20年以上続く「桐生からくり人形芝居」 若い世代の参加も呼びかけ
毎日新聞 / 2024年9月24日 8時30分
江戸時代に始まったからくり芝居の系譜を引き、一時は途絶えながらも群馬県桐生市で受け継がれている「桐生からくり人形芝居」の定期上演が20年以上、同市本町2の有鄰館(ゆうりんかん)で毎月第1、3土曜日に続けられている。上演する桐生からくり人形芝居保存会(近藤多一会長)のメンバーの中には、子どものころに人形芝居を鑑賞し、当時の映像を保管している人もおり、映像も参考にこれまでに約40体の人形を手作りで復元した。11月には前橋市の群馬産業技術センターで開催される「群馬からくり工夫展」でも上演する。
保存会によると、からくり人形芝居は同市天神町の桐生天満宮の臨時大祭の御開帳(ごかいちょう)にあわせて上演されてきた。このほか、同市本町などの各町内でも開催されており、戦後は1952年、61年に開催された記録がある。
題材は曽我兄弟夜討、助六由縁江戸桜、忠臣蔵義士討ち入り、吉祥寺恋之緋桜(八百屋お七)など。忠臣蔵などの人気の題目に加え、61年には「ディズニーランド」の題名で「白雪姫」「ダンボ」「ピーターパン」などのからくり人形も演じられるなど市民に親しまれていた。
その後、臨時大祭が行われなかったことで衰退したが、市内の蔵に保管されていた人形が発見されたことで復活の機運が高まり、97年11月に保存会の前身の研究会が発足した。99年に復元・復活させ、2002年に有鄰館内に芝居館が完成。翌年4月から定期上演を始め、現在は6演目を上演している。
保存会の橋爪穣さん(83)は50年代に市内での上演を見た経験があり、人形の復元では助六の持つ傘を芝居の流れに従って開かせる工夫をした。元警察官で、こけしの制作が50年来の趣味だった斉藤きよしさん(76)は八百屋お七の人形の復元に尽力した。「動かないこけしに比べ、手や首が動くことに面白さを感じた」と振り返る。
保存会のメンバーは約40人で、60歳以上が中心だ。近藤会長は「伝統的な文化に携わることにやりがいがあるが、若い後継者がいてくれればとも思う」と若い世代にも参加を呼びかけている。
芝居館は入場無料で、午前10時から午後4時まで、1日5回上演する。問い合わせは有鄰館内の桐生からくり人形芝居館(0277・46・4144)。【遠山和彦】
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