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2月22日は『Gガンダム』東方不敗の誕生日。素手でMSと渡り合った、前代未聞の男

マグミクス / 2021年2月22日 7時10分

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■宇宙世紀の次の時代を、強烈に印象づけたキャラクター

 2月22日は、『機動武闘伝Gガンダム』に登場した東方不敗・マスターアジアの誕生日です。作中年齢は49歳。1994年の本放送から今年で27年目を迎える今年、当時『Gガンダム』を楽しんでいた方のなかには、東方不敗と同年代の方も多くなっているのではないでしょうか。かく言う筆者もそのひとりで、少しショックを受けています。

 東方不敗の本名はシュウジ・クロス。流派東方不敗という拳法を使う武道家で、ネオ・ホンコン代表として第12回ガンダムファイトに参加し優勝を果たしています。元々は日本人だったのですが、第7回ガンダムファイトに参戦した際のある出来事が原因で放逐され、ネオ・ホンコンに腰を落ち着けたという経緯が、マンガ『機動武闘外伝ガンダムファイト7th』(作:おとといきたろう)によって語られました。

 そんな東方不敗が作中に初めて姿を現したのは、第12話「その名は東方不敗! マスター・アジア見参」となります。

 ただ、今でこそ『Gガンダム』は完全に市民権を得てガンダム世界の一員として認識されていますが、本放送当時は必ずしもそうとは言えない状況でした。初代『機動戦士ガンダム』から『機動戦士Vガンダム』まで続いた映像作品としてのガンダムは基本的に宇宙世紀時代の流れを描いた作品だったのですが、『Gガンダム』は初めて宇宙世紀以外の世界で展開されたガンダムだったため、一部のファンからは拒否反応が出ていたのです。

 しかし東方不敗の存在は、そんな逆風を一撃で吹き飛ばすようなパワーを秘めていました。初登場時には月をバックに構えを取り、「借りるぞ!」のひと言で主人公のドモンが身につけているハチマキを拝借して巨大なデスアーミーの頭部を引きちぎるという、前代未聞の離れ業をやってのけて視聴者の度肝を抜きました。

 さらには、砲弾を素手で受け止める、デスアーミーを足場ごと持ち上げてひっくり返す、銃弾を足場にして飛び跳ねるなど、素手の状態でモビルスーツを上回る戦闘力を持つ東方不敗の存在は、『Gガンダム』が秘めたそれまでのガンダムとはまったく異なる可能性を示してくれたのではないかと思えるのです。

■「この馬鹿弟子がぁ!」弟子を鍛え上げる師匠の愛情

東方不敗のトレードマークともいえるポーズ。「S.H.フィギュアーツ 機動武闘伝Gガンダム 東方不敗塗装済み可動フィギュア」(BANDAI SPIRITS)

 また、東方不敗とドモン、流派東方不敗の使い手同士が出会った際の挨拶も非常にインパクトが大きいものでした。「流派、東方不敗は! 王者の風よ! 全新! 系裂! 天破侠乱! 見よ! 東方は、紅く燃えている!!」と両者が叫びながら激しく拳を合わせるシーンの格好良さは鳥肌もので、友人と真似をした方も多いのではないでしょうか。

 さらには、クーロンガンダムを駆り、ドモンとともに廃墟にはびこるデスアーミーを蹴散らすシーンで放った「超級覇王電影弾」も、「あ、ガンダムってこういうのもありなんだ」と、新たな世界を開かせてくれたように思えます。東方不敗の顔が浮かび上がったクーロンガンダムを大回転させてドモンが打ち出し、進行方向の敵を一掃する大技は、監督を務めた今川泰宏氏の持ち味が存分に発揮された、ケレン味あふれるものでした。

 その後、東方不敗の真の目的が「デビルガンダム」を利用した地球の浄化であることが明かされ、ドモンの敵に回ってからは、その圧倒的な存在感にますます磨きがかかっていきます。デビルガンダムを憎むドモンに対し、マスターガンダムを駆って敵として立ちはだかり、度重なる死闘、激闘を繰り広げながらも、そのやり方には弟子を厳しく鍛え上げる師匠としてのあり様が見て取れました。

 そして最後は、第13回ガンダムファイトの決勝でドモンとの激闘の末、石破天驚ゴッドフィンガーを受けて微笑みながら敗北を受け入れます。この戦いで、崩れ落ちようとするドモンを挑発しながら叱咤する東方不敗の姿は、愛する弟子の限界を引き出そうとする愛情に満ちあふれ、超えるべき存在としての師匠を体現していました。

 そしていよいよ死を迎えようとするとき、東方不敗がドモンとともに叫んだのは、廃墟で拳を合わせたときの言葉でした。沈む夕日とゴッドガンダム、駆け付けたドモンやシャッフル同盟の面々に見守られ、東方不敗のたくましいその手は力なく崩れ落ちます。

 今回、記事を書くにあたり改めて作品を見返してみたのですが、やはり東方不敗の最期が最終回に思えてきます。それだけ製作側にとっても視聴者にとっても大きな存在だったのでしょう。宇宙世紀ではないガンダムの存在を認めさせた東方不敗の功績は、本当に偉大なものと思えるのです。

(ライター 早川清一朗)

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