漫画家・まつもと泉氏追悼 小学生をドキドキさせた『きまぐれオレンジ☆ロード』
マグミクス / 2020年10月14日 18時50分
■鮎川まどかが小学生をドキドキさせた『きまぐれオレンジ☆ロード』
2020年10月13日、漫画家のまつもと泉氏が6日に亡くなっていたことが分かりました。代表作は1984年から1987年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載された『きまぐれオレンジ☆ロード』(以下、オレンジ・ロード)で、男女問わず多くのファンの心をつかみました。特にヒロインの鮎川まどかの人気は高く、日本のみならず、海外にもファンがいるほどの存在です。小学生の頃に『オレンジ・ロード』を読み、まつもと先生のファンとなったライターの早川清一朗さんが追悼します。
* * *
当時小学生だった筆者は、あるとき友達から借りた「週刊少年ジャンプ」に、『きまぐれオレンジ☆ロード』という、よく分からないタイトルの作品があることに気付きました。この時代の少年マンガは主人公や作品の舞台、重要なギミックとなる要素がそのままタイトルになっていることが多かったのですが、「きまぐれ」「オレンジ」「ロード」この3つの単語をどう読んでも、作品の内容は見当がつかなかったのです。
どんなマンガなんだろう。そう思ってページをめくり読み始めたところ、黒髪の綺麗なお姉さんこと鮎川まどか(以下、鮎川)が嵐のなかで川に落ち、主人公っぽい男性こと春日恭介(以下、恭介)が後を追って飛び込んで行くシーンが目に飛び込んできたのです。
一体どうなることかと思っていたら、鮎川を助け上げた恭介が、逃げ込んだ先の山小屋で、いきなり悪い顔をして鮎川の服の胸元を破り始め、その回は終わりました。まだ小さかった頃の筆者には何が何だか分かりませんでしたが、恭介の顔つきを見ただけで、何かよからぬことをしようとしていることは簡単に想像がつきました。
次の回、結局よからぬことは起こらなかったのですが、このとき感じたドキドキは、『オレンジ・ロード』を筆者にとって重要な作品へと押し上げたのです。なお、この回は単行本の9巻に収録されている「キャンプでシェイク!の巻」だったことを後に突き止めました。
■幻となった「スーパージャンプ」の新作
この『オレンジ・ロード』を描いたのが、故・まつもと泉先生でした。ギャグやバトルものがメインの「週刊少年ジャンプ」のなかで、『オレンジ・ロード』に描かれる街や学校という当たり前の風景は、「この作品は自分の住んでいる世界の延長にあるんじゃないだろうか」という想像力を掻き立てられるほど、リアリティにあふれるものでした。
この作品のなかで特に人気のあったキャラクターが、メインヒロインの鮎川です。長い黒髪の美人で、ちょっと斜に構えているけど根は純粋、妹分の檜山ひかるを除けば人付き合いもあまりない孤高の存在という、当時の少年マンガとしてはかなり珍しいタイプのキャラクターだったのですが、外には強さを見せ、親しい人間にのみ弱さを見せるギャップは、子供心にも響くものがありました。
故・まつもと先生も鮎川をかなり気に入っていたそうで、『オレンジ・ロード』を描いているときのエネルギーの70%くらいは鮎川に割いていたと後に語っています。しかしアニメで鮎川を演じた声優の鶴ひろみ氏も2017年に亡くなられており、『オレンジ・ロード』は大切な人をふたりも失ってしまったことに、改めて哀惜の念を感じざるを得ません。
1987年に『オレンジ・ロード』の連載を終えたまつもと先生は、「スーパージャンプ」に掲載誌を移し『せさみ☆すとりーと』の連載を開始。終了後もさまざまな活動を続けていましたが、1999年に新連載を発表したのち、消息が一時途絶えます。2004年になり脳脊髄液減少症という難病による体調不良であることを告白し、ファンを驚かせました。一時は持ち直したものの、心臓の持病や脳脊髄液減少症の再発などもあり、創作活動を行うことは困難となり、2020年10月6日、逝去されました。お元気であればもっとたくさんの作品を世に送り出せたことは間違いない、素晴らしい漫画家でした。ご本人もさぞかし無念だったことと思います。1ファンとしても、ただ、残念としか言いようがありません。ここにご冥福を祈らせていただくとともに、難病に苦しむ人がひとりでも減ることを切に願っております。
(早川清一朗)
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