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「また災害、言葉にならない」 大雨で土砂崩れ、被害全容不明 石川

毎日新聞 / 2024年9月21日 19時26分

河原田川の氾濫で周辺が冠水した仮設住宅=石川県輪島市で2024年9月21日午後2時25分、本社ヘリから加古信志撮影

 元日の能登半島地震で痛めつけられた街が、今度は猛烈な雨に襲われた。石川県では21日、多くの民家が水につかり、地震の後に建てられた仮設住宅も被害を受けた。土砂崩れや停電、断水が起きているが、被害の全容はまだ明らかになっていない。

 「正月に地震があり、また災害が来るとは。言葉にならない」。輪島市河井町の男性会社員(57)は午前7時ごろ、激しい雨音で外に出てみると、目を開けていられないほどの激しい雨に見舞われた。

 近くの同市宅田町や山岸町には地震に伴う仮設住宅が建てられている。そばに河原田川が流れており、一帯は行政によるハザードマップで洪水浸水想定区域(最大想定)に指定されたエリアだ。能登半島地震の仮設住宅を巡っては、用地の確保が難しく、災害の危険がある場所にも建てられた経緯がある。

 男性は仮設住宅に濁った水が押し寄せ、車が水没する様子を動画で撮影した。避難を呼びかける防災無線が流れていたが、大雨のごう音でかき消されていたという。男性は「仮設住宅の中に取り残された高齢者がいないか心配だ」と語った。

 山岸町の仮設住宅近くでは、消防隊が冠水した路上に救助用のゴムボートを浮かべていた。住宅内に逃げ遅れた人がいないか確認していたとみられ、近くのアパートに住む吉田ひとみさん(62)はこの様子を見守った。

 吉田さんによると、21日午後には一帯の水が引き、アパート1階のドア付近まで浸水した跡が残っていた。マイカーは水につかり、停電と断水が続いている。吉田さんは「地震からやっと少し生活が落ち着いてきたところだったのに、どうしてこんなことになるのか。涙が出そうだ」と落胆した。

 大雨による土砂崩れも起きている。輪島市と穴水町を南北に結ぶ県道脇の斜面が崩れ、行き来ができなくなっている。

 この道路沿いの中山間地に広がる輪島市の河原田地区。高台にある公民館には21日午後の時点で、約80人が避難した。地区内では床上浸水した住宅があり、消防団員が見回りを続けたという。公民館長の古谷裕さん(66)は「まだ全容が分からないので動き回るのは危険だ。今夜は様子を見守るしかない」と話した。

 能登半島の北端にある珠洲(すず)市も地震で甚大な被害が出ていた。復興を目指していたところに大雨が直撃した。

 「もう勘弁してほしい」。珠洲市中心部の飯田町にあるスーパー「フードはまおか」では店内に大量の泥水が入り込み、冷凍庫や冷蔵庫の一部が壊れた。オーナーの浜岡崇さん(50)は「再開に向けて店内の泥かき作業から始めなければならない。地震でも大きな影響を受けたのに……」と途方に暮れていた。

 珠洲市正院町では22日、能登半島地震からの復興イベントが企画されていたが、大雨で中止になったという。正院公民館長の小町康夫さん(70)は「地震で被災した人たちを元気づけるきっかけになると思っていたので、非常に残念だ。雨が通り過ぎるのを待つしかない」と話した。【竹中拓実、小坂春乃、野原寛史、井村陸】

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