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昭和平成特撮ドラマの「カリスマ悪役」4選。常識にとらわれない“美学”で視聴者を魅了

マグミクス / 2020年11月28日 8時10分

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■スタリッシュさと強靭な精神力が悪役の魅力

 光あるところに、影もまたあり。正義のヒーローが活躍する特撮ドラマに欠かせないのが、悪のキャラクターです。プロレスの興行がベビーフェイス(善玉)だけでは成り立たず、ヒールレスラー(悪役)を必要としているように、人気特撮番組には強烈なインパクトを放つ悪役が必ず登場しました。

 悪の組織に身を置く立場ながら、個性派俳優たちが演じた悪役たちはそれぞれ独自の悪の美学を持ち、誇り高く正義のヒーローとの戦いに挑みました。また、かっこいいだけでなく、敗北を喫しても決して戦うことを諦めない強靭な精神力も持ち合わせていました。

 昭和・平成の特撮ドラマ界に「悪の華」を咲き誇らせた、カリスマ的な悪役キャラクターたちを振り返ります。

●『人造人間キカイダー』ハカイダー

 数ある「東映特撮ヒーローもの」のなかでも、主人公以上の大人気になったのがハカイダーです。1972年~1973年にNET(現在のテレビ朝日)で放映された『人造人間キカイダー』のシリーズ後半から登場した敵キャラでした。主人公であるジロー(伴大介)ことキカイダーを倒すことを目的に、プロフェッサー・ギル(安藤三男)が光明寺博士を洗脳して作らせた最凶ロボットです。登場時に流れるテーマ曲が、とてもキャッチーでした。

「ハカイダー」というネーミングに象徴されるように、不良の匂いをぷんぷんさせたダークヒーローでした。ハカイダーの魅力は、クールで強いだけではありません。スケルトン状の頭部には光明寺博士の脳ミソを載せており、時々血液を取り替えないと戦闘不能に陥るという弱点も抱えていました。そんな脆さも、子供たちを夢中にさせました。

 ハカイダーの人間態であるサブローを演じたのは、真山譲次さん。涼しげな容貌の二枚目俳優でしたが、1970年代後半には芸能界を引退し、実業家に転身したそうです。芸能界にしがみつくことなく、ハカイダーというキャラとともに一瞬の輝きを放った俳優だったと言えそうです。

●『愛の戦士レインボーマン 』ゴッドイグアナ

 妖しい魔女役で視聴者の脳裏に深く刻まれているのは、曽我町子さんです。TVアニメ『オバケのQ太郎』(TBS系)の初代 Q太郎などの声優を務めた曽我さんが、女優として注目を集めたのが東宝特撮ドラマ『愛の戦士レインボーマン』(NET系)の魔女ゴッドイグアナでした。魔女イグアナを演じた塩沢ときさんより10歳年下の曽我さんでしたが、イグアナの母親としてレインボーマンを大いに苦しめます。

 曽我さんの人気をさらに広めたのが、『電子戦隊デンジマン』『太陽戦隊サンバルカン』(テレビ朝日系)で演じた悪の女王へドリアンです。また、魔女パンドーラを演じた『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(テレビ朝日系)は『パワーレンジャー』として米国でも放送され、海外でも存在感を示すことになりました。

 曽我さんの演技にはコミカルさがあり、カラッとした明るさが感じられました。本人も特撮ドラマでの魔女役、悪の女王役を楽しんで演じていたようです。『5年3組魔法組』(NET系)では、いたずら好きで陽気な魔女ベルバラに扮しました。素顔の曽我さんに近い役だったように思います。

 長年にわたって悪役を演じた曽我さんに対し、東映が『魔法戦隊マジレンジャー』(テレビ朝日系)のシリーズ終盤、劇場版『魔法戦隊マジレンジャーTHE MOVIE インフェルシアの花嫁』(2005年)に登場する天空大聖者マジエル役に起用したのも印象的でした。スタッフや共演者たちから、リスペクトされていたことが分かります。湾岸戦争や阪神大震災の際には、復興支援バザーを行なったことでも知られています。心優しい魔女でした。

■「悪役」で出演後も、長く愛された俳優たち

白いスーツに黒いマント姿がトレードマークだった死神博士。画像は「仮面ライダー E-CRAPHICS CARD 06死神博士&イカデビル」(バンダイ) (C)石森プロ・東映

●『仮面ライダー』死神博士

 悪役俳優を語る上で外せないのが、『仮面ライダー』(毎日放送)に登場した悪の幹部・死神博士を演じた天本英世さんです。黒いマントをはおった痩身の天本さんは、マッドサイエンティスト役に恐ろしいほどハマっていました。東京大学法学部中退という天本さんの経歴も、悪の幹部らしい知性ぶりを感じさせました。

 スペインをこよなく愛する天本さんは、生涯独身を貫いたことでも知られています。実は天本さんは、東大に進学する前、旧制七高(現在の鹿児島大学)在学中に下宿先の美しい未亡人と恋に陥ったそうです。天本さんは、未亡人と未亡人の3人の女の子たちと一緒に暮らすつもりで東京に一軒家を用意していたのですが、その未亡人とは結ばれることはありませんでした。晩年の天本さんは、悲恋を胸に秘め、一軒家があるにもかかわらずに昼間は公園やファミレス、夜は知人が経営するクリーニング店で過ごすという流浪の生活を送ったそうです。

 徴兵経験者である天本さんは、毒舌家としての一面も持っていました。「物と金に欲ボケしたいまの日本に言い残したいことなんて、何もないね。一度滅びてみればいいんだ、この国も。そうすりゃ、少しはまともになるだろう」(『不良老人伝』)など、社会に対して苦言を呈しました。日本を恐怖に陥れる死神博士役は、天本さんの心情の一部をリアルに反映していたのかもしれません。

 大好きなスペインで客死すること願っていた天本さんは、2003年に故郷・北九州市の病院で亡くなりました。天本さんの遺灰は、スペイン・アンダルシア地方を流れる川に撒かれたそうです。

●『忍風戦隊ハリケンジャー』フラビージョ

 最後に紹介するのは、2002年~2003年に放映された『忍風戦隊ハリケンジャー』(テレビ朝日系)でフラビージョを演じた山本梓さんです。ニコニコ顔でハリケンジャーたちを苦しめる、小悪魔キャラで大人気を博しました。第30話「アイドルと友情」では、ハリケンブルーこと七海(長澤奈央)とアイドルユニット「ビジョッ娘7」を結成するなど、悪役の枠を越えてキュートな魅力を振りまきました。

 特撮ファン以外にも彼女の魅力は知られるようになり、「あずあず」の愛称でグラビア界でも大変な売れっ子になりました。男はどうも、悪女タイプに弱いようです。

 山本さんは2014年に結婚し、その後は海外生活を送っているとのこと。山本さんがフラビージョを演じたのは、ハリケンジャーたちの10年後を描いたオリジナルビデオ作品『忍風戦隊ハリケンジャー 10YEARS AFTER』(2013年)が最後です。20年後、30年後のフラビージョがどうなっているのかも気になるところです。

(長野辰次)

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