父親が強烈すぎる「父子アニメ」3選 そして気になる宮崎監督親子の逸話も…

マグミクス / 2020年6月21日 9時10分

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■ガンコ親父といえば、『巨人の星』の星一徹

 父と子の関係性をテーマにした作品は、古今東西いろいろとあります。アニメーションの世界も、例外ではありません。2020年6月21日(日)は「父の日」ということで、強烈な父子関係が描かれたアニメーション作品3本とDVD化されたドキュメンタリー番組を紹介します。

「昭和のガンコ親父」を代表するキャラクターといえば、1968年~1971年に日本テレビ系で放映された野球アニメ『巨人の星』の星一徹(CV:加藤精三)です。巨人軍の内野手だった星一徹は、息子の飛雄馬(CV:古谷徹)を一流の野球選手に育てることを生きがいとしています。もともとは右利きだった飛雄馬を、投手として有利な左利きに変えさせるなどのスパルタ教育を施します。

 飛雄馬は子供の頃、「大リーグ養成ギブス」と名付けられた全身エキスパンダーを装着させられていました。「バネに肉が挟まったら痛いだろうなぁ」と、飛雄馬の身の上を心配した人も多いのではないでしょうか。

 一徹といえば、ちゃぶ台をひっくり返すことでも有名です。今なら「DVだ」「毒親だ」と騒がれそうな一徹ですが、飛雄馬とは深い野球愛で結ばれていました。第10話「日本一の父 一徹」では、名門私立高校に息子を入学させるために懸命に働く一徹のことを、「僕の父は日本一の日雇い人夫ですッ」と飛雄馬は高校入試の面接官に誇らしげに語りました。

 大人になって見直すと、一徹が元巨人軍というプライドをかなぐり捨て、家族のために黙々と工事現場で働く姿に、涙腺を刺激されてしまいます。

■息子に冷たい『エヴァ』の碇ゲンドウ

 男の子にとっては、父親は乗り越えるべき最大のライバルとも言われますが、父と子との壮絶な葛藤によって世界が滅亡の危機に瀕してしまうのが、1995年~1996年にテレビ東京系で放映されたSFアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』です。

 14歳になる少年・碇シンジ(CV:緒方恵美)は、父親である碇ゲンドウ(CV:立木文彦)に命じられ、EVA初号機に搭乗します。父親の期待に応えようと努めるシンジですが、ゲンドウはシンジには冷たく、亡くなったシンジの母・ユイへの想いに囚われ続けています。EVA零号機に乗る綾波レイ(CV:林原めぐみ)の正体が分かった時は衝撃的でした。

 子供の頃は、親は無条件で自分を保護してくれる大人だと思っていたのですが、自分自身が大人になると親も試行錯誤を重ねていたことが分かります。親や大人の言うことに従っていれば安心。そんな時代はすでに終ったことを、『エヴァ』 は気づかせてくれたように思います。

■『美味しんぼ』の海原雄山は、いいおじいちゃんに!?

『美味しんぼ』 画像はBlu-ray BOX2(バップ)

 現在も続くグルメブームの火付け役となったのが、大ロングセラーコミック『美味しんぼ』です。TVアニメ版は、1988年~1992年に日本テレビ系で放映されました。『美味しんぼ』も父と子の闘いの物語です。

 東西新聞に勤める山岡士郎(CV:井上和彦)は、新入社員の栗田よう子(CV:荘真由美)と100周年記念事業「究極のメニュー」づくりを担当します。ところが、ライバル社の企画「至高のメニュー」は、士郎の実の父親で、陶芸家である海原雄山(CV:大塚周夫)が監修することに。父と子で、激しい料理バトルが繰り広げられます。

 幼い頃の士郎には、雄山は芸術に打ち込むあまり家庭をないがしろにしているように映っていました。母親が病死したのは雄山のせいだと、士郎は憎んでいます。アニメ版は途中で終わったものの、原作の第47巻で士郎とゆう子は結婚し、披露宴に雄山は出席します。さらに第76巻では士郎とゆう子の間に生まれた赤ちゃんを、雄山は抱っこすることになります。父と子の関係性は、お互いの成長によって大きく変わってくるようです。

 佐藤浩市さん主演で『美味しんぼ』は、1996年に実写映画化されています。雄山を演じたのは、佐藤さんの実の父親である三國連太郎さんでした。佐藤さんと三國さんとの間には、『美味しんぼ』さながらの確執があったことが知られていますが、実写版『美味しんぼ』は佐藤さんが三國さんと親子共演を果たした数少ない作品となっています。

■新作『アーヤと魔女』が期待される宮崎吾朗監督

 宮崎駿監督と長男・吾朗監督との関係も、ファンには気になるところではないでしょうか。2011年にNHK総合で放映されたドキュメンタリー番組『ふたり コクリコ坂・父と子の300日戦争』は、周囲がハラハラする宮崎駿・吾朗監督の関係性を密着取材したものです。

 宮崎吾朗監督は信州大学卒業後、建築業界へと進み、「三鷹の森ジブリ美術館」の総合デザインを手がけるなど、環境デザイナーとして才能を発揮していました。しかし、鈴木敏夫プロデューサーに誘われ、『ゲド戦記』(2006年)でアニメーション監督に挑みます。天才アニメーターである父親と比較されることを覚悟した上での、監督デビューでした。

 息子が監督業に挑戦することに大反対した宮崎駿監督ですが、『コクリコ坂』(2011年)の制作現場では的確なアドバイスを与えています。父親の介入を嫌っていた吾朗監督も、客観的に判断し、作品にプラスになることは受け入れます。口ではお互いをディスりながらも、作品づくりを通して繋がっていることが、『父と子の300日戦争』からは感じられます。

 宮崎吾朗監督が手掛ける作品は2014年にNHK BSで放映された『山賊の娘ローニャ』に続いて、2020年冬に新作『アーヤと魔女』がNHK総合でオンエアされる予定です。施設で育った少女アーヤが、いじわるな魔女たちと暮らす物語です。たくましいアーヤが、親代わりとなる魔女たちをうまくコントロールしていく過程を、原作小説ではユーモラスに描いています。父・宮崎駿の影響下から脱した作品となるのか、それとも企画者である父親とがっちりタッグを組んだ作品になるのか。注目の作品です。

(長野辰次)

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