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尻尾で分かる猫の気持ち もし人間の感情も目に見えたら、世界は…?

マグミクス / 2020年9月17日 16時10分

写真

■感情豊かな猫の尻尾 もし人間にあったら…

 漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。

 迷子さんの愛猫は、うまくマッサージをしてやると尻尾の先を動かして「気持ちがいい」サインを出してくれます。猫のように、人間も尻尾で気持ちが分かるようになったら、どんな社会に……?

* * *

 猫マッサージ屋(※暇そうにしている猫を拾ってきてソファなど自分の隣に配置し猫が眠りに落ちるまで猫をマッサージする仕事)として日々活動している身なのだが、業務をこなすなかで、ひとつの成功の指標にしていることがある。

「猫がごろごろ言いながら、尻尾のさきっちょだけをゆっくりくねくね動かす」これが発生したらマッサージ成功だ。

 猫の尻尾は感情豊かだ。ゆらゆら大きくくねらせて近寄ってくる。足の間にくるりと入れ込んで小さくなっている。前足を器用に隠している。びっくりするほど膨らんでいる。もちろん個猫によって何を表しているか細かくは違うのだろうが、大体の機嫌の傾向くらいは分かるようになっている。猫尻尾語の大体の解読ができるようになれば、尻尾を床にべしべし叩きつけている時に爪を切ろうとか考えなくてすむのだ。尻尾の先だけゆっくりくねくね動かす、というのは機嫌の良いときにやってくれる行動に見える。軽く調べてみたら、人間でいう鼻歌のようなもの、という紹介がされていた。なんだかいい例えだ。

 人にもかつて尻尾があったらしい。尾てい骨はその名残だそうだ。また急に生えてくればいいのに。顔色とかいう不確かなものを窺って、空気という見えもしないものを読んだ気になって人と接するより、尻尾で機嫌を感じ取りたい。本当は困っている人とか、本当は怒っている人とか、本当は悲しんでいる人が誰の目からも分かる世界というのは、なかなか良さそうだ。世界は今よりあからさまになり、混乱し、諦念と苦労の末に、少しだけ気楽なものになるのかもしれない。

 いやそれとも、目先の社会の安定を保つため20歳になると尻尾がストンと切り落とされてしまったりするのだろうか。これが一番ありそうだ、残念。

 せめてうちの猫の鼻歌くねくね尻尾を守るため、日々真面目にマッサージに勤しみたいと思う。

* * *

 プリンターから生まれた新種の生物「すあま」とのゆるくかわいい同居生活。Web文芸誌「マトグロッソ」で連載中、迷子先生の単行本『プリンタニア・ニッポン』(イースト・プレス)が2020年9月17日(木)に発売します。

(迷子)

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