後も人気が続く限り「デカレンジャー」の物語は終わりそうにはありません。これからもファンには楽しみなことです。

(加々美利治)

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