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死角なし…超人・高橋留美子に描いていないジャンルなどあるのか?

マグミクス / 2021年8月24日 7時10分

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■「るーみっくわーるど」を前にジャンルという概念はもはや野暮か?

 代表作はほぼアニメ化。単行本の累計発行部数はゆうに2億部を突破。海外でも高く評価され、2020年には紫綬褒章が授与。まさに日本マンガ界の重鎮中の重鎮である高橋留美子先生。

 大学在学中に『うる星やつら』の連載を開始して以降、『めぞん一刻』『らんま1/2』『犬夜叉』『境界のRINNE』と途切れなくヒット作を連発し、現在もなお「週刊少年サンデー」にて『MAO』を連載中です。

 短編を含めた膨大な作品リストを眺めていると「果たして高橋留美子が描いていないジャンルなどあるのだろうか」といった疑問が湧いてきます。

 連載デビュー作『うる星やつら』はSF不条理ギャグ。同時期に連載開始の『めぞん一刻』は巻数が進むにつれ大人のラブストーリーに。続く『らんま1/2』はラブコメを絡めた格闘バトルマンガでした。『犬夜叉』はシリアス路線にシフトし、本格バトルファンタジーが展開され……『境界のRINNE』を待たずとも、すでに大抵のジャンルは一巡してしまった、そんな気がしてなりません。ひとつの作品のなかで複数ジャンルを軽々と横断してしまう「るーみっくわーるど」に果たして死角はあるのでしょうか……? やや恣意的な区分ではありますが「ジャンル」という尺度で高橋留美子という作家を見ていきましょう。

●スポーツマンガは…描いている?

 大前提、多くの作品でスポーツシーンが描かれていますが『1ポンドの福音』はまごうことなきスポーツ(ボクシング)マンガです。アニメ化はもちろん亀梨和也さん主演でドラマ化もされているので下手すれば「超有名」といっても良いかもしれません。シスターアンジェラのかわいさばかりに見とれがちですが、ずしりと重みを感じるパンチやステップの躍動感といったボクシングの描写部分はもちろんのこと、減量の精神的な揺らぎ、対戦相手の背景など心情面においても痒いところに手が届く傑作です。また他にも短編ですが草野球を題材にした『グランド・ファザー』という作品もあります。ちなみに高橋先生ご本人は大の阪神タイガースファンで、ラムちゃんと阪神のコラボフィギュアが発売されたばかりです。

●ミステリーは描いている?

 現在、連載中の『MAO』こそ高橋先生が描くミステリーと言ってよいでしょう。『境界のRINNE』の連載が終えてすぐにアガサ・クリスティ作品を一気読みし、構想を練ったという本作は怪異モノと事件解決型ミステリーが違和感なく同居。ミステリーというジャンルの可能性を押し広げているといってもいいでしょう。こちらもアニメ化待ったなしです。また他ですと近作に『今夜 彼女がやって来る』という短編でも軽いタッチのミステリーも描いています。ご興味のある方はご一読を。

●ファンタジー要素のない人間ドラマは?

 言わずとしれた『高橋留美子劇場』です。中年サラリーマンの悲哀、ギスギスした熟年夫婦の日々など、半径10m以内の出来事であっても、とことん読者の心をつかんでしまうのが「るーみっくわーるど」の凄まじさです。「ビックコミックオリジナル」で、だいたい年1回ペースでの発表ということもあり、オリジナル読者からすればちょっとした風物詩的な存在でもあります。

●マンガ業界モノは?

 いわゆる「マンガ業界」をにし題材にした作品、こちらはどうかというと……やはり描いていました。短編集『鏡が来た』に収録されている『リベンジドール』はコメディでありながらも、アンケートの順位に振り回される漫画家とそのアシスタントたちの心情がリアルに描写されています。

●では、エッセイマンガは?

 一貫してフィクションを描き続けてきた高橋先生ですが、自分のことは全てマンガで表現する……という孤高の芸術家タイプというわけではありません。『けも・こびるの日記』というタイトル(※けも・こびるは同人時代のペンネーム)でご自身の何気ない漫画家生活をマンガとして描いています。これがまた「実録」としても激烈に面白いのでおすすめです。

 ……ということで、ここまで主要ジャンルを並べ、検めてみましたが……やはり「るーみっくわーるど」に死角など存在しないのかもしれません。それでいて今もなお、あらゆるジャンルを包摂しながら領域を拡大し続けています。これすなわち「るーみっくわーるど」を前にジャンルなる恣意的区分は意味を成し得ないということかもしれません。「ジャンル」という概念など八艘飛び(はっそうとび)してしまう軽やかさこそが、海を渡って評価されている鬼才・高橋留美子の真髄なのでしょう。

(片野)

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