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回転ギミックが忘れられない『キャメルトライ』 超絶テクニックに心が燃えた思い出

マグミクス / 2020年6月26日 18時10分

写真

■コース全体を回す映像に心を奪われる

 テレビ番組や映画のワンシーン、文庫本の挿絵やその他もろもろ、幼い頃に見た光景が大人になるまでずっと残り続けている……。そんな体験に覚えのある方は、意外と多いのではないでしょうか。筆者の場合、小学生の頃に親戚宅でふと見かけたスーパーファミコン(以下SFC)用ソフト『キャメルトライ』がまさに当てはまります。コース全体をぐるんと回すユニークな映像に、ひと目見るだけで心を奪われました。

 本作は1990年4月にアーケードゲームとして稼働をはじめ、その後X68000版(1991年9月)やSFC版(1992年6月)、FM TOWNS版(1994年11月)など、さまざまな機種へ移植されたパズルアクションゲームです。”キャメル”の通りラクダをあしらったタイトルロゴ。空中に浮かぶ鈍い光沢をまとったガラス玉。そして茶色の瞳を大きく見開いたラクダのイラスト。そのどこかアラビアンなメインイメージに、事前知識のなかった筆者は「砂漠を舞台にしたアクションゲーム」と勘違いしていましたが、遊び始めてすぐに回転ギミックのとりこになりました。

 本作の目的は単純明快で、いたって普通のボールを各コースのゴール地点まで導くというもの。しかし、プレイヤーが動かすのはボールではなく、舞台となっている”コース”の方です。

 コントローラーのLRボタン(アーケード版は専用パドル)を押し込むと、コースがグルっと回転。するとコースの傾きや重力に従い、ボールが勝手に動き出します。そのほか、Aボタン押下によるジャンプとAボタン長押し時のスピードアップも重要。迷路のように入り組んだコースを「ああでもない、こうでもない」と傾け、タイムアップ前になんとかゴールへ駆け込む。仕組み自体はシンプルながら、指先に全神経を集中させるコントロール力と、各コースを覚える記憶力が求められました。

 1990年初頭にボールを取り扱うアクションゲームと言えば、既にアタリ社の『マーブルマッドネス』(1984年)が稼働していましたが、『キャメルトライ』は”コースそのもの”に働きかけるゲームシステムを採用していた点で非常に画期的だったのではないでしょうか。

■凄腕プレイヤーのテクニックに熱くなった

 そんな『キャメルトライ』との出会いからしばらくの後、何気なく視聴していた動画サイトにて本作のプレイ映像を発見。トレーニング・ビギナーと進み、エキスパート難易度の辺りで挫折したSFC版の記憶が、たまたま見かけた凄腕プレイヤーの技巧によって奮い立つのが分かりました。

 というのも、本作には時間内にゴールまで辿り着く以上の”やりこみ度”が隠されていたからです。そこには普通にコースクリアを目指す以上の、「何がなんでも他者を上回る最速クリアを目指したい」という、プレイヤーの飽くなき挑戦が現れています。

 上級者にもなると、残り時間が減少する×印ブロックを避けるのはもちろん、当たるとピンボールのように跳ね返ってしまうピンやバンパーもスルスルと避けていきます。加えて特筆すべきは、とあるコースをほぼノータイムでクリアできる「釘抜け」テクニック。ボールの当たり判定を抑える禁じ手に近い裏技ですが、成功を目の当たりにした瞬間、自然と感嘆の声がもれました。

 グルグルと目まぐるしく回すより、一点突破できそうなルートを見つけてサッとコースを傾ける。または壁にボールを接地させたまま、転がり落ちる勢いを利用してゴールまでの到達タイムを縮める。こうしたテクニックの数々や画面のインパクトを見ることで、十数年越しに本作が秘めるポテンシャルを再確認するに至ったのです。

 最新作やダウンロード配信の知らせもなく、リメイク版もiOS用アプリ(2009年)を最後に情報が途絶えている『キャメルトライ』。今のところ本作の新展開が耳に入る予定はなさそうですが、あの画面を見るだけで吸い込まれそうな回転ギミックは、この先も脳裏から消えそうにありません。

(龍田優貴)

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