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ドット絵が「怖い!」ファミコン作品3選 掻き立てられた想像力が恐怖に繋がる

マグミクス / 2021年5月25日 16時40分

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■今見ると斬新? ファミコンのドット絵は味わい深かった

 サブスクサービスやダウンロード配信でレトロゲームが手軽に遊べる現在。数十年前に発売されたファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)のゲームタイトルを何気なく遊んでみて、「ドット絵のクオリティに驚いた」……なんて経験をお持ちの方は意外と多いのではないでしょうか。ピクセルの集合体と侮るなかれ、その表現力はCG(コンピュータグラフィックス)がありふれた現代においても味わい深い魅力を秘めています。

 そこでこの記事では、「ドット絵が怖いファミコン作品」を3つピックアップ。王道ホラー・探偵アドベンチャー・奇怪なRPGのなかから、忘れられそうにないインパクト大なシーンを取り上げます。

●実写映画に勝るとも劣らない怖さ『スウィートホーム』(カプコン)

 最初にご紹介するのは、1989年12月15日に発売された『スウィートホーム』。同年1月21日公開の実写映画(製作総指揮:伊丹十三)を原作としたRPGで、全編にわたってホラーテイストが散りばめられた屈指の名作です。本作は「和夫」・「秋子」・「亮」・「アスカ」・「エミ」の計5名(テレビ局の取材班)を操作して悪霊のはびこる館(間宮邸)を探索することになりますが、その道中で数々のトラップや魑魅魍魎(ちみもうりょう)が登場し、プレイヤーを苦しめんと襲いかかってきます。

 気になるのは、「どのようにして実写映画の雰囲気を再現しているか」という点。もちろん1980年代後半のファミコン用ソフトなので、現代のようにフル3Dポリゴンを使うのは不可能です。ゆえにファミコン版はドット絵でビジュアル全般をまかないつつ、随所でアニメーションをふんだんに活用。先へと進む決心がつい揺らぎそうなドア開閉シーン、そして無念に絶命していく様子を生々しく描いたキャラクター死亡シーンなど、ゲーム作品だからこそ可能な演出を取り入れていたように思われます。

 なかでも、本編ラストでプレイヤーと対峙する「間宮夫人」は”2段階目”の姿がとにかく醜悪。伸び切った髪を振り乱す土気色のゾンビかと思いきや、戦闘が進むと身体が異様に膨れ上がった怪物へと変貌します。毒々しい体色に加え、身体を包み込んでいるのが”乳幼児の顔”というのも恐ろしいポイント。その全てがドット絵の賜物というのだから驚きです。

●事件現場の描き方が絶妙『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』(任天堂)

 続いてはご紹介するのは、1988年4月27日にディスクシステム用ソフト(前編・後編)として送り出された『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』(以下、消えた後継者)。本作は「みる・きく・しらべる」といったコマンドを状況に合わせて選ぶアドベンチャーゲームで、プレイヤー(主人公)はとある事件を追う探偵として、物語の舞台である「明神村」へ出発。探偵助手の「橘あゆみ」と協力しつつ、明神を取り巻く怪事件の調査に乗り出します。

 ストーリー部分の詳細なネタバレは控えますが、特筆すべきは「事件現場の描かれ方」。死に際の表情がひと目で分かるほど描き込んでいるかと思えば、離れた場所に安置された遺体を簡素なドットで表現している場合もある。前者はリアルゆえに悲惨な殺人現場を物語り、キャラクターの表情が見えにくい後者はプレイヤーの想像力を自然と誘う……どちらも「怖い」という点で共通していますが、その種類はやや異なっているのかもしれません。

 ちなみに『消えた後継者』は、続編の『ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女』と合わせてリメイク版がNintendo Switch向けに発売されています。こちらは現行ハードのスペックをふんだんに生かしており、キャラクターの会話シーンは声優陣によるフルボイス仕様へバージョンアップ。同様にグラフィックもアニメ風イラストへ刷新され、演出面の総合的な強化が図られています。

●狂気たっぷりなエンディングに衝撃『東方見文録』(ナツメ)

「大学4年生の主人公がタイムマシンに乗り込み、1275年の中世へタイムスリップする」というストーリーのもと、「ユーモア満点の(時には狂気的な)会話テキスト」や「突拍子もなく主人公を死に至らしめるゲームオーバーシーン」がコントローラーを持つプレイヤーを大きく困惑させます。挙句の果てには進行役を務める天の声(ナレーション)まで愉快に歌いだすという有りさま。主人公の名前がタイトル名まんまの「東方見 文録」(とうほうけん ぶんろく)というのも地味に強烈かもしれません。

 そんな『東方見文録』の”怖いシーン”と言えば、ストーリー最後に待ち受けるエンディングではないでしょうか。物語の最後、時間旅行の末に奇妙な空間に囚われた文録。彼は現代日本へ戻る手段を失い、謎の空間に囚われたまま発狂という悲しい結末を迎えてしまいます。そのビジュアルは、物語を最後までプレイした根気強いプレイヤーでさえも、大量のクエスチョンマークを浮かべたくなるほどの狂気。顔面を真っ青に変色させ、「ムンクの叫び」を彷彿とさせるポーズのまま「おかあさ~ん」と連呼し続ける文録。怖い……というより狂気が勝るこのエンディングは、本作を象徴する最大の見せ場と言って過言ではないでしょう。

 冒頭で述べた通り、ドット絵は古き良きゲーム作品の表現手法であると同時に、CG中心のゲーム作品と比べて独特の味わい深さがあります。興味のある方は今回ご紹介した3作品を含め、動画サイトなどで実際に確かめてみてはいかがでしょうか。

(龍田優貴)

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