「裁判所に失望」実名公表の原告、今も薬手放せず B型肝炎再発訴訟・控訴審判決

毎日新聞 / 2019年4月15日 19時59分

B型肝炎訴訟の控訴審判決後、記者会見する佐藤哲之弁護士(左)ら=福岡市中央区で2019年4月15日午後3時43分、野田武撮影

 集団予防接種が原因のB型肝炎の救済を巡り、20年以上前に慢性肝炎になり、いったん治まった後に再発した患者2人が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁であった。山之内紀行裁判長は、国に1250万円ずつ計2500万円の賠償を命じた1審・福岡地裁判決を取り消し、民法の除斥期間(20年)の経過で請求権が消滅したとして、原告側の請求を棄却した。

声震わせ「そんなばかな」

 「そんなばかな、と思った。裁判所に失望した」。原告の平野裕之さん(60)=福岡市=は判決後の記者会見で声を震わせた。血液を介して感染するB型肝炎への社会の偏見もあり、氏名や顔を伏せて活動してきたが、判決の不当性を訴えたいと、会見に実名と顔を出して臨んだ。

 役所で生活保護業務に励んでいた29歳の時、急に椅子から立てなくなり、慢性肝炎が判明。インターフェロン治療で髪の毛がごっそり抜けるなどの副作用が出た。症状は落ち着いたが、当時交際していた妻との結婚をためらい、婚期が遅れることに。ほしかった子供には恵まれなかった。

 49歳で再発。寄りかからないと立っていられないほど体がつらく、仕事が思うようにこなせなくなった。休職と復職を繰り返し、50代半ばで早期退職した。本来なら今年3月に定年退職していたはずだった。今も抗ウイルス薬が手放せない。

 20年の除斥期間が理由で給付金額が4分の1以下になる原告は、再発患者を含め全国に300人以上いる。原告団は一律救済を目指したが、重い症状に苦しむ患者らの早期救済のため、2011年に国との間で結んだ基本合意で、国が主張する20年の線引きをやむを得ず受け入れた。

 ただ、血液製剤による薬害C型肝炎では、発症時期にかかわらない一律救済が実現しており、弁護団はB型肝炎でも一律救済されるべきだと訴えている。

 B型肝炎訴訟の九州弁護団は今回の判決に合わせ、16日午前10時~午後4時、無料の電話相談を実施する。092・883・3345(姪浜法律事務所)。【平川昌範】

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