【ウーバーイーツ】ロボット配達の技術がスゴイ!盗まれない?ぶつからない?ギモンを徹底解説 自動運転が先行するアメリカ...『ウーバー』の"真の狙い"を考察
MBSニュース / 2024年11月26日 14時25分
フードデリバリーサービスを手がけるウーバーイーツジャパンが11月14日、大阪市内の一部地域でデリバリーロボットによる配達サービスを始めました。このデリバリーロボットの登場は、私たちの生活を変えるのか?そして、ウーバーイーツの真の狙いはどこにあるのか?自動運転ラボ・下山哲平代表への取材をもとにまとめました。
注文したらロボットが来てくれる!?
11月14日に始まったウーバーイーツの“ロボットによる”配達サービス。うめきたエリアにある5店舗の飲食店で注文すると、一部の配達でロボットが稼働するということです。ただ、“ロボットは嫌”という場合は、人による配達を選ぶことができます。対象エリアは大阪市福島区・北区の一部です。
ロボットの大きさは高さ60cm・幅46cmで、重さは40kg、最高速度は時速5.4km。最大24リットル、20kgまでの荷物を運ぶことができます。
ロボット配達は東京でも今年3月に始まっていましたが、ロボットの稼働は午後5時まででした。しかし今回は日本初となる夜間運行が行われるということで、午後9時までロボットが稼働するということです。ロボットの稼働台数は公表されていませんが、複数台から始めて、今後増やしていくということです。
料金体系は人が運ぶ場合と同じ(商品代金の10%と配送料)です。アプリで注文して、受け取り時もアプリでロボットのフタのロックを解除します。現状では建物内に入ることはできないため、マンションで注文した場合、下まで取りに行く必要があります。
ここがスゴイ!盗難やトラブルを防ぐ『技術』
ロボットには360度カメラやセンサーが搭載されていて、信号の色や人の気配を感知して動くことができます。さらに、ステーションでスタッフが遠隔で監視をしているため、何かトラブルがあればスタッフが遠隔でロボットを操作できるほか、触ってこようとする人に対してアナウンスをすることもできるということです。車と同じように、盗まれそうになった際にブザーが鳴る機能もついています。フタも施錠されています。
搭載されているカメラについては、個人の顔は認識できないように処理されていて、人のプライバシーを侵害しないようにしているということです。
雨や雪の日も、基本的には稼働できます(あまりにも大雨の場合は稼働を中止する可能性も)。
いたずらや犯罪が心配される点ですが、専門家は、ロボットに搭載された犯罪防止の技術だけではなく、認知度が上がることで抑止力になるといいます。「いたずらすれば器物損壊になる」「カメラに見られている」と街の人に認知されれば、犯罪は減っていくということです。
弱点克服のカギは「規制がどう変わるか」
一方で、弱点もあります。この配達ロボットは遠隔操作型小型車という扱いになり、ナンバーもつけて走行しますが、最高速度は時速6kmと規制され、歩道を走ります。そもそも最高時速は5.4kmのため、人が自転車で配達するよりは時間がかかります。また、マンションの場合、人なら部屋まで届けてくれますが、ロボットの場合は下まで取りに行かなくてはいけません。
そうした点を踏まえて専門家は、広く普及するかどうかは“本当に便利”かどうかで決まるといいます。その上で、ポイントとなるのは「規制がどう変わるか」。例えばアメリカでは、車道の路肩を時速20~30kmで走る車両も出始めていますが、そうした試みが日本でも行われるかがカギとなりそうです。
自動運転・無人運転 なぜ日本で進まない?
そんなロボット配達の技術は、車の自動運転・無人運転にも通じます。アメリカでは、無人運転タクシーが実用化されています。
そもそも、工場の機械化は以前から進んでいたのに、なぜ配達ロボットや車の自動運転は最近になって進み始めたのか。工場などの機械と自動運転の決定的な違いは、“瞬時の判断が必要”という点で、それがAI(人工知能)の技術によって可能になってきたということです。
例えば自動車の場合、右折時に「信号の右折矢印が出たら進む」や「前から対向車が来ていないときに進む」はプログラミングで可能です。ただ、実際の道路では「前から車が来ているが、あのスピードだったら進んでも問題ない」などの判断を人は瞬時に行います。こうした判断をAIができるようになることで、実用化が可能になります。
自動運転の技術は、アメリカや中国では既に実用化レベルまで進んでいます。自動運転ラボの下山哲平代表によりますと、「AIのリスクを許容し、AI判断の学習機会を与えた」ことが、アメリカや中国で先行した理由だということです。日本は5~6年遅れているといい、その背景には事故を許容せず安全を重視する日本社会の文化があるのかもしれません。
一方で、日本は最初のスタートが遅くても「便利だとわかったときの広がり方は世界最速」と下山代表はいいます。例えば、2008年にiPhoneが日本に上陸しましたが、2年後(2010年)の段階では“ガラケー”が9割以上でした。しかし2015年ごろに逆転し、今やスマホが90%以上になりました。
目先の利益じゃない!ウーバーが見据える未来とは…
最後に、「ウーバー」の真の狙いはどこにあるのかを考えます。
自動配達が定着すれば労働力不足が解消され、サービス料は安くなり、利用者のメリットが大きくなります。真っ先に始めたアメリカのウーバー・テクノロジーズはさぞ大もうけなのか…と思いきや、違うようです。
実は、ウーバー・テクノロジーズは、2009年の創業時から2022年まで赤字で、年によっては1兆円以上の赤字もありました。それなのに自動配達などにコストをかけられる理由について、自動運転ラボの下山哲平代表は「支出の7割が人件費。自動化が進むことで利益が出るビジネスモデル」という見解を示しています。
それだけではなく、ウーバー・テクノロジーズはもっと先も見ているようで、下山代表は「ビジネスで得た『人の移動データ』がお金になる」といいます。「ここからここへ何時に配達」といった予約のデータなどから、人気の店や宣伝すべき店がわかるようになり、それによって広告収入がどんどん集まるようになる、それこそが一番の狙いだということです。
こういった先を見据えて投資を続ける企業が日本でも出てくるのでしょうか。
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