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煉獄杏寿郎の生き様「強き者の責務」 ハロウィンで『鬼滅』ブームがさらに加熱する?

マグミクス / 2020年10月23日 11時40分

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■劇場版『鬼滅の刃』公開3日間で興収46億円の記録樹立

 吾峠呼世晴氏の原作マンガ『鬼滅の刃』ブームが、ますます熱くなっています。2020年10月10日に「土曜プレミアム」(フジテレビ系)でオンエアされたTVアニメーション『鬼滅の刃』第一夜「兄妹の絆」は視聴率16.7%(ビデオリサーチ社調べ、関東地区/以下同)、10月17日の第二夜「那田蜘蛛山」は15.4%を記録。10月16日より公開が始まった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、公開3日間のみで興収46億円という記録的な大ヒットスタートとなりました。

 コロナ禍で新作映画の公開延期が相次いだ映画界にとって、幅広い層から支持されている『鬼滅の刃』は久々に明るいニュースとなっています。10月24日(土)は午後1時30分からフジテレビのローカル枠で、TVアニメ『鬼滅の刃』の第22話~第26話(最終話)が一挙放映されることもあり、今週末も大いに劇場を賑わせそうです。

 新海誠監督の大ヒット作『天気の子』(2019年)の140億円、『君の名は。』(2016年)の250億円、日本の歴代興収1位となる宮崎駿監督作『千と千尋の神隠し』(2001年)の308億円という興収記録に、どこまで迫るのかも気になるところです。映画館でクラスターが起きないよう、マスク着用と手洗いを忘れないようにしたいものです。

■懐かしい人たちに再会する炭治郎

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、「鬼殺隊」最強剣士のひとりである炎柱・煉獄杏寿郎(CV:日野聡)がメインキャラクターとなっているだけに、炎のように燃え上がる熱い内容です。那田蜘蛛山の激戦を生き延びた竈門炭治郎(CV:花江夏樹)、我妻善逸(CV:下野紘)、嘴平伊之助(CV:松岡禎丞)たちは、次々と行方不明者を出している「無限列車」へと乗り込みます。そこでは「十二鬼月」に名前を連ねる強敵・魘夢(えんむ/CV:平川大輔)が待ち受けており、炭治郎たちを夢の世界へと誘い込みます。

 炭治郎たちが鬼と戦ったのは大正時代。当時の日本は日清戦争や日露戦争を経て、鉄道網を日本全土へと広げた時期にあたります。軍事輸送力を高めるためでした。魘夢はそんな国策事業である鉄道に目をつけ、汽車を利用する乗客たちを眠らせては、おいしくいただいていたのです。

 炭治郎は夢のなかで、懐かしい人たちに再会します。鬼に殺されたはずの母親や弟、妹たちが、炭治郎を温かく迎えてくれたのです。鬼との命がけの戦いを重ねてきた炭治郎は、元気な姿の家族に再び会えたことを喜びます。

 善逸の夢も幸せいっぱいです。炭治郎の妹・禰豆子(CV:鬼頭明里)とふたりっきりで散歩しています。しかも夢のなかの禰豆子は竹の口枷をくわえておらず、普通にしゃべっています。善逸はまさに夢心地です。夢のなかの伊之助は、暗い洞窟を探検していました。精神科医フロイトの『夢判断』によると、洞窟は子宮のシンボルだそうです。亡き母親への想いが招いた夢なのかもしれません。

 押井守監督のブレイク作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)のように、楽しい時間が過ぎていきます。でも、炭治郎はこれが夢だと気づきます。夢だとしても、家族ともう少し一緒にいたい。そんな甘い気持ちを断ち切って、炭治郎は現実世界に目覚め、魘夢との戦いに挑みます。鬼になった禰豆子を人間に戻す、鬼の犠牲者をこれ以上増やさないという使命があるからです(※以降、物語の核心には触れていませんが、一切のネタバレを避けたい方は観賞後にお読みください)。

■鬼からも勧誘されるほどの男っぷり、煉獄杏寿郎

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』煉獄杏寿郎の姿 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

「よもやよもやだ。柱として不甲斐なし!」

 炭治郎たちよりも先に列車に乗り込んでいた煉獄杏寿郎は、駅弁を食べすぎたせいもあったのでしょうか。柱とはいえ、魘夢の術に逆らえずにぐっすり寝込んでしまいました。しかし、目覚めてからの杏寿郎の活躍は、柱として頼もしい限りです。炭治郎たちに的確な指示を与えた上で、炎の呼吸を使って乗客たちを守り、さらには魘夢よりも格上である「上弦の鬼」猗窩座(あかざ/CV:石田彰)との死闘を繰り広げます。

 格闘術に優れた猗窩座と杏寿郎との戦いは、あまりにもハイレベルすぎて、炭治郎たちは見守ることしかできません。無限列車での戦いで負傷した炭治郎をかばい、ひとりで戦う杏寿郎の男気、先輩力の高さが観客の心を鷲づかみします。その男っぷりの良さは、戦っている猗窩座から「鬼になれ」と勧誘されるほどです。

 猗窩座との戦いで杏寿郎は深い傷を負いますが、それでも戦うことをやめません。それは幼い頃に母親と「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務」という約束を交わしたからです。思わず、観ている私たちの目頭も熱くなります。ここまで熱いアニメ作品は、そうそうないのではないでしょうか。「ufotable」所属の外崎春雄監督をはじめとするスタッフ、そしてキャストも、シリーズ初の劇場版ということで尋常ではない熱量を本作に込めています。

 入場者特典である冊子「鬼滅の刃 煉獄零巻」には、杏寿郎の初任務エピソードを描いた特別読み切りマンガの他にもキャストインタビューなどが掲載されており、杏寿郎を演じた日野聡さんは「『自分の想像以上の熱さと個性をぶつけてほしい』という演出をスタッフさんからいただきました」と語っています。

■鬼と「ハロウィン」は親和性が高い?

 今さらですが、炭治郎たちが戦っている“鬼”とは何者でしょうか。鬼という言葉は、「隠(オン)」から来ており、目には見えないものを本来は意味したようです。鬼伝説をたどると、平安時代の大江山での酒呑童子退治が有名です。一説によると、鉱山として栄える大江山を支配下に置くために、朝廷は「鬼退治」と称して大江山を武力占拠したとも言われていています。いわば、鬼とは歴史の表舞台から消されてしまった「影の存在」のようです。

 折しも、10月31日(土)は「ハロウィン」に当たります。「ハロウィン」はもともと、キリスト教が布教される以前の、古代ケルト人の収穫祭です。キリスト教会は、異教徒のお祭りである「ハロウィン」を正式には認めていません。「影の存在」である鬼と、親和性が高いイベントではないでしょうか。

 鬼娘・禰豆子のコスプレイヤーたちが、10月最終週には日本各地に出没することが予測されます。『鬼滅』ブームは、ハロウィンに向けてますます加熱することになりそうです。

(長野辰次)

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