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高い難易度の『デジタル・デビル物語 女神転生』悪魔を仲間にするという背徳的な快感

マグミクス / 2020年9月11日 17時10分

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■「女神転生」シリーズ第一作

 1987年9月11日は、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)からファミコン用カセット『デジタル・デビル物語 女神転生』(以下、女神転生)が発売された日です。その後膨大な作品群が発売された「女神転生」シリーズの記念すべき第一作で、悪魔の召喚や合体、パーティバトルなど、基本的なシステムは本作の時点で確立されていました。あまりの難しさに投げ出しそうになりながらも、攻略本に頼ってどうにかクリアしたライターの早川清一朗さんが当時を回想します。

* * *

 最初に『女神転生』の存在を知ったのは、ファミコン雑誌のどれかだったと思います。原作は小説で、アニメがあって、悪魔を呼び出して一緒に戦うという情報が書かれていたような記憶があります。

 この時代、悪魔を味方にして戦うという発想は、ファミコン少年たちにとってはまだ斬新なものでした。現代のように「女神転生」シリーズが大量に作られ、「ポケットモンスター」シリーズや「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズなどモンスターを味方にして戦うゲームが当たり前に遊ばれている状況からは想像できないかもしれませんが、悪魔やモンスターは倒すだけの存在だったのです。

 面白いゲームをたくさん作っているナムコが、またすごいものを出してきたに違いない。当然興味を惹かれましたが、残念ながら子供の身ではそう簡単にカセットを買うことはできません。欲しいカセットがあるならば、親にねだるか小遣いを少しずつためておくか、お年玉に頼るほかありませんでした。

 そして1987年には、『女神転生』にとって恐るべき強敵が控えていたのです。それは社会的ブームを巻き起こした『ドラゴンクエストIII』(以下、ドラクエIII)でした。当初、『ドラクエIII』は12月発売予定となっており、運が良ければクリスマスプレゼントとしてねだることもできますが、無理な場合に備え、小遣いを貯めておく必要がありました。熟慮の末、『女神転生』は見送ることにしたのです。

■こんごとも よろしく……

 その後、『ドラクエIII』の発売が1988年2月に延期されると発表されたあとも、『女神転生』にはなかなか手が伸びませんでした。そう、値下げ待ちフェーズに入ってしまっていたのです。「もう少し待てば安く手に入るかもしれない」「高いうちに買いたくない」そのような発想に陥った筆者が『女神転生』を購入したのは、確か翌年の夏休みのことでした。

 そうして『女神転生』のプレイを始めてみたのですが、悪魔を仲間にするという背徳的な快感と、悪魔を合体させて新たな「仲魔」を手に入れる仕組みの面白さはいままでに感じたことがないものでした。ただ、仲魔たちを連れ歩くのに必要なマグネタイトの確保は常に厳しく、マグネタイトが減らないガネーシャ・ウォンロン・クリシュナの組み合わせをそろえるまでは、大分苦労させられました。

 また、オートマッピングなど存在しなかったので、攻略本とは別に方眼紙を用いたマッピングを行い、丹念な探索が必要となったので、なかなか攻略が進まずに正直投げ出そうとした記憶があります。

 しかし良質のBGMと、まだ見ぬ悪魔や仲魔を手にしたいという欲求に支えられ、どうにかこうにかクリアしたときの感動は忘れられません。特にBGMについては後でファミコン8台を使用して多重録音が行われていたことを知り、その力の入れようには驚かされました。

 正直色々と難しい点があり攻略は大変なタイトルでしたが、それ以上に魅力ある世界観やシステムを作り上げていたことが、後のシリーズにつながっていったことは間違いないでしょう。

 あと、主人公のナカジマが使っている「COMP」、つまりコンピュータについて、果たしてこの時代に外で使えるものがあるのか調べたのですが、1986年には東芝から日本語が表示可能なJ-3100というラップトップPCが発売されていたので、電源さえ何とかすれば、一応持ち運び可能だったことはわかりました。ただし重量は7.5キロあるので、かなりの負担となったでしょう。

 ちなみに、初期の悪魔召喚プログラムの容量は10MBなのだそうです。テラやギガではないところに時代を感じますが、悪魔を召喚し世界を破滅に導くプログラムを、たった10MBに収めたそのコードを一度見てみたい気がします。

(ライター 早川清一朗)

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