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『ベルサイユのばら』オスカル様は「こじらせ系」!? 不意打ちキスに成功した4人の男性とは

マグミクス / 2021年12月25日 6時10分

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■アンドレの唇を受け入れるまで…

 12月25日は、オスカルの誕生日。オスカルと言えば、今なお愛され続けている少女マンガの名作『ベルサイユのばら』の主人公のひとりです。作品では、革命前後のフランスを舞台に悲劇の女王・マリー・アントワネットとスウェーデン貴族のフェルゼン、男装の麗人・オスカルと彼女の幼なじみで従卒のアンドレが織りなすラブストーリーが描かれています。

 オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェは、由緒正しい貴族の末娘として生まれましたが、父の意向で息子として、「フランス1の軍人」になるべく育てられました。14歳にして近衛連隊の大尉として王太子妃マリー・アントワネットの護衛を務めて信頼を得るなど、父の期待を裏切らない活躍をしています。

 そんなオスカルの恋愛事情は、かなり奥手……。男性相手のケンカでもひるまないのに、恋愛となると自身の恋心にも、自分に寄せられる恋愛感情にも戸惑ってしまうのです。そのうえ、ガードも硬く、現代で言えば、けっこうな「こじらせ系」かもしれません。

 しかし、そのガードを突破して、オスカルに不意打ちのキスをした男性が4人もいました! この記事では、オスカルを愛した4人の男性をご紹介します。

●わたしの知っている唇は…

 オスカルを愛した男性といえば、幼なじみであり従卒のアンドレ・グランディエです。アンドレは8歳の時に母を亡くし、オスカルの乳母として雇われていた祖母のいるジャルジェ家にやってきました。祖母から、ひとつ年下のきれいなお嬢様の遊び相手をすると聞いていたアンドレの前に現れたのは、たしかにきれいではありますが少年のようなオスカル。しかも、遊び相手ではなく、剣の相手をすることに……。その時から、ふたりの歴史は始まりました。

 後に愛を確かめ合い夫婦になるとはいえ、オスカルがアンドレの気持ちに気付く前に、二度の不意打ちのキスをしています。

 一度目は、アメリカ独立戦争に遠征したフェルゼンの帰国が遅れ、不安を募らせたオスカルが荒れ、酒場で男たちと乱闘を繰り広げた時です。多勢に無勢で、手ひどくやられたオスカルを抱きかかえたアンドレは、「オスカル… かわいそうに… どれほど苦しいだろう どんなかっこうをしていても おまえはまちがいなく女だ… こみあげる心の苦しみをひとりではかかえきれないこともあるのだろうに…」と、気を失っている彼女に唇をそっと重ねました。

 二度目は、黒い騎士(=ベルナール)の騒動でアンドレが左目を負傷した後です。フェルゼンに失恋し、黒い騎士から民衆の間にくすぶる不満を知り、父に逆らってベルナールをかばう……など、オスカルの周囲と心が大きく変化した時でした。オスカルの様子から、フェルゼンへの嫉妬を募らせたアンドレは強引に唇を奪い、抱き寄せ、オスカルを我がものにしようとしますが……。

 予想していなかったアンドレの激情に驚き、拒絶したオスカルですが、後にこの時のアンドレのキスを思い出し、胸に痛みを感じる日が来るのです。

●オスカルをマドモアゼルと呼ぶ唯一の男性

次にオスカルに不意打ちのキスをしたのは、かつて部下だったジェローデルでした。

 ベルナールから民衆の困きゅうした生活を知らされたオスカルは、王宮を守る近衛隊から、衛兵隊に異動します。そんな娘の身を案じたジャルジェ将軍は、突然、オスカルにジェローデルとの結婚話を持ち掛けるのでした。

 ジェローデルは、容姿端麗で冷静、ロマンチストで、強引な言動さえ魅力的な男性です。初めて出会った時からオスカルを女性として見て、ずっと憧れてきたという彼はオスカルを「マドモアゼル」と呼び、愛を語りますが、オスカルは彼を突っぱねました。それでもジェローデルは諦めません。「わたしのこの胸でよければ… いつでも… いつまでもあなただけをうけとめる用意がある なにもかも… 胸につかえた悲しみや 肩にせおった苦しみを みんなわたしに あずけてはみませんか…」と手をさしのべられ、オスカルは思わず彼のキスを受け入れてしまうのです。しかし、それは彼女の知る唇とは違いました。

 オスカルの知る唇、それは狂おしく彼女を求め、重ねられたアンドレの唇です。「あ…… そうだ もっと熱っぽくて… 弾力があって… すうようにしっとりと わたしの唇をおしつつみ しのびこみ… 私の知っているくちづけは…」と、激しい胸の痛みと溶けてしまいそうな「あまいうずき」を感じるのでした。

 そんなアンドレへの想いに気付いたオスカルは、自分はアンドレを不幸せにしないために一生、誰とも結婚しないと、ジェローデルに告げます。そして、そんなオスカルに、ジェローデルは「うけとってください わたしの…… ただひとつの愛の証です…… 身を…… ひきましょう……」と告げ去っていったのでした。

■思いがけない相手からのプロポーズ

著:池田理代子『栄光のナポレオン―エロイカ』中公文庫コミック版第1巻 (中央公論新社)

●光の中の優しいキス

 4人の不意打ちのキスのなかでも、オスカルがもっとも驚いたのが、王太子(おうたいし)、ルイ・ジョゼフのキスでしょう。

 1781年、ルイ16世とマリー・アントワネットの第2子として生まれたルイ・ジョゼフは、幼い頃から病弱でしたが、聡明な少年でした。自分の死期を悟っている様子もあり、いよいよ体調がすぐれなくなってきた頃、オスカルに馬で外に連れて行って欲しいと懇願。マリー・アントワネットからも頼まれ、ふたりは馬で外出します。その際、フランスの行く末に思いを馳せたルイ・ジョゼフは、突然、オスカルにキスするのです。そして、「あなたが……好き……」と告白すると、「こんど…生まれてきたら きっと…… きっと病気なんかしないで…… 元気で大きくなって…… りっぱな青年になって…… だから…… 急ぐから… 待って……」と告げるのでした。後日、オスカルはアンドレに「アンドレ…… わたしは王妃になりそこなったぞ」と、涙を隠しながらつぶやいています。

 息子、ルイ・ジョゼフの死だけでも、母であるマリー・アントワネットにとって大きな悲しみでしたが、葬儀の費用がないことが発覚。それまでの自分の散財の報いなのかと愕然とするのでした……。

 実際には、乳母のひとりから結核をうつされ、それがもとで脊椎カリエスになったと言われています。

●一生分の片思い

オスカルの4人目の不意のキスの相手は、衛兵隊に所属するアラン・ド・ソワソンです。

 アランは貴族であり、士官学校出身であったため以前は少尉でしたが、面会に来た彼の妹に手を出そうとしたオスカルの前の隊長を殴りつけたせいで兵卒に格下げされました。着任早々のオスカルと決闘した際には、剣が得意なオスカルが負けを覚悟するほどの腕前を誇る隊の兄貴分です。

 オスカルとアランたち衛兵隊の隊員たちは衝突を繰り返しますが、個人の心の自由を認め、力で押さえつけたくはないというオスカルの思いを知って、次第に和解します。アランも、初めこそ敵対心を隠さず激しく反発しましたが、ディアンヌの死などを乗り越え、オスカルを慕うようになっていきました。

 そして、1789年6月23日、三部会の会議場でドルー・ブルゼ侯が平民代表議員たちを正面玄関から入れず、雨のなかで待たせ続けるのを目の当たりにしたアランは、衝動的に剣を抜いて走り出したのです。オスカルが追いかけ、「ばかっ!! 無意味なことはやめるんだ!!」とアランの腕を取ります。すると、アランがオスカルに強引にキスしてきたのです。身をよじって抵抗するオスカルをなお追うアランを鬼の形相で引き離したのは、アンドレでした。アランを殴りつけようとしたアンドレですが、その瞳にオスカルへの思慕を感じ、拳を下ろします。「おまえもかアラン…!! むくわれぬ愛にこれからじっと…… 長いときの営みをたえるの…か…」と。

 作者の池田理代子先生がナポレオン・ボナパルトを主人公に、『ベルサイユのばら』の直後のフランスを描いた『栄光のナポレオン-エロイカ』では、オスカルへの「一生分の片思い」を胸に生きていました。

* * *

 アンドレは温厚で気さくだけだけど情熱的、ジェローデルはクールでナルシスト気味(笑)、アランは頼れる兄貴分でワイルド、ジョゼフ殿下は頭がよく利発な少年でした。タイプは違いますが、全員に共通しているのは,、オスカルへの愛を長い間、表に出していないこと。抑えきれなくなった愛情が突然のキスという行動になっているのですね。

*作品中では、フェル「ゼ」ンとなっていますが、史実ではフェル「セ」ンです。

(山田晃子)

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