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『六神合体ゴッドマーズ』が40周年。異例の放送延長、ファンが残した「伝説」の数々も

マグミクス / 2021年10月2日 6時10分

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■画期的だった6体合体のコンセプトだが…

 本日10月2日は、1981年にテレビアニメ『六神合体ゴッドマーズ』が放送開始した日。今年で40周年のメモリアルになります。

 本作は、前番組である『太陽の使者 鉄人28号』に引き続き、横山光輝先生のマンガ『マーズ』を原作にすることで企画されました。しかし、アニメの内容は大きく異なっています。マンガでは、主人公ロボであるガイアー(原作での名前)が敵である六神体ロボと戦いますが、アニメではガイヤーを含む6体のロボットが六神合体してゴッドマーズとなり、侵略者と戦う……という物語でした。

 このように一部の名称と、マーズの意思か、その死亡によってガイヤーが地球を巻き込んで爆発するという設定を残し、ほぼアニメオリジナルに近い形で本作は製作されています。

 この大胆な変更は、原作の衝撃的なラストがTVアニメには向かないと判断されたからで、最初に原作者である横山先生から承諾を得ていました。タイトルの『マーズ』が『ゴッドマーズ』になった理由は、『マーズ』の場合だとすでに商標登録がされている可能性があったからです。

 主役ロボであるゴッドマーズのデザインは玩具メーカーによるもので、当時としては画期的な6体のロボが合体するというシステムで構成されていました。それまでのロボ同士の合体は3体が主流で、小型メカが合体するパターンも5機と、その両方を塗り替えた六神合体は記録的快挙だったわけです。

 しかし、その合体システムにより線が多く、左右非対称となり複雑化したデザインは、作画をするアニメーター泣かせでした。結果的に六神合体後はほとんど動かず、バンクシーン(一度作画した動画を流用して作成したシーン)で敵ロボと決着をつけるという展開が毎回見られるようになります。

 こうして、メイン商品であるゴッドマーズは毎回登場するものの見せ場が同じ……という展開が続き、当時としては最先端にあった合体システムでしたが、それを生かすことができずにセールスも好調とはいえませんでした。

 苦肉の策として、当時大ブームだったガンプラと同じ層をターゲットに、1話しか登場しないやられメカをプラモ化します。さらに、販促として後期オープニングにやられメカを登場させるなどしましたが、プラモデルは狙い通りにヒットせず、模型店の棚に置かれる在庫の常連となりました。

 このように商品的には苦戦した本作ですが、1年で終わることの多いロボットアニメのなかでは異例の1年3か月放送されています。放送が延長されるほどのヒットの原動力は、実は男児玩具の売れ行きとは別に、意外なファン層の支持があったからでした。

■アニメ雑誌の隆盛と女性ファンの後押し

主人公の兄・マーグが大きく描かれる、『六神合体ゴッドマーズ』DVD-BOX1(バンダイビジュアル)

 本作のヒットに結び付いたのは、女性ファンからの支持でした。前述した理由から戦闘シーンに見せ場を作ることが困難だった本作では、逆に人間ドラマに力を入れています。その中心となったのが、主人公であるマーズこと明神タケルの存在でした。

 もともと原作でのマーズは横山先生の主人公キャラに多い、何でもできてしまうタイプの完璧な主人公で、地球に危機感を抱いた異星人が送り込んだ人造人間です。それをアニメでは、生まれた直後に地球を破壊するために送り込まれた普通の赤ん坊で、成長する過程で地球人のタケルとして育った普通の人間として設定しました。このため、地球人として故郷のギシン星人と戦いながらも、時には悩み、怒りや悲しみを見せる少年の成長劇という部分にスポットを当てています。

 さらに、このタケルの実の兄として設定されたマーグの存在がファンの注目を集めることとなりました。タケルと再会した後に洗脳されて兄弟同士で戦うという展開は、多くの女性ファンが関心をもつこととなります。

 これらのドラマ展開は、それまでのアニメ作品にもあった展開でしたが、大きく違ったことはアニメ雑誌の乱立時期だったことです。『宇宙戦艦ヤマト』のヒットで生まれたアニメ雑誌は、『機動戦士ガンダム』のヒットで創刊ラッシュを迎えていました。

 本作が放送開始した1981年は、3月に『マイアニメ』(秋田書店)、6月に『アニメディア』(学習研究社)が創刊され、既存していた『アニメージュ』(徳間書店)、『ジ・アニメ』(近代映画社)、『月刊OUT』(みのり書房)、『Animec(アニメック)』(ラポート)とあわせて多誌競合時代を迎えます。

 こういった背景から、本作の人気はそれまでより伝播しやすく、ファン同士の横のつながりがヒットに結び付いた一因と考えられます。さらに、この当時のファンの熱気はすさまじく、マーグが死亡すると分かったときは助命嘆願書からカミソリまでが制作会社に送りつけられました。さらに、本編でマーグが死亡した後には『あしたのジョー』の力石徹に倣って、葬儀イベントが行われたほどです。

 本作の人気は、このマーグの人気に支えられていたと言っても過言ではなく、声を担当した三ツ矢雄二さんの歌った『17才の伝説』が最終回のエンディングに使われたことからもわかるのではないでしょうか。

 さらに本作放映中にファンが映画化希望の署名運動を行い、10万人の署名を集めるという快挙を成し遂げています。それに後押しされて製作された劇場版はギシン星編を再編集したもので、エンディングでは署名運動の中心になったファンの名前がクレジットされていました。

 その後、1988年にOVAとして本作のリメイク版が制作されましたが、ロボットはすべて新規デザインに変更されたものの、キャラデザインはテレビ版のままという異例の作品になっています。

 男性が好むロボットアニメというジャンルでも、作り方次第で多くの女性ファンを取り込めるということを実証した本作のヒットは、この後のいくつかのロボットアニメに大きな影響を与えることになりました。そういう意味で本作は歴史的な作品だったと言えるでしょう。そして、40年経った今でも本作について熱く語る女性ファンの数は多いことと思います。

(加々美利治)

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