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劇場アニメ『パトレイバー』が3週連続放映 「東京が戦場化」をリアルに感じる演出

マグミクス / 2022年5月1日 13時10分

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■BS12で劇場アニメ版3本を連続放映

 もしも、日本の首都・東京でいきなり戦争が始まったら……? 現実には絶対に起きてほしくない事態を、アニメ表現を駆使してリアルにシミュレートしたのが、劇場アニメ「機動警察パトレイバー」シリーズです。

 劇場版第1作『機動警察パトレイバー the Movie』(1989年)は好評を博し、押井守監督の名前を一躍有名にしました。押井監督が続投した第2作『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993年)は、シリーズ最高傑作と評価されています。さらに漫画家とり・みき氏を脚本に迎えた第3作『WXIII 機動警察パトレイバー』(2002年)も制作されています。

 2022年5月1日(日)からBS12では、夜7時の「日曜アニメ劇場」の枠で、3週連続で劇場アニメ「機動警察パトレイバー」を放送します。実写映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年)や韓国映画『グエムル 漢江の怪物』(2006年)などにも影響を与えた3作品の見どころを振り返ります。

■姿の見えないサイバーテロとの戦いを描く第1作

「レイバー」と呼ばれる歩行式作業ロボットが普及した近未来の東京が、『機動警察パトレイバー』の舞台となっています。レイバーがらみの事件や事故が多発し、警視庁は「特車二課」を新設。パトレイバーを操縦する泉野明(CV:冨永みーな)、相棒の篠原遊馬(CV:古川登志夫)は、マンガ、オリジナルビデオアニメ、TVアニメシリーズで難事件の数々に向き合ってきました。

 5月1日(日)に放映される『機動警察パトレイバー the Movie』では、現実味のあるサイバーテロが東京を襲うことになります。サイバーテロを仕組んだ犯人は、天才プログラマーの帆場暎一です。しかし、物語の冒頭、帆場は「バビロン計画」と名付けられた東京湾埋め立ての工事現場で投身自殺してしまいます。犯人がいきなり死んでしまうという、予想外の幕開けです。

 工事現場で稼働するレイバーが暴走する事故が次々と起きます。すべてのレイバーに内蔵されているOSに、暴走するプログラムを帆場は仕組んでいたのです。なぜ帆場はそのような悪意に満ちたプログラムを設定したのか、帆場の本当の狙いは何なのか……? すでに帆場が死んでいるため、真相を知ることはできません。遊馬たち「特車二課」は、サイバーテロを誘発する「トリガー」を懸命に探し求めます。

 第1作が公開された1980年代は、「サイバーテロ」と聞いても「コンピュータおたくの悪戯?」くらいの印象しか持てませんでしたが、今では国境をまたいだサイバー攻撃や大企業などへの不正アクセスが大問題となっています。押井守監督、脚本家の伊藤和典氏らの先見の明には驚かされるものがあります。

 大型台風が接近するなか、東京湾上に浮かぶ「方舟」に野明たちが乗り込むクライマックスまで、目が離せない展開となっています。

■自衛隊のクーデターを装ったテロと戦う第2作

『機動警察パトレイバー2 the Movie』サウンドリニューアル版パンフレット

 5月8日(日)に放送される第2作『機動警察パトレイバー2 the Movie』は、ミサイルや銃弾が飛び交う都市型テロが描かれます。「特車二課」の第二小隊を率いる小隊長の後藤(CV:大林隆介)と第一小隊の小隊長・南雲しのぶ(CV:榊原良子)を中心にした、よりシリアスな物語となっています。

 横浜のベイブリッジがミサイルで爆破される事件が勃発します。元自衛官の柘植行人(CV:根津甚八)を中心にしたグループによる犯行です。柘植は自衛官時代、PKO(国連平和維持活動)のために東南アジアに派遣され、部下を全員失うという悲劇を味わっていました。平和を貪(むさぼ)る日本社会への復讐から、自衛隊のクーデターを装った犯行を考えたのです。

 ベイブリッジ爆破は、あいさつ代わりに過ぎませんでした。柘植たちは密かに用意していた戦闘ヘリを使って、都内の通信施設や橋梁を次々と爆破。地下ケーブルも破壊され、東京は陸の孤島と化してしまいます。さらに東京上空を3機の無人飛行船が回遊します。自衛隊の攻撃を受けた飛行船の一機は新宿に墜落し、大量のガスを放出。街を大パニックに陥れます。

 柘植たちの考えた都市型テロは荒唐無稽なものと思われていたのですが、1995年にはオウム真理教による「地下鉄サリン事件」が実際に起きています。オウム真理教は当初はラジコン機を使って、サリンを撒くことを考えていたそうです。フィクションが現実化したような、ゾッとする恐ろしさを感じさせます。

■人為的に生まれた巨大生物が街を襲う第3作

『WXIII 機動警察パトレイバー』DVD(バンダイビジュアル)

 5月15日(日)に放送される『WXIII 機動警察パトレイバー』は、全長20メートルに及ぶ巨大生物との戦いが描かれた番外編的な作品です。押井監督から、高山文彦総監督、遠藤卓司監督にバトンタッチ。脚本は『クルクルくりん』や『石神伝説』などで知られる漫画家とり・みき氏が担当しています。

 湾岸近くにあったレイバーが、何者かに襲撃される怪事件が多発します。久住刑事(CV:綿引勝彦)と秦刑事(CV:平田広明)は、この事件を追い、やがて犯人は「廃棄物13号」と名づけられた開発中の生物兵器であることを突き止めます。

 若手刑事の秦と生物医学研究所に勤める岬冴子(CV:田中敦子)が物語の主人公となっており、「土曜ワイド劇場」っぽい大人たちのワケありなドラマとなっています。「特車二課」の出番は限られていますが、物語後半には進化した巨大生物とパトレイバーとの肉弾戦が待っています。

 劇場アニメ「機動警察パトレイバー」3作は、聴覚や臭覚が物語の重要なモチーフとなっています。また、空を飛ぶ鳥たちの俯瞰した視点から、東京が描かれているのも印象的です。バブル景気とその後のバブル崩壊によって、東京の景観がずいぶんと変わったことを感じさせます。リアルなロボットアニメとして人気の『機動警察パトレイバー』ですが、変わりゆく街・東京がもうひとりの主人公なのかもしれません。

(長野辰次)

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