『ガンダムF91』上映から30年…誰もが「続編」を期待、背景には製作の事情も
マグミクス / 2021年3月16日 7時10分
■MSのサイズ変革も行われた、『F91』
本日3月16日は、30年前の1991年に劇場版『機動戦士ガンダムF91』(以下F91)が公開された日です。本作は『機動戦士ガンダム』の映画化10周年を記念して製作された劇場版で、これまでとは違う新しいガンダムシリーズを目指していました。
この新しい『ガンダム』を作るという意気込みは、ガンダムシリーズの新生という意味でもあったのです。そのため、富野由悠季監督のもと、キャラデザインの安彦良和さん、メカデザインの大河原邦夫さんという、『ガンダム』を作り上げた象徴である3人が久しぶりに集合しました。
また、作品世界も宇宙世紀ではありますが、アムロとシャアとの最後の戦いとなった『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から30年後、これまでのシリーズに出演したキャラクターが一切出てこない舞台となります。つまりシリーズものではあるものの、前作とのつながりが極めて薄い世界観が用意されました。
もともと本作はテレビシリーズの予定で企画されたものでしたが、途中から「ガンダム映画化10周年記念作品」と変更されます。そこで1クール分にあたるストーリーを劇場用に簡略化していました。ストーリーのなかで唐突感がある展開や、セリフで説明する部分が多いのはそのためです。
また、目に見える大きな変更点として、本作からMS(モビルスーツ)のサイズが変わりました。最初に登場した一年戦争時代のMSはおよそ18m。その後、可変タイプや大型MSが増えて、MSのサイズは20m以上にまで大きくなります。
しかし、富野監督は模型にしたときに人間を絡めてジオラマにしやすいという理由から小型化に踏み切りました。本来なら『聖戦士ダンバイン』のオーラバトラーのように10m以下にまでサイズダウンしたかったのですが、商品展開上そこまではできなかったそうです。そのため、本作から登場するMSはおよそ15m程度になります。これにより以降の宇宙世紀MSは基本的にこのサイズに統一されました。
このサイズダウンで、ガンプラは主力商品のサイズが従来の1/144から1/100となります。この時、バンダイは小型化によるガンプラのコストダウンや価格の引き下げを狙っていました。しかし、ボールジョイント型ポリキャップや色プラ、二重関節などの技術向上があったため、価格の高騰を抑えることができずに終わっています。
後に富野監督が製作した『機動戦士Vガンダム』では、ふたたび1/144を主力商品とすることで、全体的な価格の引き下げには成功しています。
■感動的なラストシーン、誰もがアニメによる続編を期待したが…
『機動戦士ガンダムF91』の続編にあたる内容がマンガで描かれた、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』第1巻(KADOKAWA)
この時代ならではの話をひとつ。当時、ネットなどはまだなかった時代ですが、うわさ話という形でファンの間で情報が飛び交うことがよくありました。当然、口伝するごとに情報が書き加えられる伝言ゲームのようなものです。
そのなかで、本作に関する公開前の噂話でもっとも多かったのが、「今度のガンダムには口がある」というものでした。これは劇中最後の戦闘で主役機F91がフェイスオープンした時の形状を指していたものでしょう。このようにどこから漏れたか不明ですが、核心を突くような情報も時には聞こえてくるので、噂話もバカにできない。そんな風潮でした。
しかし、それと同じくらい多かったもので「鉄仮面の正体は生きていたシャア」という誤情報もあります。作品を見れば一目瞭然。嘘だとわかりますが、ファンとしては以前のシリーズから一新されることを不安に思ったのかもしれません。
併映作品が、当時大人気だったSDキャラが勢ぞろいした『武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃』だったこともあり好評でしたが、かつてのガンダム映画のような大ヒットには至りませんでした。
さらに本作はストーリーこそ完結しているものの、戦いは収束していません。それは前述した通り、本作がテレビ版の1クールに当たる部分だからです。本来ならテレビ版、また劇場で続編となる『F92』という企画もあったようですが、実現されていません。しかし、当時は余韻のあったラストシーンから続く物語を、誰もが期待していました。
そして2年後に、劇中の時間がさらに30年経過した新作テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』が放送されます。この時に筆者は『F91』の物語について何か触れてくれるかもしれないと期待しましたが、そんなことがなかったというのは、皆さんもご存じのことでしょう。
『F91』の物語が動き出したのは、それから1年半ほど経過して連載された長谷川裕一先生のマンガ『機動戦士クロスボーン・ガンダム』でした。富野監督が原作を担当したこのマンガは、シーブックやセシリーが登場し、『F91』と地続きの続編というべきストーリーが展開しています。その直球ど真ん中のようなズバっと心に響く作品は、筆者も夢中で読んでいました。
それはそれとして、筆者はあの『F91』の感動的なラストシーンから続く幻の『F92』をアニメという形で見てみたいと、今でもずっと思っています。ガンダムはやはりアニメで完結してほしいですよね。
(加々美利治)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
『ガンダムSEED FREEDOM』福田監督、ズゴックの戦闘シーンはノー指示「観た瞬間笑いました」 スタッフ1人で作り上げ最後は“僕のズゴック”に
ORICON NEWS / 2024年4月23日 22時35分
-
『ガンダムSEED FREEDOM』新型デュエル&バスター、福田監督が説得され登場へ 古株制作担当の熱意が実る
ORICON NEWS / 2024年4月23日 22時1分
-
『ガンダムSEED』人気MSビジュアル公開 フリーダム人気を福田監督分析「花嫁強奪までしでかした」
ORICON NEWS / 2024年4月15日 11時38分
-
次に映画で観たい「ガンダム」作品アンケート結果発表! 興行収入も納得の人気作は?
マグミクス / 2024年4月10日 18時25分
-
『ガンダムSEED FREEDOM』ブラックナイトスコード カルラの制作過程 スタイリッシュなCEのMSの裏に“特撮”
ORICON NEWS / 2024年4月2日 22時38分
ランキング
-
1活動自粛から約3か月、スピードワゴン・小沢の風貌は「寺尾聡より宮﨑駿」…渡辺正行が近況明かす
スポーツ報知 / 2024年4月24日 22時10分
-
2「心療内科に通うほど苦痛を与えた」『半沢直樹』俳優がセクハラ謝罪、女性を苦しめた不必要なスキンシップの中身
週刊女性PRIME / 2024年4月24日 18時0分
-
3「ぶっ飛んでる」きゃりーぱみゅぱみゅの斬新すぎる“妊娠報告”写真が物議、“マタニティハイ”の落とし穴
週刊女性PRIME / 2024年4月24日 17時30分
-
4あのちゃん、ブレイクきっかけ「水ダウ」に感謝も「ラヴィット!あれから1度も呼ばれていない」
日刊スポーツ / 2024年4月24日 23時22分
-
5広瀬アリスと破局で心配される大倉忠義の〝豆腐メンタル〟 Aぇ!groupのデビューに影響も
東スポWEB / 2024年4月25日 5時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください