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3DSを持つ手が震えた『FEif』 プレイヤーを揺さぶり続ける"選択"と"葛藤"

マグミクス / 2020年6月25日 17時10分

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■ニンテンドー3DSを持つ両手にじんわりと汗

 5年前の6月25日。筆者はニンテンドー3DSを持つ両手にじんわりと汗をかきながら、モニターに映った選択肢をしばらくの間、眺めることしかできませんでした。というのも、この日発売された『ファイアーエムブレムif』は、”作中に生きる人々の命運”が、筆者を含む全プレイヤーの手に委ねられていたからです。

 本作は、任天堂が30年近くにわたって送る「ファイアーエムブレム」(以下「FE」)シリーズの流れを汲んだシミュレーションRPG。2012年発売の『ファイアーエムブレム 覚醒』(以下『FE 覚醒』)に続くシリーズ14作目として、「FE」生誕25周年という節目を飾った記念すべきタイトルです。

 本作で描かれたのは、世界を揺るがす「白夜王国」と「暗夜王国」の衝突。そして、戦争を通してプレイヤー自身へ投げかけられる”選択”と”葛藤”。プレイヤーは竜の血を引く主人公「カムイ」(デフォルトネーム)として、2大国家のどちらに味方をするのか、重大な決断を迫られます。ストーリー序盤で分岐した後はもう一方の軍勢に味方することはできず、旗色を示した国家に属して物語が進行します。

 一方で基本的なゲームシステムを見ると、シリーズ伝統のテイストを踏襲しつつ、前作から一歩押し進めたユーザーの棲み分けに重きが置かれていました。「白夜王国編」はストーリー戦以外での戦闘イベントが存在するため、自由にキャラクターの育成を楽しむことができる一方、「暗夜王国編」は経験値を積む機会が限られており、一手ずつ慎重なプレイングが求められます。

 加えて、「FE」特有の”キャラクターロスト”(死亡すると二度と復活しない)を気にすることなくプレイ可能な「フェニックスモード」が本作より実装。こちらの導入により、シリーズ作品に慣れていない初心者でも、キャラクターの永久退場を臆することなく攻略に臨めました。

 そのほか、キャラクター同士の信頼関係が戦闘に恩恵を与える「支援会話」。前作で復活を果たし、本作にも取り入れられたシリーズ伝統の「結婚」など、おなじみの要素は変わらず健在。随所に変更点は見られますが、『FE 覚醒』の評価を受け、順当に作りあげられていたように思います。

■責任感を伴う決断の連続

『ファイアーエムブレムif 暗夜王国』(任天堂)

 とはいえ、本作を『ファイアーエムブレムif』たらしめるのは何より物語。それもプレイヤー自身が織りなす、責任を伴う決断にあるのではないでしょうか。

 前述の通り、世界の行く末は第6章「その手が拓く未来」にて完全に分岐します。

 ここで問題となるのが、主人公の複雑な境遇です。彼(彼女)は白夜王国で生まれた由緒正しき王族。しかし、幼少期に暗夜王「ガロン」にさらわれた主人公は以後、記憶を失くしたまま暗夜王国にて成長します。

 序章こそ、暗夜王国の王族として振る舞う主人公でしたが、とあるイベントによって本当の出自を知ることに。ここから先は、プレイヤー選択に応じて環境が大きく変わります。

 血を分けた家族の住まう白夜王国を救うのか。それとも、血脈はなくとも長き時間を過ごした暗夜王国を選ぶのか。どちらを選んだにせよ、両国の人々がプレイヤーへ向ける眼差しは一変します。

 かつての同胞に対してやむを得ず刃を向ける者もいれば、裏切りにあっても情に駆られ、なんとか自国へ引き戻そうと説得を試みる者、吹っ切れたといわんばかりに、主人公に対して憎しみを露わにする者等々……。なかには敵国にいる主人公を慕い続ける、一途なキャラクターも存在します。ネタバレを避けるため名言しませんが、作中のイベントひとつ取っても、プレイヤーの良心と選択を常に揺さぶり続けるでしょう。

「あの時の行動は本当に正しかったのか」、「もし、あそこで選択を変えていたら……」と、作中を通して現実さながらに「もしも」を想起させる『ファイアーエムブレムif』。最後は暗夜王国の第一王子「マークス」のセリフを引用し、本作の世界観の一端に触れた上で擱筆とさせていただきます。

「この世界に、もしもの話は無い…選んでしまった道は、変えることができない…」

「自分の選んだ道を…正しいと信じて…進むしかないんだ…」

(龍田優貴)

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