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103万円の壁「壁は何万円に引き上げるのが正解か?」条件と指標でまるで違う「壁の正解」を試算!!国民・玉木代表は最低賃金1.73倍を主張 物価上昇率なら1.1倍 でも食料上昇率なら1.36倍

MBSニュース / 2024年11月22日 18時56分

「103万円の壁」をめぐる様々な意見。手取り増とされるいっぽう、自治体からは税収減と住民サービスの不安、という試算も出ています。また国民民主党の玉木代表からは「税金は余っている」との声も。大和総研の是枝俊悟主任研究員への取材をもとに、「壁を何万円に引き上げるのが正解か。」考え方の一例を示してもらいました。

◆103万円の壁 まずは「課税の壁」

「103万円の壁」その一つ目は「課税の壁」です。103万円を超えたら税金がかかるというもので、これは年収100~105万円の人だけでなく、年収300万円の人も1000万円の人にも関わることです。もし、壁が178万円にアップしたら年収ごとの減税額は以下のようになるとされてます。

年収200万円 減税額8.6万円 年収の4.3%
年収300万円 減税額11.3万円 年収の3.8%
年収500万円 減税額13.2万円 年収の2.6%
年収800万円 減税額22.8万円 年収の2.9%
年収1000万円 減税額22.8万円 年収の2.3%

収入の少ない人ほど、減税の割合が高くなっていますので、そういう意味で公平性があるという意見もありますし、実質、得してるのは高収入者だ、という意見もありますが、多くの人に関わる話です。

◆103万円の壁 もうひとつは「扶養の壁」

もう一つの壁が「扶養の壁」です。年収103万円未満は税制上は扶養で、それを超えると扶養から外れます。この額が結構大きくて、例えば子供が年収103万円を超えるアルバイトなどをするようになった場合、年収500万円くらいの会社員のお父さんは扶養控除がなくなり、税負担が増加します。その額は平均的には年間10.8万円ぐらいと試算されています。

いっぽう、配偶者(例えば妻)がパートで働くケースもあると思いますが、配偶者は103万円を超えても150万円まで扶養対象に入るという配偶者特別控除があるので、働き控えするとしたらそこの壁なんですが、実際は、壁を越えても控除額に段差があり、ガクンと変わるわけではないので、そこに対する働き控え対策はとられているともいえます。

さらに、106万円・130万円といった、国民年金や厚生年金、いわゆる社会保険料を払わなきゃいけないという壁もあります。そのため壁を引き上げるとしても、社会保険料側も合わせて考えましょうという議論も出てきています。

◆なぜ178万円なのか 30年で「どんだけ?」

では、国民民主党の主張している「178万円」は適正なのか、なぜ178万円なのかを見ていきましょう。国の試算では、103万円を178万円に上げると、税収が7兆6000億円下がります。特に地方では5兆円。自治体規模にもよりますが、神戸市は約354億円、広島県は約804億円、神奈川県は約1000億円、香川県は約110億円などと見積もりが発表されています。

一方で玉木代表は、「税収はただでさえ増えているし、皆さんの収入が増えたら、経済活動が活発化して増えていくから大丈夫でしょう」。さらに「去年、税金は結構余っていて、上振れ・予算の使い残しなどで13.2兆円あります」とも主張しています。ただ、専門家の方に聞くと、意見はわかれるところだと思いますが、「余ったお金は借金ではないか」という見方もありました。

103万円というルールは1995年(約30年前)から変わっていません、その前の昭和の時代は何年かごとに変わってきていたのに、ここ30年は変わってないんです。

でも最低賃金を比べると、当時は611円、今は1054円で1.73倍になっている。なので壁も103万円×1.73=178万円 という説明です。

◆壁の高さを理論的に考えてみると… 正解は何種類かあるようだ

大和総研の是枝さんの考え方では、「課税の壁」と「扶養の壁」を別々で考えた方が理屈が通りそうだといいます。年収は時給×時間ですが、この30年で時給が上がったため、103万円にとどめるために、働く時間が減る、となっていますね。

なので、扶養の壁で考えると、玉木さんが言う通り、時給が上がった分だけ1.73倍して178万円にすることは合理的だ、と是枝さんも分析しています。では、それによる税収減がどれぐらいかというと、是枝さん曰く「ほとんど税収減はない」と予測しています。だって今まで大学生は、もともと働き控えをしていたわけですから。

◆課税の壁 で考えると 引き上げ額の正解は?

では、課税の壁、で考えてみます。103万円というのは、憲法25条の生存権(必要最低限の生活をするのにこれぐらい必要で)そこまでは税金をかけませんという考え方に基づいているとされています。そうなると、必要最低限のお金が、1995年に比べてどれぐらい変わってるかということを基にするべき、という考え方もあります。

では、実際30年で、だいぶ上がってるんじゃないですか、と思うかもしれませんが、実は30年壁が変わらなかったのは、ほとんど物価が上がってこなかったからなんです。10年ほど前までの約20年、物価はほとんど上がらず、ここ10年は上がっています。物価が上がった分を30年で平均すると、1割ぐらいだそうです。

それを根拠にすると、今なら103万円×1.1=113万円、「壁の正解」は113万円でいかがでしょうか?

この額では納得いかない感じもあるので、次のデータもみましょう。生活必需品に限った物価上昇率、家賃・エネルギー・食料を見ると、もうちょっと上がっていて、103万円×1.24=壁の正解は128万円になります。

さらに食料の上昇率だけ見ると、もっと上がっていて、30年で約36%上がってますから、103万円×1.36=壁の正解は140万円まで上がるのが最低限の暮らし、とも言えます。

このように、根拠と指標次第で、設定すべき壁の高さは変わっていくことがわかります。さらに減収7.6兆円という試算も、本当に7.6兆円なのか、というところもきちんと知りたい。いったいどこに落としどころがあり、どういう理由で壁の高さが決まるのかも、しっかり見ていきたいと思います。

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