「自分の存在が嫌」 旧統一教会「祝福2世」が初めて明かした苦悩
毎日新聞 / 2024年9月22日 11時30分
家はごみ屋敷で、勉強会のために学校も長期間休まざるを得なかった。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の熱心な信者だった両親のもとで育った「祝福2世」の30代の男性が21日、初めて公の場で自らの体験を語った。
男性は「野浪行彦」という仮名を名乗る。教団による合同結婚式で出会った信者同士の両親から生まれた。
信仰の厚さゆえに「我が子を犠牲にしてでも教義を優先する」家庭だった。一方、野浪さん自身は信仰したことはなく、「家族や教団のことがずっと恥ずかしく、憎かった。その教団や家族によって自分が存在していることが嫌だった」と苦痛を抱えてきた。
小さい頃から、教祖夫妻の写真を前に土下座させられた。日曜の礼拝への参加も強制された。韓国やブラジル、日本国内で開かれる長期の勉強会「修練会」への参加を強いられた時は小学校も休まざるを得なかった。そして、誰かに恋愛感情を抱くことは禁じられた。
「あったのは最低限の衣食住。家はごみ屋敷で、親が給食費の振り込みを怠って学校から呼び出されることもあった」と明かした。
こうした経験から、小学校高学年で「統一教会はカルトだ」と思うようになったが、自分がその一員だとみられることに、コンプレックスもあったという。
「信仰心がなくても、自分が教会の教義によって生み出された存在であることは変わらない。それが恥ずかしく、嫌で仕方なく、自己否定につながった。それは(合同結婚によって結ばれた信者家庭に生まれた)祝福2世ゆえの問題だと思う」
家庭に対する負い目から周囲となじめず、高校は入学後数カ月で中退。「手っ取り早く教義を否定するのは自分を消すこと」と考えて、自傷行為に及ぶこともあった。
この日、野浪さんが初めて体験を語ったのは、安倍晋三元首相の銃撃事件後、「宗教2世」問題が取り上げられるようになり、ようやく自分の生い立ちや苦悩を公言する気持ちになったからだ。
体験を語ったのは、教団による被害の救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が21日に東京都内で開いた集会。この集会で、全国弁連は、過大な献金被害を防ぐために22年に成立した不当寄付勧誘防止法の見直しなどを求める声明を公表した。
2世問題についても、学校現場におけるケアや相談窓口の設置に加え、教団への賠償請求をする際の法的支援を設けるよう訴えた。【春増翔太】
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