1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

昭和アニメの、シビレたOPナレーション3選。「キャシャーンがやらねば誰がやる!」

マグミクス / 2021年3月26日 18時10分

写真

■つかみは大事! 番組冒頭でインパクトを与える言い回し

 作品を見てもらうため、物語の予備知識がない初見の人でも内容に入りやすくする仕掛けのひとつに、「前口上」があります。歌舞伎でも取り入れている古典的な手法ですが、実はかなり高度なテクニックです。いかにキャッチーな言葉を使い、物語全体のイメージを想像させて、「見たい!」という気にさせるか。アニメなら、ちびっ子のハートにビシッとハマるかハマらないかで人気を左右したはずです。

 今回は、昭和アニメでシビレたOPナレーション3作品を紹介します。思い出したなら、ぜひ声を出して読んでみてください。

●新造人間キャシャーン(1973年~1974年)

たったひとつの命を捨てて
生まれ変わった不死身のからだ
鉄の悪魔を叩いて砕く
キャシャーンがやらねば誰がやる!

* * *

『新造人間キャシャーン』の前口上は、七・七調でリズム良く頭に入りやすい文句。命を捨てて、不死身、鉄の悪魔、などの言葉が刺さります。『ウルトラマン』のハヤタ隊員は一度事故で死にますが、ウルトラマンが肉体を借りたため運良く命拾いします。しかしキャシャーン(東鉄也)の場合は、悪と戦い人類を救うため「命を捨てて」と言い切ります。その勇気と覚悟はいかばかりか。

 最後に、その決意「キャシャーンがやらねば誰がやる!」そう、地球を救うのはキャシャーンしかいない。シビレます。声は、『ルパン三世』の銭形警部、『宇宙戦艦ヤマト』の沖田十三などで知られる納谷悟朗さんでした。

●サスケ(1968年~1969年)

「放送開始50周年記念企画 サスケ Vol.1」Blu-ray (TCエンタテインメント)

(澄んだラッパの音「サスケのテーマ」に乗せて)
光あるところに影がある
真(まこと)栄光の影に数しれぬ忍者の姿があった
命をかけて歴史を作った影の男たち
だが人よ 名を問うなかれ
闇に生まれ闇に消える
それが忍者の定めなのだ
「サスケ! お前を斬る!」

* * *

『サスケ』は、武将たちが名声を轟かせようと熱り立つ戦乱の世の裏で、殺りくの戦いを繰り広げていた忍者たちの闇物語です。ナレーション中の映像では、サスケと手強そうな敵たちのさまざまな忍術が描かれます。映像とナレーションを聞きながら思うのです。教科書にも載る歴史的事件の裏側で、実は人知れず事を大きく動かした忍者の仕業があったのでは……? と。しかし忍者はあくまでも闇に生まれ闇に消える運命、将のため大役を果たし、命を尽くし、消えた者はどれだけいたのだろうか……。

 前口上が長いのは、同作のオープニングが歌のない「サスケのテーマ」という曲だったからです。「サスケ! お前を斬る!」のあともトランペットのメロディーが続き、タイトルが出て本編へ……という流れでした。当時としても珍しいOPで、インパクトは大きかったと思います。声は、『鉄腕アトム』のお茶の水博士の声優など、アニメ創成期から活躍していた勝田久さんです。

●北斗の拳(1984年~1987年)

「北斗の拳 25周年記念 DVD-BOX TVシリーズHDリマスターエディション」(エイベックス・エンタテインメント)

(第1シーズン・「サザンクロス編」〉
199X年、世界は核の炎に包まれた
あらゆる生物体は絶滅したかに見えた
しかし、人類は死に絶えてはいなかった

* * *

 そんな世界設定の物語か……という前口上ですが、これは作品全体を表現するものではなく、OPソング「愛をとりもどせ!!」に合わせて流す映像につなげる前フリだと考えます。砂漠の荒野を歩く民、時世を恨むようにリンが流す涙、そして男が敵をなぎ倒すアクション……。長い物語の序章はあえて多くを語らず、という演出なのかも知れません。声は、『北斗の拳』のサウザー、『機動戦士ガンダム』のギレン・ザビなどで知られる銀河万丈さんです。

(第2シーズン・「風雲竜虎編」 第3シーズン「乱世覇道編」)
二千年の歴史を刻み受け継がれてきた恐るべき暗殺拳があった
その名を「北斗神拳」 
天空に連なる七つの星の下
一子相伝の「北斗神拳」をめぐって悲劇は繰り返される

* * *

「一子相伝」とは、“一人の子のみに伝え他には決して漏らさない”という意味。北斗神拳をめぐる暗殺拳の担い手たちの出現を予感させます。二千年という歴史の重みも感じさせる語りです。

(第4シーズン「最終章」)
運命を切り開く男がいる
天に背く男がいる
それは「北斗神拳」二千年の宿命
見よ! 今、その永き地の歴史に終止符が打たれる

* * *

 運命を切り開くケンシロウと天に背くラオウ。仮にこのアニメをここから見始めたとしても、ふたりの強者による頂上決戦が待ち受けていることがわかりますね。第2~第4シーズンの声は、『北斗の拳』雑魚キャラや、予告ナレーションでもおなじみ、アドリブ王こと千葉繁さんです。

『北斗の拳』は約2年半の長期放送(『北斗の拳2』を含まず)でしたが、OPナレーション4度の変更がありました。第1話放送のみ「199X年、世界は核の炎に包まれた」だけでした。

 OPナレーションは、作品の概要を説明しすぎるとセンスがないし、言葉足らずで抽象的すぎても伝わらない、かなり難しいものです。あなたが好きなアニメOPナレーションは何ですか?

(石原久稔)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください