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混乱が深まる「マチ★アソビ」に何が起こった? 「唯一無二」だったイベントの今後に懸念

マグミクス / 2024年2月24日 21時10分

混乱が深まる「マチ★アソビ」に何が起こった? 「唯一無二」だったイベントの今後に懸念

■町と一体となったアニメ&ゲームイベント

 2009年から徳島県で開催されてきたアニメとゲームの総合イベント「マチ★アソビ」が、「2024年春の開催が困難」と報道され、アニメファンの間に波紋が広がっています。地方でのイベントにもかかわらず、2018年には8万4千人が来場するほど大きな人気を集めていました。「マチ★アソビ」に何が起こっているのか、イベント開催の経緯から絡めて説明します。

 街中を多くの来場者や著名なクリエイターに声優、コスプレイヤーが歩き回り、半田そうめんなどの徳島の名産品を食べてはイベントや出展物を見て回る。街とコンテンツ、参加者が一体となった光景を見ることができた、奇跡のようなイベントが「マチ★アソビ」です。

 2009年にスタートし、開催形式や時期を変えながら、5月と10月の年2回開催が定着してきました。新型コロナウイルスによる中断をはさみながらも、2023年に再開にこぎつけました。にもかかわらず、2024年5月の開催が不透明……と言うよりも、難しい状況となっています。

 もともと「マチ★アソビ」は『鬼滅の刃』や『空の境界(からのきょうかい)』、「Fate」シリーズなど、高品質なアニメを制作することで知られるアニメスタジオ「ufotable」の 徳島スタジオが企画・プロデュースし、徳島県が支援する形のイベントでした。特に秋の開催では徳島県の「アニメ映画祭実行委員会」が主催に入っており、民間企業と行政がタッグを組む形での運営が行われていたのです。

 しかしながら2023年に県知事が飯泉嘉門氏から後藤田正純氏へと交代してから状況に変化が起こります。イベント開催の方針が変更され、県が入札を行う形で運営企業を決めるという「委託事業」になると発表されたのです。

 当初は入札の準備が間に合わないので2024年の春には開催しないとされていましたが、2月20日に後藤田知事から「民間主導で開催して欲しい。まだまだ間に合うと思います」との発言があり、さらに21日には「春も事業者を募って準備を進める」と発表され、関係者や全国のアニメファンが困惑する事態を招いています。

 多くの企業やキャストが参加するイベントは準備や調整に時間がかかるため、2か月半の準備期間では、実質的に開催は不可能とみられています。さらに、知事からはゴールデンウイーク期間中に別のイベントで使用するはずの藍場浜公園を「貸し出す」との発言もあり、混乱が深まっている……というのが現在の状況です。

■徳島県にも大きな「経済効果」があった

 2018年秋に開催された「マチ★アソビ vol.19」の徳島県内への経済波及効果は、約7億3000万だったと発表されています。県側からの支出は14年間で8億円、毎年8千万円と後藤田知事は語っており、平均すると1回あたりの支出は4000万円となります。徳島県としても、大きな利益を生む事業と言えるでしょう。

 しかしながら「マチ★アソビ」というイベントはufotable代表の近藤光氏の協力なくしては語れません。アニメ業界に多くの人脈を持つ近藤氏が声をかけたからこそ参加を決めた関係者も多いと考えられます。残念なことに近藤氏は「脱税問題」の影響で、現在は「マチ★アソビ」の運営から離れていますが、関係者の尽力もありコロナ禍の影響を受けながらも開催が続けられてきました。

 仮に「入札」によって広告代理店などが運営に参加したとして、過去に参加を決めた会社やスタッフが、喜んで参加するかどうか。この点について筆者は疑問に感じています。

 理由としては簡単で、もっと人が多い地域のイベントに参加した方が、実入りがいいからです。アニメやゲーム事業を手掛ける会社や個人の活動場所は、都心近郊に集中しています。徳島でのイベントに参加するには、準備段階でも本番段階でも都心のイベントより日数やコストがかかります。都心でのイベントでは、その分のコストを出展内容に反映させることができ、参加者の多さもふまえれば、より大きな利益を得られると考えるのが自然です。

 それでも多くの企業やスタッフが「マチ★アソビ」に参加してきたのは、イベント自体の認知度が高かったこと、そして街とイベントが一体化して開催されるという、他のイベントにはない独自性があったからではないでしょうか。

 地方でイベントを開催する際は、大都市のイベントと同じ方向性では意味がありません。単に内容や規模が縮小したイベントが地方で開催される……という形になってしまうからです。多くの街がアニメでの町おこしを試みていますが、成功する取り組み、さらに長く定着する取り組みはそれほど多くありません。全国でも類を見ない、地方での成功例と言える「マチ★アソビ」の価値は、かけがえのないもだったのです。

(早川清一朗)

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