強制不妊手術:愛知県、公文書43件、608枚開示

毎日新聞 / 2018年4月17日 22時47分

開示資料から判明した審査過程

 旧優生保護法(1948~96年)の下で障害者らに実施された強制不妊手術について、愛知県は17日、毎日新聞の情報公開請求に基づき、関係する公文書43件、608枚を開示した。遺伝性疾患を理由にした「4条手術」の申請を「否」とする一方、非遺伝性疾患が対象の「12条手術なら適」と条件付きで手術を認めた審査会の記録もあり、専門家は「本来なら再申請すべきだ」と指摘している。【道永竜命】

 開示されたのは、県に残っていた66~71年度の審査会9回分の議案や審査結果、手術の申請書など。患者名や住所、管轄保健所名などは黒塗りにされ、個人の特定はできないが、13~41歳の男女60人が審査され、うち55人の手術を「適」と判断していた。他に「否」が2人、判断が保留され、結果が不明な人も3人いた。

 55人のうち5人は、4条手術の申請に対し「否」と判定した一方、摘要欄に「ただし12条なら適」などと記されていた。年齢などの項目が合致する患者の再申請・審査の記録はなかった。14歳女性は知的障害で「居住地域が工場地域のため男子労務者の往来が多く、誘惑されたりするので過失防止のため」として4条手術の申請があったが、12条手術が適当と結論づけられていた。

 一方で、12条手術の申請に対し、「4条で処置してください」として認められた人も、知的障害のある36歳の女性など2人いた。

 55人のうち約6割の32人が12条申請で、19歳女性は「外部の誘惑にかかりやすい」、30歳女性は「男性にいたずらされて妊娠する恐れがある」など、予防的理由で手術を申請している例もあった。

 審査会で「適」とされた人が実際に手術を受けたかは不明。県の衛生年報によると、県内では49~81年に255人に対し強制不妊手術が実施され、今回開示された時期の手術は17人だった。

 東京大大学院総合文化研究科の市野川容孝教授(医療社会学)の話 12条による手術は保護者の同意が必要であり、一度申請した医師から改めて申請し直してもらわなければならない。審査会が4条による申請を12条ならば適当と判断しているというのはきちんと審査しているように思える。

旧優生保護法による強制不妊手術

 本人や配偶者が同意した場合(3条)と、本人らの同意によらない場合に分かれ、4条では法に掲げる疾患の「遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要」と医師が認めた時、都道府県の審査会に申請する。一方、12条は遺伝性ではない精神疾患などがある場合、医師は保護者の同意があれば審査を申請できるとしている。

4条手術の申請に対し、12条手術なら「適」とされた事例

患者    疾患名   申請理由

17歳男性 知的障害  婦女子にいたずら的行為しばしばあり

14歳女性 知的障害  居住地域が工場地域のため男子労務者の往来が多く誘惑されたりするので

37歳女性 知的障害  子を出産した場合、これをほ乳し独立して生計を営む能力に欠けている

19歳女性 先天性脳性 性的に無知無関心で将来が非常に危険小児まひ 

13歳女性 知的障害  性的風俗異常行動が認められる

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