チョウ:アサギマダラ雄、蜜が交尾を刺激 ユニークな生態

毎日新聞 / 2018年4月17日 12時45分

交尾中のアサギマダラ(雄は右)=本田計一・広島大名誉教授提供

広島大・玉川大研究チーム発表

 海を渡って旅するチョウとして知られる「アサギマダラ」の雄は、植物の蜜や汁から特定の化学物質を摂取しないと交尾しないことを発見したと、広島大と玉川大(東京都)の研究チームが発表した。物質は中枢神経に働きかけ、刺激薬のような役割を果たす。交尾に不可欠な物質を外から得る動物は珍しいという。

 この化学物質はピロリジジンアルカロイド(PA)の一種で、キク科やムラサキ科などの植物に含まれる。毒性があり、アサギマダラは蜜を吸うことで体内にPAを保有し、鳥などから身を守ることも分かっている。

 チームはアサギマダラの雄をPAを与えた集団と与えない集団に分類し、雌を入れた部屋に放して比べた。PAを与えた雄は約6割が交尾をしたが、与えていない雄は性フェロモンを持っていても交尾をする個体はなかった。PAを与えた雄は求愛行動も顕著になったという。

 PAは性フェロモンの原料の一つだが、交尾のためにPAをさらに取り込んでいることになる。チームの本田計一・広島大名誉教授(化学生態学)は「性フェロモンだけでは交尾できない動物は聞いたことがない。同じような生態を持つ絶滅危惧種がいるかもしれず、保護・繁殖に向けた研究につながる可能性がある」と話す。

 研究成果は、英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載された。

 アサギマダラは薄い水色のまだら模様を持ち、羽根を広げると約10センチになる大型のチョウ。夏場は国内の標高の高い山地に生息し、秋に気温が下がると、海を越えて南西諸島や台湾へ渡る。【松本光樹】

毎日新聞

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