『機動戦士ガンダム』33話「コンスコン強襲!」やるせない思いと激しい撃ち合いが錯綜する
マグミクス / 2021年11月17日 8時20分
■サイド6に渦巻く人間模様
『機動戦士ガンダム』第33話「コンスコン強襲」は、12機のリック・ドムが3分も経たずに全滅したことで有名な回です。しかし、実は冒頭でブラウ・ブロが初登場を果たしており、ホワイトベース隊と交戦している回でもあるのです。ただしこの時のパイロットはシャリア・ブル大尉ではなくシムス中尉で、少々の交戦の後に機体の大半を失い、右ブロックのみが離脱しています。
その後、サイド6に入港したホワイトベースですが、ミライ・ヤシマの元婚約者のカムラン・ブルームが監察官として登場したことにより、人間関係が一気に紛糾します。ミライは一見地味に見えますが、ブライト、カムラン、スレッガー、3人の男から愛を向けられており、作中で最もモテている女性なのです。やはり厳しい戦いのなかではミライの醸し出す、包み込むような母性が男心をくすぐるのでしょうか。
一方アムロは、サイド6の散策中に行方不明となっていた父テム・レイの姿を見出します。再会かなった親子でしたが、テムは宇宙を漂流する間に酸素欠乏症を患い、すでにかつての面影を失っていたのです。テムから渡された旧式の回路を投げ捨てるアムロの叫びは、父も、母も自分の手が届かない世界に行ってしまったことへの慟哭だったのかもしれません。
しかし、状況はアムロの悲しみを癒す時間など与えてはくれません。浮きドックで修理を行うことになったホワイトベースでしたが、コンスコン艦隊に動きを察知され、戦闘になってしまうのです。コンスコン機動部隊の戦力はチベ級重巡洋艦1隻、ムサイ級軽巡洋艦2隻、そしてリック・ドム12機。ホワイトベース隊の戦力は損傷したホワイトベース1隻にガンダムとガンキャノン、Gファイターが2機、コアファイター1機と、絶望的な戦力差がありました。
初期のガンダム資料本ではコンスコンを無能と書いていたものもありましたが、こうしてみるとジオン側が3倍近い戦力差で損耗した小部隊に襲いかかろうとしていることがわかります。コンスコンはきちんと勝てるだけの手はずを整えているのです。
単に、ニュータイプとして覚醒したアムロ・レイの存在が、あまりにもイレギュラーだったということでしょう。
■「リック・ドム12機が全滅!? 3分ももたずにか!」
戦闘開始直後、アムロに「スカート付きか」と呼ばれたリック・ドム。画像は「HGUC 機動戦士ガンダム MS-09 ドム/MS-09R リック・ドム 1/144スケール プラモデル」(BANDAI SPIRITS)
アムロ・レイ操るガンダムは、圧倒的に数で勝るはずのリック・ドム部隊を容赦なくせん滅していきます。機体を背面に回転させながらまずひとつ。正面にドムを捉えてふたつ。振り向きざまに背後のドムを撃ち抜き3つ。『機動戦士ガンダム』作中で最もアムロの恐ろしさが発揮されたのがこの戦闘であることは間違いないでしょう。
ホワイトベースも奮闘し、ムサイ級「クワメル」を撃沈します。アムロも超人的な戦闘力でさらに5機を落とし、カイとセイラ、スレッガーも1機ずつを戦果に加えました。そして最後のリック・ドムはヒート・サーベルを構えてガンダム目掛け突っ込んで行きましたが、すれ違いざまにビーム・サーベルで叩ききられ、アムロは9機目の撃墜を成し遂げたのです。
劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙(そら)編』では、このままアムロがコンスコンの乗るチベ級を撃沈していますが、TV版ではここでシャアのザンジバルが登場、さらにパトロール艇に乗り込んでいたカムランが命がけで戦闘に割り込み、一旦水入りとなります。
なお、カムランはその後もガンダムシリーズに継続して登場し、劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』ではミライに生きていて欲しいがために、条約違反で終身刑となるのも顧みずアクシズ落としを止めるためにブライトに核弾頭15発を提供しています。男の中の男と言えるでしょう。
なお、ブライトを主人公としたマンガ『機動戦士ガンダムUC 虹に乗れなかった男』では、実際に終身刑直前の状況まで追い込まれていますが、ブライトがある取引に応じることにより、終身刑を免れています。
激戦を切り抜けたホワイトベース隊でしたが、満身創痍のホワイトベースの修理を行うことはできず、ザンジバルとチベが存在する状況下で、再びサイド6へと入港することを余儀なくされます。そして次回34話では、シャアとアムロ、そしてララァが運命の出会いを果たしてしまうことになるのです。
(早川清一朗)
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