「巣立ち待つ子供のよう」かつての学び舎に並ぶのは…ウイスキー樽 経営再建目指す老舗焼酎蔵の挑戦 鹿児島
MBC南日本放送 / 2024年9月27日 19時57分
少子化に伴って、今、全国では廃校となった学校が毎年400校を超えるペースで増え続けています。県内でも昨年度、27校が廃止となりました。
志布志市では、経営再建を目指す老舗の焼酎蔵が再起をかけて、使われなくなった学校でウイスキーづくりに挑戦しています。
2014年に閉校した志布志市志布志町の旧田之浦中学校です。
(記者)「閉校した田之浦中学校の校舎。校長室、職員室と名残そのままですが、中に並ぶのはウイスキーの樽」
今年1月からウイスキーの貯蔵施設として校舎が活用されています。
(天星酒造 髙屋総一郎営業課長)「ここが満タンになった時を想像すると、ワクワクする」
廃校でウイスキーをつくる、天星酒造の営業課長・髙屋総一郎さん(38)です。
去年11月、体育館の床などを改修し、ウイスキー200リットルが入る樽4000本が置ける貯蔵庫に。改修費用の一部にはクラウドファンディングを活用しました。
(天星酒造 髙屋総一郎営業課長)「クラウドファンディングの形で広く露出できたら、ウィスキーファンにも田之浦という場所を知ってもらえると思った」
大崎町にある天星酒造の本社工場です。
(天星酒造 髙屋総一郎営業課長)「ウイスキーに使う原料、麦芽。モルトウイスキーの原料」
1901年創業の従業員7人の焼酎蔵で、2年前にウイスキーづくりを始めました。ウイスキーの中でも大麦の麦芽のみを原料に使うモルトウイスキーを、大隅地方で初めて製造しています。
(天星酒造 髙屋総一郎営業課長)「発酵してアルコールができている」「わからないことだらけ。用語とかも全然違う、発酵の仕方も違う。焼酎の常識が通じないとこも多くて大変」
3年前、天星酒造は、コロナ禍の焼酎販売の低迷で3億円を超える負債を抱え、民事再生法を申請。関西の酒卸売り企業の子会社として再起を図る中で挑戦したのが、海外で需要が伸びるウイスキーづくりでした。
120年以上続く老舗の焼酎蔵に訪れた転機。製造の現場を担う杜氏にとっても大きなチャレンジでした。
(天星酒造・杜氏 小薗崇樹さん)「焼酎をずっと飲む人間でウイスキーはほとんど飲まなかった、正直不安なことの方が多かった」
(天星酒造・杜氏 小薗崇樹さん)「まだまだ私たちは発展途上なので、ほかの蒸留所に負けないようなウイスキーをこれからも造っていきたい」
海外で認知されている「ジャパニーズウイスキー」という呼称を商品に使うには、「木製の樽に詰めて、国内で3年以上貯蔵する」ことが条件となっています。
(天星酒造 髙屋総一郎営業課長)「見ての通り満杯、500本ぐらい」
2026年度からの「ジャパニーズウイスキー」の出荷を目指す上で、樽の貯蔵スペースの確保が課題でした。
髙屋さんが貯蔵施設を探す中で目に止まったのが、ウイスキーの熟成を早めるとされる寒暖差が大きく、貯蔵に十分な広さがある志布志市の旧田之浦中学校でした。
(天星酒造 髙屋総一郎営業課長)「大崎町の工場がある場所と気象条件が違う。車で30分ぐらいの地域で、味の変化を持たせられる環境はすばらしい」
田之浦中学校は終戦直後に開校し、ピーク時の1960年代後半には99人の生徒がいました。しかし、その後は少子化が進み、閉校した2014年には6人にまで減っていました。
(田之浦校区コミュニティ協議会 井久保修二会長)「変わったけど、見方によっては、樽はそれぞれ生徒で、ここで色々自分の行く先を待ってるような、未来に向かって、期待感がある」
田之浦中学校の卒業生で、地域のコミュニティ協議会の会長を務める井久保修二さんです。
井久保さんが暮らす田之浦地区の人口は、中学校閉校前は680人でしたが、少子高齢化が進み、今は366人まで減少。地域活性化の拠点として、残された校舎の活用策を模索してきました。
(田之浦校区コミュニティ協議会 井久保修二会長)「3年後、田之浦地区で育ったウィスキー、新しいウイスキーが世に出ていく時が来るのを(地区の)みなさん楽しみにしている」
旧中学校の施設のうち、体育館は貯蔵庫としてすでに活用が始まっていますが、今後は校舎の2階部分をウイスキーの試飲もできる貯蔵庫見学の拠点として改修する計画です。
天星酒造の髙屋さんは、廃校でつくったウイスキーを田之浦地区の新たな特産品や観光資源にしたいと考えています。
(天星酒造 髙屋総一郎営業課長)「『うちの町にはウイスキーがあるよ』と言える場所に」
経営再建を目指す老舗酒造会社と、過疎化を食い止めようと模索してきた住民。廃校を舞台に、再起の願いを込めたウイスキーづくりが始まっています。
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