ノーベル文学賞に反応しないボブ・ディランは「本物のロック」だ
メディアゴン / 2016年10月18日 7時40分
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
* * *
ボブ・ディランにノーベル文学賞が授与されることになった。この原稿執筆時点(2016年10月17日)になっても、ディランからは受け取るのか受け取らないのかを含めて何の反応もない。これはすばらしいことであり、嬉しいことである。
なぜなら、筆者は「ロックはすべからく反体制反権力反多数派であるべきだ」と思うからである。もっと卑近な言葉で言えば、ロックはいつも「あまのじゃく(天邪鬼)」であるべきだと思うからである。ロックをロックたらしめているのは「逆張り」だと思うのだ。
1989年にバンド「X」(1992年にX Japanに改名)が、日本有線大賞新人賞を受賞したとき、アナウンサーに「この喜びを一番に伝えたい人が誰ですか」と聞かれて「母です」と答えたとき「ケッ、こいつらロックじゃない」と思ったものだ。
【参考】<整理番号ぐらいでグダグダ言わない!>シーナ&ザ・ロケッツの35周年ライブに見たロックの神髄
2016年のノーベル生理学・医学賞は東京工業大学の大隅良典栄誉教授に授与された。大隅氏はインタビューで、
「基礎研究の重要性を訴え、現状を憂い、そして一億に近い賞金をあげて若手を育てるために役立てたい。これに対してマスコミや首相は応用面のことにしか触れず、文科相は競争的資金の増額というような見当はずれの弁、科学技術担当相に至っては社会に役立つかどうかわからないものにまで金を出す余裕はないという始末。なげかわしい。これでは科学・技術立国など成り立つはずがない」
との趣旨のことを述べている。
つまり、大隅氏はロックだ。
ノーベル化学賞は、フランスのジャンピエール・ソバージュ、英国のJ・フレーザー・ストッダート、オランダのバーナード・フェリンガの三氏に授与された。その速報でNHKのニュースは「ノーベル化学賞 日本人受賞ならず」とのテロップを出した。驚くべきセンスである、この内向きはロックではない。
ノーベル平和賞は、コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領である。この時「日本人受賞ならず」とは、絶対にテロップ表示しないだろう。文学賞の時に「村上春樹、受賞ならず」と出さなかったのは幸いである。
今、日本のテレビは「日本大好き、日本偉い」という視点の番組ばかりだが、このよこ並びはロックではない。
テレビがこれに反旗を翻すことは決してないだろうから、もう、テレビにはロックはない。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
第48回川端康成文学賞が町屋良平「私の批評」(「文藝」2023年春季号掲載)に決定しました。
PR TIMES / 2024年4月5日 13時45分
-
「悪は、善人が行動しないだけで勝利する」ロシア反体制派ナワリヌイの遺言
ニューズウィーク日本版 / 2024年3月28日 18時22分
-
「水のノーベル賞」に沖大幹氏 東大院教授、日本で3人目
共同通信 / 2024年3月25日 20時12分
-
東映アニメーション製作『あめだま』がニューヨーク国際こども映画祭にて「短編アニメーション審査委員最優秀賞」受賞
PR TIMES / 2024年3月22日 18時15分
-
大反響で発売即重版! 安部公房の幻の遺作『飛ぶ男』(新潮文庫)が発売から10日で3刷決定
PR TIMES / 2024年3月21日 15時15分
ランキング
-
1《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
NEWSポストセブン / 2024年4月18日 11時15分
-
2「コスプレにしか見えない」広瀬アリスの高校生役に賛否、なぜか続く“制服推し”に本人が吐露した不安
週刊女性PRIME / 2024年4月16日 10時50分
-
3安達祐実、木下優樹菜…新パートナーがいても交流続ける“元夫婦”に賛否
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月18日 9時26分
-
4「どんどん美人度が増す」大沢あかね、激変の最新姿が話題!ど派手新ヘアに「若返った」「結構痩せましたよね」
スポーツ報知 / 2024年4月18日 7時45分
-
5倉田真由美氏 コロナワクチン接種後死亡の遺族らの集団訴訟に言及「長い道のりだった」
東スポWEB / 2024年4月18日 16時4分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください