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スーファミ版『ストII』発売に歓喜! ゲーセンでは灰皿が投げつけられたことも…

マグミクス / 2020年6月10日 17時10分

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■待望の家庭用『ストリートファイターII』

 1992年6月10日、カプコンからスーパーファミコン版『ストリートファイターII』(以下、ストII)が発売されました。アーケード版と比較するとグラフィックや音のクオリティは劣るものの、プレイ感は可能な限り忠実に移植されており、ゲームセンターでのプレイは難しかった小中学生中心に爆発的な人気を博し、スーパーファミコン歴代5位となる国内288万本を売り上げました。アーケード版をプレイしているときに何度も危ない目にあった経験から、家庭用ゲーム機で『ストII』を待ち望んでいたライターの早川清一朗さんが当時の記憶を語ります。

* * *

 あの日の放課後、筆者は『ストII』を予約していたファミコンショップに向けて、全力で自転車を漕いでいました。

 1991年に発売されたアーケード版『ストII』は対戦格闘ゲームと言う新たな文化を生み出し、熱狂的なゲーマーたちが対戦台に列を作っていました。筆者もそのうちのひとりだったのです。

 しかしながら、アーケード版の多くは対戦台と呼ばれる2台の筐体を向かい合わせにしたタイプで、ひとりでじっくり練習するチャンスはめったにありませんでした。さらには、当時のゲームセンターはあまり治安が良くない場所で、対戦で負けた相手が灰皿を投げつけてきたり、暴力をふるってきたりするのは日常茶飯事でした。対戦中に相手側が不穏な空気を醸し出している場合は、接戦を演じてわざと負けてさっさと逃げ出すということもありました。

 スーパーファミコン版の発売当時、アーケードでは既に第2作となる『ストリートファイターII’(ダッシュ)』(以下、ストII ‘)が主流となってはいましたが、それでも安全に、いくらでもプレイできる家庭用『ストⅡ』は多くの人から待ち望まれていた存在だったのです。

 息を切らせてファミコンショップに到着した筆者は、周囲を見渡しカツアゲを仕掛けてきそうな人間がいないのを確認すると店に駆け込み、店の奥に大量に用意されていた『ストII』を受け取って、自分の到着を待っている友人の家に向かって再び自転車を走らせたのです。

■最初からあきらめていた、公式全国大会

『STREET FIGHTER V CHAMPION EDITION』(カプコン)

 そうしてプレイを開始した『ストII』は、アーケードよりもハードスペックで劣るスーパーファミコンとしては、おそらく限界に近い移植がなされているように思えました。

 グラフィックパターンが減っていたり一部の音が変更されていたりはしたものの、基本的な動きはアーケード版を踏襲しており、あくまでも筆者のレベルでは強い違和感を覚えることはありませんでした。当時は春麗を使用していましたが、アーケード版で苦しめられたダルシムの中パンチ投げハメを抜けやすくなっておりだいぶ楽に戦えたので、「アーケードでもこうだったらなあ」と少々残念にも感じていました。また、『ストII ‘』で大幅に弱体化されていた龍星落(空中投げ)の間合いが広かったため、竜巻旋風脚など宙に浮いているものをなんでもかんでも投げまくっては友人を驚かせていたことを思い出します。

 そんなある日のこと、『ストII』の公式全国大会が開催されるという知らせがもたらされました。すでにアーケード版では、ゲーム雑誌「ゲーメスト」が主催する大会が開かれていましたが、家庭用ではこれが初めてだったのです。それなりに腕に自信があったので出場するか迷いましたが、地域大会を勝ち抜いて決勝に進んだ場合、出場費用が必要になる点が壁になっていました。

 決勝大会が行われるのは両国国技館。当時、筆者は地方都市に住んでいたので交通費や食費、最悪宿泊費も必要になります。親からゲームをするのは反対されていたので、支援など期待できるはずもありません。「勝っても全国大会行けないなら、地域予選に出てもしょうがないよな」そう思い、大会そのものを諦めた筆者でしたが、ある日、普段一緒に『ストII』をプレイしていた仲間から「地域予選出たけど準優勝だった」と聞かされ、大きなショックを味わうことになりました。

 なぜなら、筆者はその仲間に負けたことがなかったからです。出たら高い確率で全国大会に行けた。お金のことはどうにかなったかもしれない。この無念さは、30年近くが経過しても未だに消えることはありません。

 そしてつい最近、友人のひとりが、筆者を遥かに超える無念を抱えていたことを知りました。彼は北海道で実際に地域予選を勝ち抜いたのですが、やはり費用がネックになり、国技館を断念していたのです。それも、2年連続で。

 筆者も友人も、既に対戦格闘から引退して久しく、再び戦うことはできません。試してみましたがまったく手が付いてきませんでした。

 近年では『ストリートファイターV CHAMPION EDITION』がeスポーツのタイトルとしてプレイされており、ベテランも若手も切磋琢磨し数々の名勝負を繰り広げています。あの頃どこにでもいた対戦格闘ゲーム好きのひとりとして応援すると共に、自分があの場にいないことを、とても残念に思っています。

(ライター 早川清一朗)

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