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いちファンとして振り返る、『エヴァ』とともに駆け抜けた26年。楽しみはこれからも続く…?

マグミクス / 2021年5月3日 18時10分

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■情熱のすべてをぶつけた『エヴァンゲリオン』

 筆者はすでに3回『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を見に行きました。

 その度に、今までは気づいていなかった新しい発見がありますが、自分のなかで、すでにエヴァをただの素晴らしい映像作品だととらえているフシがあります。1回目の鑑賞で覚えた「卒業」の感覚は、やはりエヴァの呪縛から解き放たれた証だったのでしょう。

 そもそも、なぜ自分はエヴァを見始めたのでしょうか。庵野秀明氏の初監督作であるOVA『トップをねらえ』を見たときの衝撃から始まり、TVアニメ『ふしぎの海のナディア』で「なんでノーチラス号が空飛んでるの……?」と驚愕したのがきっかけだったのは、色濃く覚えています。

 あの凄い作品を作った人たちが、また新しい作品をやる。それなら見てみたい。そう学校帰りの電車のなかで友人と語り合いながら『エヴァ』を見始め、魂を囚われてから26年。令和3年になりようやく解放されたわけですが、思い返せば本当にここまで色々とありました。

 忘れもしない1995年10月4日、TV版第1話の放送で、あさりよしとお先生デザインの、どこかユーモラスな顔をした第3使徒サキエルが既存の兵器を蹂躙し、エヴァンゲリオン初号機に倒されるまでの焦燥感あふれる葛藤劇。

「綾波レイ」と呼ばれる包帯を巻いた少女は何者なのか、なぜ動かないはずの初号機は碇シンジをかばうために反射的に手を伸ばしたのか……怒涛のような展開のなか、多くの謎を残したままエンディングの「FLY ME TO THE MOON」が始まり、目を見開いていたのを覚えています。

 まさかTV版の放送が終了しても、謎は謎のまま置いてけぼりにされるとは、このときはまったく思いもしませんでしたが。

 意味不明、解釈不明の「弐拾伍話」「最終話」を見終えての唖然とした感情。セガサターン版のゲームでなぜか綾波が碇シンジを「碇くん」ではなく「シンジくん」と呼んでいた不可解さ。トレーディングカードを買いあさり、友人たちと無いカードを補完し合った思い出。レーザーディスクを買うために今は無き新橋のアニメイトに友人と並んだ記憶。大学の後輩が特典のポスターを電車で盗まれたと聞きなぜか大笑いしてしまったこと。

 爆発するような若さと情熱をありったけぶつけることができた。それが『エヴァンゲリオン』という稀有な存在だったのです。

■こんどこそ、本当にさようなら。また逢う日まで

TVシリーズ完結後に劇場公開された2作品を収録した『新世紀エヴァンゲリオン』DVD(キングレコード)

 やがて『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』と「完全新作の劇場版」が発表された瞬間の歓喜。解釈本を読み漁っては、ああだこうだと激論を繰り広げた日々、チケットを予約するとき、特典のテレホンカードを綾波にするかアスカにするか、さんざん迷った記憶。映画館の床から伝わるしんしんとした冷たさと、それをものともしない熱狂。

 弐号機が量産機に食われる凄惨なシーン。すべてが終わり最後シンジとアスカだけが残された赤い海。クライマックスでひとこと発せられた、アスカの謎の言葉。

 どことなく釈然としない思いを抱えて時は過ぎ、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の立ち上げを聞いた時には、体のなかに熱の残り香が渦巻いたものでした。

『序』を友人知人と見に行こうとして映画館を間違え、あとでひとり寂しく見直した失敗。「俺が見たかったのはこういうエヴァンゲリオンだったんだ!」と、エンターテインメントに徹してくれた『破』。何がどうなったらこうなるんだと、肩を落とした『Q』。

 そして26年間くすぶってきた熱を昇華し、卒業へと導いてくれた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。

 今はそれらすべてが宝物であり、懐かしく爽やかな過去の記憶となりました。

 映画の公開後、NHK「仕事の流儀 プロフェッショナル」で放送された「庵野秀明スペシャル」は当然見ましたし、冒頭の「この男に安易に手を出すべきではなかった」というナレーションには爆笑するとともに、「いったい何をしたんだろう……」と戦慄も覚えています。

 さらに、舞台あいさつに立った庵野監督がNHKのスタッフについて「何カ月も来ない期間もあった」「もっといいシーンがあった」と話したことが影響したのかは分かりませんが、4月29日にはNHK・BS1で100分枠に拡大した『さようなら全てのエヴァンゲリオン ~庵野秀明の1214日~』も放送されました。

 作品が完結してもなお、エヴァに対する興味はまだ尽きてはいません。これからも、庵野監督が手掛ける数々の新作に期待を寄せるとともに、時おり『エヴァンゲリオン』を振り返り楽しめる。それは、とても嬉しいことなのです。

(ライター 早川清一朗)

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