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映画『カラミティ』吹替版主演・福山あさきさんに聞く…夢へと向かう力とは?

マグミクス / 2021年5月8日 17時10分

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■緊張のなか取り組んだ「瞬発力」のトレーニング

『カラミティ』は、アメリカ開拓時代の伝説的な女性ガンマン、マーサ“カラミティ”ジェーンの少女時代を描いた物語です。同作の日本語吹替版で主演を務める福山あさきさんは、挫折を乗り越えながら7年をかけて夢をつかんだ、いま注目の女性声優です。

 福山さんの歩みは、折れない心で自分の道を歩み続けた同作の主人公、マーサ・ジェーンに重なります。夢をあきらめなかった原動力や、チャンスをつかむために続けた努力について、福山さんに聞きました。

* * *

──福山さんにとって『カラミティ』の日本語吹替版のアフレコは、ついに叶えた夢の第一歩だったわけです。主役に決まってから最初に収録ブースに入るまでの間、どんなことを感じたり考えたりされましたか?

福山あさきさん(以下、福山) 私はけっこう緊張するタイプなのですが、それでも本番では、100%の力を出せるようにしておきたいなと考えて、自主練習をしていました。対応力を身につけるために、色んな演技パターンを考えてトレーニングしました。音響監督さんから「そこは別の演技で」「こんなふうにしてほしい」と言われた時に、すぐにお芝居を変えられるようにしておきたいと思ったんです。

──声優さんにとって非常に重要な、「現場での瞬発力」というやつですね。

福山 はい。事務所に所属させていただいてからの1年間、対応力や瞬発力というのはとても大事なんだなと、実感することが多かったですから。

──収録時で印象に残っていることはありますか?

福山 『カラミティ』でジョナスを演じられている林瑞貴さんとは、『マロナの幻想的な物語り』(2020年8月公開)で、同じ通行人として共演したんです。それが今回、ふたりとも名前つきの役をいただけて、「お互い良かったですね」と笑い合うことができました。すごく嬉しかったですね。

──新型コロナウイルスの影響で、声優業界に限らず、エンターテイメント業界全体が引き続き厳しい状況に直面しています。その中で、そんなふうに笑い合えるのは、素晴らしいことですね。

福山 本当にそうですよね。幸せなことだと思います。

■声優になりたいという夢と挫折

映画『カラミティ』ポスタービジュアル

──今、声優になるのは、大変な狭き門だと言われています。それでも目指そうと思われたのには、何かきっかけがあるのでしょうか?

福山 きっかけと言えるかどうかは分からないですけど、小さい頃は、自分の空想の世界に入り込んで、それをひとりで演技してみるのが好きでした。わりとシリアスな空想が多かったように思います、「お母さん何で死んじゃったの!?」とか。母はおかげさまで、今も大変元気にしているわけですが(笑)。

──子供の頃から、お芝居が好きだったんですね。

福山 内気だし人見知りだしあがり症だし、収録の前には緊張のあまりお腹が痛くなったり震えたりするほどなんですけど、誰かに見てもらって褒めてもらうのが実は好きです(笑)。そういうところは、子供の頃から変わってないのかもしれませんね。

──それがあって、本格的に演技を学ぶために、養成所に行かれたんですね。

福山 一生懸命に勉強して、何度も挑戦したんですけど、いつも最後の関門を突破できずに事務所に所属することができませんでした。それで、ちょっと疲れちゃって……自分が本当に声優になりたいと思っているのか、あるいは「声優になるのが夢」だと口にしている手前、目指すのが義務だと考えているのか……自分のことが分からなくなったんです。

──それで、YouTubeやInstagramを活動の場に選ばれたんでしょうか?

福山 何かを表現すること自体は好きなので、楽しみながらコツコツ続けているうちに、応援してくれる方が増えていきました。活動を目にしたインフルエンサー事務所に声をかけていただき、所属することになりました。それでも、アニメや映画を完全な視聴者として楽しむことが、どうしてもできなくて……。

──やっぱり自分は、作品を創っている現場に立ちたいと。

福山 だから、自分のYouTubeチャンネルに、自分の声を活かしたコンテンツをアップし始めたんです。道が開けることを信じて、やり続けるしかないと。それを2年ほど続けたことが、今の事務所に応募するきっかけになりました。

 この応募でダメだったなら、今度こそあきらめられる……と思ってました。私は新人声優としては決して若くもないですし、YouTubeやInstagramでの活動も決してキャリアのための踏み台ではなく、それ自体が楽しいですし大好きですから。

■笑われることを恐れずに、夢を口に出して行動する

──声優になりたいという夢を追い続けるかあきらめるか、福山さんの中で大きな決断があったわけですね。

福山 養成所に通っていた頃の自分を思い返してみると、特別な夢を目指して頑張っている自分に対する、自己満足で終わっていたような気がします。だったら今度こそ、後悔を残さないように全力を尽くしてやり切ろうと思ったんです。

──その気持ちが、福山さんの原動力になったんでしょうか?

福山 一番はやっぱり、SNSを通して応援してくれるファンの皆さんの存在ですね。私以上に私のことを信じて、喜びや苦しみや迷う気持ちまで理解してくれる皆さんの励ましは、本当に力になっています。YouTubeやツイキャスで朗読コンテンツをアップしたら、「CV:福山あさき」というテロップをアニメや映画で見られる日が来るはずだ……みたいに言ってくれるなんて、本当に勇気をもらえますから。

──その日がついに、『カラミティ』で実現したわけですね。

福山 子供の頃や養成所に通っていた頃は、自分が選ばれた特別な人間で、自分ならすぐに夢を叶えられるはずだって、何の疑いもなく信じていました。うまくいかないことをたくさん経験して、必ずしもそうじゃない現実を理解して受け入れられたからこそ、叶えられたのかもしれませんね。

──大変な時代でも夢を追いかける人に、福山さんから伝えられることはありますか?

福山 私も未熟な新人声優のひとりで、偉そうなことを言える立場じゃないんですけど、ひとつだけ伝えられるとしたら、「目指す夢」は口に出した方が良い……ということでしょうか。笑われて恥ずかしい思いをするかもしれないですし、叶えられなかったらどうしよう……って不安になるかもしれない。それでも言葉にして人に伝えることで、道を開くきっかけが生まれることだってあると思います。

──笑われるのを恐れない勇気が、福山さんにはあったわけですね。

福山 そこは持ち前の負けん気の強さと、見返してやる精神です(笑)。それから、自分自身で行動することですよね。私がSNSに道を見出したように、今はたくさんの方法があるはずです。

『カラミティ』のマーサ・ジェーンも、笑われたって自分自身で行動する女の子です。マーサには自分と重なる部分も多く、ありのままの自分で演じられました。私自身、初主演作で思い入れがあるという以上に、大好きな作品です。SNSを通したファンの皆さんにも、それ以外の方にも、ぜひ見てもらえると嬉しいですね。

(C) 2020 Maybe Movies ,Norlum ,2 Minutes ,France 3 Cinema)

(取材/構成:香椎 葉平)

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