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再審無罪・免田栄さんが獄中で読んだ1100冊 遺族が熊本大に寄贈

毎日新聞 / 2024年9月26日 8時15分

元死刑囚で再審無罪となった免田栄さん(故人)が獄中で読んでいた本の保存・活用方法について話した元記者ら=熊本市中央区の熊本大で2024年9月25日午後2時15分、山口桂子撮影

 熊本大(熊本市中央区)は25日、死刑囚として国内で初めて再審無罪となり、2020年12月に95歳で亡くなった免田栄さんが獄中で読んだ約1100冊の書籍の寄贈を受け入れたと発表した。同大では免田事件の資料を収集しており、今回の書籍も合わせて保管する。目録の作成後、25年度にも一般公開する方針という。

 免田さんは、1948年に人吉市で起きた祈とう師一家殺傷事件で逮捕され、52年に死刑が確定。79年に6回目の再審請求が認められ、83年に国内で初めて死刑確定囚の無罪が言い渡された。晩年を大牟田市で過ごし、書籍は同市内の集会所で保管されていた。

 免田さんが20年に亡くなり、大量の書籍が残った。妻玉枝さん(88)が、交流のあった地元紙の元記者らにその活用方法などを相談。元記者らは、死刑囚が獄中でどのような思いで書籍を読んでいたのかなどを知る貴重な資料として4年前から分類を始めた。今回、熊本大で受け入れることが決まった。

 これまでの4年間で、元記者らは約800冊の書籍の目録を作成した。中には「無知は恐怖を生み、知識は確信を与える」との文に赤色の印をつけた本や、獄中でのスケジュールメモが挟まっていたこともあったという。

 作業にあたっている牧口敏孝さん(73)は「本の分野は多岐にわたり、知的好奇心を感じる。免田さんにとって、獄中での読書は生きる力を得るものだったのだろう」と推察。高峰武さん(72)は「獄中で死刑囚が訴えていた思いを知る手がかりになる資料でもあり、地元の事件として地元で見ることのできる場を提供するのが大事ではないか」と語った。

 同大文書館の宮崎誓館長は「国立大として社会の問題の記録を残すことの責務を感じている。歴史に真摯に向き合っていきたい」と述べた。【山口桂子】

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