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謎が謎呼ぶ『エヴァQ』金ローで放映 ループする物語を生きるシンジの行方は?

マグミクス / 2021年1月28日 18時20分

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■ファンを困惑させた、謎だらけの第3弾

 まさにクエスチョンの嵐。ミステリアスなストーリーや数々の裏設定で、熱狂的なファンを生み出した『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)。物語を新たにリビルドした新劇場版の第3弾となる『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 』(2012年)が、2021年1月29日(金)の「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)で放映されます。謎だらけの内容ながら、シリーズ最高となる興収52.6億円を記録しています。

 先々週、先週と「金ロー」で放映された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007年)、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2008年)は、1995年~1996年に放映されたTVシリーズや旧劇場版(1997年)をアレンジしながらも、同じ物語をループするかのような作品となっていました。しかし、『エヴァ:Q』からはループの輪を外れた、まったく異なる展開が待ち受けています。主人公の碇シンジ同様に、困惑したファンが続出しました。

 1月23日に公開される予定だった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う非常事態宣言のために公開延期となりましたが、今回は『エヴァ:Q』の気になるポイント、さらに大ヒットした「エヴァ」シリーズが社会に与えた影響を振り返りたいと思います。

■14年経っても少年のままのシンジ

 汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機に乗っていたシンジ(CV:緒方恵美)は、衛星軌道上の巨大な十字架のなかに凍結された状態でした。式波・アスカ・ラングレー(CV:宮村優子)が乗るエヴァ改2号機、真希波・マリ・イラストリアス(CV:坂本真綾)が乗るエヴァ8号機によって、シンジと初号機が回収されるシーンから『エヴァ:Q』は始まります。

 シンジが目を覚ますと、そこは葛城ミサト(CV:三石琴乃)が艦長を務める巨大戦艦「AAAヴンダー」のなかでした。シンジは状況がまるで理解できません。シンジが綾波レイ(CV:林原めぐみ)を救おうとしてから、すでに14年の歳月が経っているというのです。でも、シンジは少年のままですし、アスカは眼帯姿になっているものの少女のままです。アスカいわく「エヴァの呪縛のせい」だそうです。しかも、ミサトたちは、かつて所属していた「ネルフ」を殲滅させるための新組織「ヴィレ」として戦っていたのです。

 自分の居場所が「ヴィレ」にはないことを悟ったシンジは、父・碇ゲンドウ(CV:立木文彦)がいる「ネルフ」へと戻ります。しかし、「ネルフ」のあった第三新東京市は荒廃し、人影はありません。綾波レイにそっくりな少女・アヤナミレイ(仮称)はいますが、以前の綾波とは別個体のようです。

 ピアノを弾く美少年・渚カヲル(CV:石田彰)から説明され、シンジはようやく事態を呑み込みます。綾波を救おうとしたシンジは、ニアサードインパクトを引き起こし、人類を全滅寸前に追い込んでしまったのです。自分がやらかした事実に、驚愕するシンジでした。

 アスカが語った「エヴァの呪縛」とは? 碇ゲンドウを「ゲンドウくん」と呼ぶマリは、何者なのか? そして、ミサトたち「ヴィレ」は人類補完計画を阻止することができるのか? シリーズ完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 を楽しむためにも、『エヴァ:Q』は見逃せない内容となっています。

■『エヴァ』の大ヒットが与えた影響の数々

『エヴァ』TVシリーズで描かれた物語は「旧劇場版」で一度完結するが……画像は「劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - DEATH (TRUE) 2 : Air / まごころを君に」DVD(キングレコード)

 1995年10月にTV放送が始まった『新世紀エヴァンゲリオン』 は、再放送、旧劇場版の公開を経て、社会現象化するほどの大ヒット作となりました。世紀末という時代の空気感を強く感じさせました。『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』に続く、「サードインパクト」をアニメ界にもたらしたのです。

 1980年代、アニメファンは「おたく」と呼ばれるようになっていましたが、『エヴァ』が大ヒットした1990年代中頃からは「オタク」とカタカナ表記されることが増えていきます。おたくのカジュアル化が進みました。ビジュアル映えする庵野秀明監督は、新しい時代を象徴するクリエイターとして、さまざまなマスメディアに登場するようになります。また、深夜テレビにアニメ枠が設けられ、ソフト化することで収益を上げるというビジネススタイルが確立されます。

 ゼロ年代に入ると、『エヴァ』や庵野監督のデビュー作『トップをねらえ!』(1988年~1989年)などに影響を受けた作品が次々と現れます。新海誠監督のデビュー作となった短編アニメ『ほしのこえ』(2002年)が劇場公開され、異例のロングランヒットを記録。高橋しん氏の人気コミックを原作にしたTVアニメ『最終兵器彼女』は2002年に放映され、2006年には実写映画化もされています。「セカイ系」と呼ばれるSFアニメやライトノベルが人気を博するようになりました。

■優れた物語は、新しい時代を予見する

 セカイ系とは、自意識の強い少年少女が主人公となり、主人公の行動がそのまま世界の命運と直結するというSFジャンルです。主人公が戦う敵の正体は、はっきりしません。世界は滅亡の危機を迎えるものの、少年少女たちのいる周辺しか描かれないのも特徴です。『エヴァ』が起こしたサードインパクトが、セカイ系を生み出したといっても過言ではないでしょう。

 セカイ系という言葉が流行したゼロ年代は、2001年のニューヨーク同時多発テロをはじめ世界各地でテロ事件が続発し、2008年にウォール街で起きたリーマンショックは金融危機を招きました。TVで流れるそれらのニュースは、まるで現実の世界が実態を失ったセカイへと変わってしまったことを伝えているかのようでした。優れた物語は新しい時代を予見すると言われていますが、『エヴァ』も世界が変容していくことを先取りした物語だったように感じられます。

 永遠の14歳・碇シンジは、TVシリーズ、旧劇場版、コミック版、そして新劇場版……と、何度も同じ物語をループしながら生きています。同じように思える物語でも、シンジが異なる判断をすることで展開は大きく変わっていきます。シンジの決断は、どんな未来を切り開くのでしょうか。願わくば、ドイツ語で「福音」を意味する「EVANGELIUM」が待っていますように。

(長野辰次)

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