7/31は声優・古谷徹さんのお誕生日。芝居の転機はやはり「アムロ」だった
マグミクス / 2021年7月31日 7時30分
■学業を優先して休止した後も、すぐ主演として大活躍
本日7月31日は声優の古谷徹さんのお誕生日です。おめでとうございます。古谷さんといえば、多くの有名キャラクターを演じていますので、そのすべてをご紹介しきれませんが、代表的なものをいくつか解説していきましょう。
古谷さんはもともと子役としてデビューし、『ウルトラQ』(1966年)や『マグマ大使』(1966年)などの実写ドラマにも出演していました。そのころの姿を見ると、現在と変わらない面影があるのですぐに古谷さんだとわかると思います。
その後、アニメ声優としてのデビュー作である『海賊王子』(1966年)のキッドで初主演という快挙を成し遂げました。続いて代表作となった『巨人の星』(1968~1971年)では主役の星飛雄馬を熱演、続編でも成長した飛雄馬を演じています。
このように声優として順風満帆な道のりを歩んでいましたが、そのまま演劇の道に入るのではなく、高校、大学では活動を停止して学業に専念していました。卒業が決まったところで声優業を再開し、ふたたび主演を務めたのが『鋼鉄ジーグ』(1975年)の司馬宙です。
それから『グロイザーX』(1976年)の海阪譲、『氷河戦士ガイスラッガー』(1977年)のシキ・ケンと、次々と主演を務めました。
ところが、この時の古谷さんには悩みがあったそうです。それは演じる役に熱血ヒーローが多く、声が飛雄馬と同じように聞こえてしまうことでした。当時のアニメではオーバーな演技を求められることが多く、そういった時代背景も古谷さんを悩ませていたのかもしれません。
そんな時、古谷さんが出会ったのが『機動戦士ガンダム』(1979年)のアムロ・レイでした。
アムロはそれまで演じてきた熱血系のキャラではないうえに、『機動戦士ガンダム』ではリアルな芝居が求められたそうです。この出会いをきっかけに、古谷さんは飛雄馬から解放され、プロの声優としてやっていく自信がつきました。
これ以降、古谷さんの演じるキャラの幅はさらに広がり、定番となっていた熱血系主人公の他に、『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』(1979年)の徳川太助のようなおっとりしたサブキャラや、『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』(1982年)のMr.ゾーンのような知的な悪役、『ストップ!! ひばりくん!』(1983年)の坂本耕作のような悩めるツッコミ役と、さまざまなタイプのキャラを演じます。
もちろん、定番と言われていたロボットアニメの主人公も、『亜空大作戦スラングル』(1983年)のジェット、『特装機兵ドルバック』(1983年)の無限真人、『ビデオ戦士レザリオン』(1984年)の香取敬と、タイプの異なるキャラを演じていました。
■時代を代表する作品で輝く実力
古谷徹さんは、アニメ『聖闘士星矢』で主人公の星矢の声を担当。画像は「聖闘士星矢 DVD-BOX 1 ペガサスBOX」(バンダイビジュアル)
古谷さんの代表作といえば、『聖闘士星矢』(1986~1989年)の星矢を忘れてはいけません。古谷さん自身も相当入れ込んでいたキャラで、舞台あいさつでは赤いシャツに青いジーンズという星矢のコスプレ姿を何度も姿を見せています。テレビ特番などでも飛雄馬やアムロと並んでセリフを再現するシーンがありました。
この時期はジャンプ黄金期だったこともあって、他のジャンプ作品にも登場しています。『ドラゴンボール』(1986年~1989年)のヤムチャ、『ハイスクール!奇面組』(1985~1987年)の春曲鈍、『きまぐれオレンジ★ロード』(1987年)の春日恭介など、印象深くバラエティに富んだ演技を見せていました。
そんな古谷さんの90年代の代表作が『美少女戦士セーラームーン』(1992年)の地場衛ことタキシード仮面、プリンスエンディミオンです。それまでに演じていなかったクールでキザな役回りがお気に入りで、アドリブも多かったとコメントしていました。
21世紀に入って出演作は抑えていたようですが、出演すると印象深いキャラを演じていたように思えます。
そのなかで、『機動戦士ガンダム00』(2007~2008年)のナレーションとリボンズ・アルマーク役を、「蒼月昇」という新人声優という設定で担当していました。
これはガンダムシリーズでアムロ以外は演じないという固い信念があったことが起因だったそうです。放送中はあくまでも古谷さんとは別人として通していましたが、放送終了以降は正式に公表しました。ちなみに名前の由来は、古谷さんが隊長をしていたオンラインゲームの部隊名「蒼月隊」からとってきたそうです。
さらに近年では『名探偵コナン』(1999年~)の安室透(降谷零)ことバーボンが一般にも広く知れ渡る有名キャラになりました。メインキャラとなった劇場版22作目『ゼロの執行人』(2018年)では「安室透を100億の男に」という呼びかけがあり、劇場に何度も行く女性ファンを「安室の女」と呼ぶムーブメントがあったのは記憶に新しいことと思います。
ほかにも『ONE PIECE』(2000年~)のサボは、主人公ルフィの義兄で物語の中心に位置する重要キャラなので、これからの活躍も期待できるでしょう。
アニメではありませんが、スーパー戦隊シリーズ30作目を記念して生み出されたアカレッドの声も古谷さんでした。これまで35作目『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011年)ではゲスト出演、40作目『動物戦隊ジュウオウジャー』(2016年)では映像特典で登場していたので、45作目のメモリアルである今年2021年も、どこかで登場するかもしれません。
こうして古谷さんの経歴をあらためて振り返ると、主演の多さもさることながら、時代を代表する作品にいくつも出演していることに気づきます。そして、年齢を感じさせない少年役の多さも魅力のひとつでしょう。これからのますますの活躍を期待して、重ねてお誕生日をお祝いしたいと思います。
(加々美利治)
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