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70~80年代アニメの「レジェンド悪役」5選。魅力的な敵こそ、名作に不可欠!?

マグミクス / 2020年9月20日 19時10分

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■主人公以上に人気を集めた悪役も…

 さまざまなヒーローたちがSFアニメや特撮ドラマの世界で活躍していますが、そんなヒーローたちの魅力を最大限に引き出しているのが、悪役キャラクターです。アメコミでは悪役のことを「ヴィラン」と呼び、主人公であるヒーロー以上の人気を博することもあります。

 かっこいいヒーローがさっそうと登場しても、必ずしもヒット作になるとは限りません。物語として面白くなるかどうかは、これまでにない個性的な敵キャラを生み出せるかどうか次第だといっても、過言ではないでしょう。敵キャラがもたらす闇が深ければ深いほど、ヒーローは輝くことができるのです。

 日本のアニメーション史に大きなインパクトを残した、1970年代~1980年代の「レジェンド悪役」たちを振り返ります。

■死後も石像となって讃えられた「あしゅら男爵」

 個性派ぞろいの悪役キャラのなかでもひときわ強烈な印象を与えたのが、1972年から放送が始まった元祖スーパーロボット『マジンガーZ』(フジテレビ系)に登場した、「あしゅら男爵」です。

 右半身が女性、左半身が男性という、一度見たら忘れることができない容貌です。声優は男性パートを柴田秀勝さん、女性パートを北浜晴子さんが演じました。

 男の残虐さと女の執念深さを併せ持つあしゅら男爵は、マジンガーZに毎週のように敗北を喫しながらも、決して諦めることなく戦い続けました。第78話「あしゅら男爵 太平洋に散る!!」では、マジンガーZと光子力研究所をあと一歩のところまで追い詰めますが、ついに悪運が尽きてしまいます。

 体を張って戦い続けたあしゅら男爵の偉業を讃え、Dr.ヘルはあしゅら男爵の石像を建てています。悪役多しといえど、悪行ぶりで石像まで建てられた人物はそうそういないのではないでしょうか。悪役界の二宮金次郎と呼びたくなります。

 それにしても原作者・永井豪氏は、魅力的な悪役を次々と生み出す天才でした。カルト的人気を誇るマンガ『デビルマン』では、主人公・不動明のいちばんの親友・飛鳥了が実はラスボスだった、という衝撃的なラストを用意しました。

 また、ディストピア世界を描いた『バイオレンスジャック』に登場したスラムキングの騎馬軍団の異様な出で立ちは、実写映画『マッドマックス2』(1981年)にも影響を与えたように思えます。自身の欲望に忠実で、モラルに囚われない悪役たちを、永井氏はとても生き生きと描いています。

■元祖イケメン悪役プリンス・シャーキン

勇者ライディーン コレクターズDVD Vol.1 (TCエンタテインメント)

 悪役=グロテスクというイメージを一新させたのは、1975年にTV放映された『勇者ライディーン』(テレビ朝日系)です。“悪魔王子”プリンス・シャーキンは、仮面をしたイケメン悪役でした。『ライディーン』は富野由悠季監督がシリーズ構成を手掛け、キャラクターデザインは安彦良和氏が担当しています。『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)で大ブレイクする2人の初タッグ作でした。『ガンダム』の金髪キャラ・シャアの原型となったことでも、シャーキンは知られています。

 シャーキンはクールな性格で、敗北を認めるいさぎよさもありました。最後の登場回となったのは、第27話「シャーキン悪魔の闘い」。巨大化してライディーンに戦いを挑む姿には、シャーキンらしさはありませんでした。後から知りましたが、富野監督はその前話で降板していたそうです。シャーキンの無念さは、富野監督自身が感じていたものなのかもしれません。

■『未来少年コナン』のレプカは、もうひとりの宮崎駿?

『未来少年コナン』DVD第6巻 (バンダイビジュアル)。ジャケットにはレプカが描かれる

 それまでの悪役とイメージが異なるという点では、1978年に放映された宮崎駿監督のTVシリーズ『未来少年コナン』(NHK総合)のレプカも挙げることができます。一見するとスーツを着こなし、まっとうな行政官に思えるレプカですが、太陽エネルギーを独占したいという欲望に駆られ、独裁者に変貌していきます。

 身なりのきちんとした大人が実は陰謀を企んでいる、というのが宮崎アニメの特徴です。劇場アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)のカリオストロ伯爵や『天空の城ラピュタ』(1986年)のムスカにも通じるものがあります。

 太陽エネルギーの秘密の鍵を握る少女ラナを執拗に追い回し、巨大爆撃機ギガントを復活させて大喜びするレプカ。もしかすると、レプカとは宮崎駿監督が理性で押さえ込んでいる心の闇の住人なのかもしれません。日曜深夜に再放送中の『未来少年コナン』は、これからクライマックスを迎えるところです。ギガントの復活シーンは見逃せません。

■散り際の美しさで語り継がれる、ラオウ

北斗4兄弟の長男としてケンシロウに立ちはだかるラオウ。画像は『北斗の拳』究極版第10巻(徳間書店)

 究極のラスボスと言えば、1984年にスタートした大ヒットアニメ『北斗の拳』(フジテレビ系)でケンシロウと激闘を繰り広げたラオウではないでしょうか。身長はケンシロウをはるかに上回り、4~5メートルはありそうな巨人に映って見えました。ケンシロウとラオウとの対決は、お互いに凄まじい殺気オーラを漂わせ、もはや超能力バトルと化していました。

 そして、ラオウといえば、最後に残した名言です。

「我が生涯に一片の悔いなし!!」

 拳王ラオウの死を惜しんで、2007年にはラオウの葬儀「ラオウ昇魂式」が営まれています。敵キャラながら、『あしたのジョー』(フジテレビ系)の力石徹と並ぶ人気者だったことが伺えます。

■ボンテージルックがキュートな、ドロンジョさま

『ヤッターマン』DVD第1巻(松竹)

 最後に紹介するのは、セクシーな悪女です。1977年に放映された『ヤッターマン』(フジテレビ系)に登場したドロンジョさまも、忘れがたい悪役です。盗賊団「ドロンボー」一味を率い、ドクロストーンを追い求めます。仮面で顔を隠していても、大人の女性のセクシーさがあふれ出ていました。

 三池崇史監督による実写映画版『ヤッターマン』(2009年)では、ドロンジョさまを深田恭子さんが演じています。ボンテージルックが、とてもキュートでした。ドロンジョさまに仕えるボヤッキーとトンズラーが、うらやましく感じられたものです。

 学校の先生や親が厳しければ厳しいほど、子供はTVアニメや特撮ドラマの悪役たちに親しみを覚えました。子供にはできない大がかりないたずらを、悪役たちは代わりに実行してくれていたように思います。普段は学校や家庭で「いい子」として過ごしている子供たちの潜在的願望を、悪役たちは解き放ってくれていたのかもしれません。

(長野辰次)

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