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×「忍者」◯「NINJA」の英断…? 30周年『忍者戦隊カクレンジャー』の神演出を見よ

マグミクス / 2024年2月25日 7時50分

×「忍者」◯「NINJA」の英断…? 30周年『忍者戦隊カクレンジャー』の神演出を見よ

■忍者モチーフなのになぜ「アメコミ風」?

 おなじみ日曜朝の「スーパー戦隊」シリーズが、新作の放送を始める季節です。そのシリーズ18作目にあたる『忍者戦隊カクレンジャー』は2024年、放送開始から30周年を迎えました。これを記念したファンミーティングの開催が発表されたり、特別映像が公開されたりと、かつての少年少女たちに向けた企画が目白押しです。6月には東映ビデオより、廉価版DVDコレクション(全2巻)も発売されます。

『カクレンジャー』は戦隊シリーズ初の「忍者モチーフ」という点からしても記念碑的な作品であることは間違いなく、そして単なる「忍者戦隊」という枠を超えた魅力を放ち続けています。果たして『カクレンジャー』の何が凄かったのでしょうか。「主題歌が最高」「バスでクレープ売ってるのが良い」「くノ一組で何かに目覚めた」など諸々あるかと思われるなか、ここは演出面を見ていきましょう。

 当たり前ですが、「忍者」といえば「和」です。ところが、それを逆手に取った演出が冴え渡りまくったのが本作『カクレンジャー』でありました。すでに当時からして、アメリカをはじめとする海外のエンタメシーンでも忍者(NINJA)は人気を博しており、その背景にはケイン・コスギさん(『カクレンジャー』ジライヤ役)の父、ショー・コスギさんが主演した、1981年公開アメリカ映画『燃えよニンジャ』の大ブレイクなどがあります。

 その「NINJA」イメージを逆輸入したかのような演出が、本作では光っているのです。それがわかりやすく反映されたのが、戦闘シーンで用いられるアメリカンコミックス的擬音の数々でしょう。手裏剣を投げれば「SHU! SHU!」、敵を斬れば「SHPAK」のように、戦闘シーンがとにかく楽しいのでした。

 さらに、現代に復活した妖怪たちもまた底抜けに魅力的で、キャラクターデザイナーとして広く知られる篠原保さんらの手によって生み出された、1990年代ストリートカルチャーを下地に再解釈された「カッパ」や、「ヌリカベ」らのデザイン、そして着ぐるみの造形力は本当に美しいのです。

 こうした敢えてのアメリカン演出もさることながら、純粋に「カクレンジャーを観ているなあ」としみじみ実感させてくれるのは、第一部登場の三遊亭圓丈師匠演じる「講釈師のおじさん」ではないでしょうか。メガネに桃色の着物、甲高い声が今でも記憶に刻まれている方も多いでしょう。「劇中」世界に片足だけ突っ込んだような不思議な立ち位置で、「あらすじ」や「妖怪の解説」をしてくれるおじさんの存在はますます『カクレンジャー』を楽しいものにしてくれたのでした。(圓丈師匠は2021年に他界。もしご存命だったなら30周年企画にご登場されていたかもしれない、思わずそう考えてしまいます)。

 初の忍者戦隊でありながら、忍者らしからぬ演出が冴え渡った『カクレンジャー』。こうしてみるとなんだか「忍者戦隊」というよりは「NINJA戦隊」だったのでは、と思えなくもありません。いずれにせよ本来、忍ばなくてはならない忍者というモチーフと、赤、青、黄という派手な色分けがなされる戦隊シリーズの、拮抗する両者の落とし所として最高の演出がなされたのではないでしょうか。

(片野)

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