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『ガンバの冒険』アニメ史上最悪の「ノロイ」に恐怖 45年経っても心に住む仲間たち

マグミクス / 2020年6月11日 8時10分

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■旅はもうこれまでだ

 2020年6月12日(金)から7月5日(日)にかけて、TVアニメ『ガンバの冒険』45周年記念の展示会が池袋マルイ7Fで開催されます。ガンバと仲間たち、7匹の勇敢なネズミがアニメ史上最高のラスボスとも言われるノロイ率いるイタチの軍団に立ち向かうスト―リーは当時の子供たちを熱狂させ、今なお高い人気を誇る作品です。幼い頃から何度も『ガンバの冒険』(以下、ガンバ)を見てきたライターの早川清一朗さんが、記憶をたどります。

* * *

『ガンバ』と聞いて真っ先にノロイを思い出す方は、非常に多いのではないでしょうか。ノロイがTVの中から発する恐怖は、ガンバたちがどれだけ勇敢に戦ったところで、勝ち目なんてあるわけがないと思わせるほど圧倒的なものでした。ノロイは、強くて頭が良くカリスマ性があり、多くの手下を従える「最強の悪」としての風格にあふれていたのです。また、声優を務めた故・大塚周夫氏の演技力の高さも、ノロイの存在感を増す大きな力となっていました。

 特にエンディングテーマでは、陰鬱なメロディーと絶望を感じさせる歌詞が流れ、ラストに立ちはだかるノロイの姿が登場し、視聴者である子供たちを威圧します。1匹の動物をこれほど強大に描き切った制作スタッフの力量には恐れ入るばかりです。

 そんなノロイと戦う勇敢なネズミたちが、主人公であるガンバと仲間たちです。 主人公のガンバを演じたのは野沢雅子さん。勇敢でけんかっ早いが仲間思いで、ノロイの島から脱出してきた忠太の頼みでノロイと戦うことを決意します。他にもボーボ、ヨイショ、ガクシャ、シジンと個性あふれるネズミたちが集結しますが、なかでも筆者が一番気に入っているのがイカサマです。

 しばしば皮肉を口にするシニカルなキャラクターですが、義侠心に厚く、肌身離さず持ち歩いているふたつのサイコロを駆使して戦う姿や、時にサイコロ占いで皆の背を押すなど、しばしばストーリーの鍵となる活躍を見せてくれました。

■原作では15匹いた仲間たち

原作小説『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』(岩波書店)

 さて、そんな『ガンバの冒険』ですが、原作小説として斎藤惇夫氏の著作、『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』(アリス館牧新社、のち岩波書店)が存在しており、筆者も中学生時代に図書館で読んだ記憶があります。

 ガンバと仲間たちがノロイを倒しに行くという基本軸は変わりませんが、仲間が15匹いるのは多すぎるという理由で、アニメでは複数のキャラの役割が統合され、ガンバも含めて7匹に減らされています。確かに16匹もネズミがいたら、個性を出すのも画面に収めるのも難しいでしょうし、妥当な判断だったのではないでしょうか。

 TVアニメ版ではガンバと仲間たちは犠牲を出さずに無事にノロイを倒すことができましたが、原作ではノロイ軍団との激戦の中で、数匹が戦死しています。特にアニメでも登場し、いつものんきな発言で場を和ませていたボーボが死んでしまうシーンには、大きなショックを受けたのをよく覚えています。

 あれからもう随分と時間が経ちました。本放送からは45年、再放送を繰り返し見ていた筆者も、おそらく最後に『ガンバ』を見たのは30年以上前になるでしょう。

 それでも、ガンバのキャラクターたちの顔を見れば、すぐに彼らの声が脳裏に浮かんできます。ガンバを見ているというよりも、彼らは子供の頃の筆者の一部になっているのです。45年も経ってから展覧会が開かれるということは、おそらく、筆者と同様に心のなかにガンバたちを住まわせている方々が、大勢いたということでしょう。

「ガンバの冒険45周年展」では、当時の貴重な資料が展示されるほか、15人のクリエイターが描いたコラボイラストなども展示されています。

 そしてキービジュアルでは、おいしそうなご馳走を抱えたガンバたちが笑顔を浮かべています。ノロイとの戦いで飢えに苦しめられたガンバたちには、全てが終わった後、おいしいものをたくさん食べられたのでしょうか。筆者はそうであることを願っています。

(早川清一朗)

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