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アメトーーク!「運動神経悪い芸人」は本当に運動神経が悪いのか?

メディアゴン / 2017年12月21日 7時40分

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小池義孝[作家/日本ねこ背セラピスト・インストラクター協会会長]

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お笑い芸人さんが特定のテーマで、面白おかしくフリートークをしたり、検証したりする番組「アメトーーク!」(テレビ朝日)の人気企画に「運動神経悪い芸人」があります。

「アメトーーク!」はバラエティ番組なので大袈裟なところはあるかと思いますが、「運動神経悪い芸人」を専門家の目から見ると一言、まあ酷いです。

ヒザの曲げ伸ばしが使えない「ヒザ神」(フルーツポンチ村上)、必要以上にモモを上げて走る「モモ神」(ロンブー淳)、なぜか無意味に反り返ってしまう「反り神」(ナイツ塙)など、運動の物理法則に縛られない偉大な神々までも誕生させています。

しかし、意外なことに、フルーツポンチの村上さんは、子供の頃から9年のサッカー経験があるスポーツマンです。練習も真面目にされていたそうなので、筋肉は発達していたはずです。それでも「運動神経が悪い」と言います。

村上さんを例に見れば、運動をしてきたからと言って、必ずしも、運動神経が発達するわけではない、ということがわかります。ではなぜ「運動神経悪い芸人」たちは運動神経が悪いという状態になっているのでしょうか。

もそも運動神経とは、すごく簡単に言えば、思った通りに体を動かす能力です。そこには2つの段階があります。1つ目は「思うこと」。2つ目が「思ったように動かすこと」です。

運動神経の良い人は、合理的に動かすイメージが出来ていて、更にそれを忠実に実行できます。だから何をやらせても、見よう見まねで、あるいは少しの練習ですぐに形になります。一方、運動神経の悪い人はその逆です。イメージが出来ていないか、出来ていてもその通りに動かせないかの何れかです。

まず、彼らの動きの共通点は、運動する上での第1段階である「思うこと」が出来ていない、ということです。どのように動かせば良いのか、解っていないことが動きを見ればすぐにわかります。実は一般的に運動神経が悪いとされる人のほとんどが、この第1段階「思うこと」でつまずいているタイプです。

何でも個人差はありますから、もちろん運動神経にも才能による格差や違いはあるでしょう。けれども運動神経の明らかな悪さは、遺伝や生まれつきではありません。幼少期に、第1段階の「思うこと」が形成されていれば、第2段階の「思ったように動かすこと」が自動的に訓練され、運動神経は十分に発達するからです。

だからと言って、小さな頃から運動させれば良いという話ではありません。習い事でスポーツをしていても、結局、運動神経が悪いままの人は大勢います。

では一体、何が運動神経の発達を分けるのでしょうか?

それは筋肉の柔軟性と筋力です。

筋肉は柔軟であればあるほど、自分で思ったような操作ができます。逆に筋力については、強い方が運動神経の発達を妨げるケースがあります。筋力が強いと、体を連動させて上手に操作しなくても、力任せに出来てしまうからです。

「運動神経悪い芸人」の動きを見ると、特に柔軟性の低さを感じます。これは単に、前屈ができるとか開脚ができるとかではなくて、運動効率を支える全体的な柔軟性です。経験していない筋肉の動きは「思うこと」ができません。第1段階の「思うこと」から、経験値が不足している→運動神経が悪い、というわけです。

運動神経を良くするには、改めてその経験を積み重ねれば良いのです。つまり、「運動神経悪い芸人」たちも、正しいトレーニングをすれば、運動神経は高まります。ただし、小さな子供の頃と同じようにしていては、何も変わりません。トレーニングで運動能力が上がるだけで、運動神経はそのままになってしまうからです。

では、どうすれば良いのか? 体の構造、筋肉と骨格を正しく認識して理解して、合理的な動きを脳に覚えさせれば良いのです。この行程で「経験不足」というハンデはかなり覆せるはずです。

そういうことを言うと、高額なフィットネスクラブやトレーニングジム、特殊な機器などを想像しがちかもしれません。しかし、「体の構造や筋肉、骨格を正しく認識して理解する」ということは、実は非常にシンプルです。筆者は専門家として、それらは誰でもが簡単に理解できるものであると強く主張しています。

筆者が先日上梓した「見るだけで体が変わる魔法のイラスト –健康になる!運動能力が上がる!」(自由国民社)では、1枚のイラストを見るだけで誰でもが健康増進や運動神経向上のための身体理解ができます。つまり、究極的には1枚のイラストだけで、説明も理解もできると考えています。

例えば、挿絵のイラストをご覧ください。

透けている筋肉は、大腰筋(だいようきん)です。インナーマッスルという言葉は聞いたことがあると思いますが、その代表格です。

多くの人は「足の付け根」は青い丸の箇所だと思っています。だからそのイメージで、足を動かしています。確かに骨だけを見ればそうなのですが、筋肉レベルで見ると、本当は、赤い丸の箇所が正解です。

大腰筋は、背骨の鳩尾の辺りから始まって、太腿の骨の内側につながっています。鳩尾を足の付け根と意識して動かす方が、筋骨格の構造上ではより理にかなっています。

そうやって歩くだけで、運動神経の良い動き方になります。あとは数をこなして慣れれば、大腰筋を使った動き方が自分の物になります。それだけで以前とは違う、運動神経の良い人に寄ってゆくのです。

ウォーキングでも良いですが、出来れば同じ要領でランニングもすれば、大腰筋が動くのにつられて、体幹部の周囲の筋肉もさらに連動するようになります。徐々に運動神経の良い人に接近してゆきます。

それに加えて、本格的に「運動神経の良い人」になるためには、赤い丸から動かしだす手の訓練もあります。手を動かす時、運動神経の悪い人は、肩関節から先だけでやろうとします。でもそれだと、何をするにも弱くなり、ボールを投げてもラケットを振っても、へなへなボールにしかなりません。

鳩尾(みぞおち)から動かし出して、手を前に、斜め上に、斜め下に、左に、右に、あらゆる方向に、ゆっくりと突き出すようにしてみてください。慣れてくると、体幹部から連動した腕の動かし方を脳が覚えてくれます。その際、可動域の限界まで攻めてあげると、背中の筋肉にストレッチがかかって柔軟性も上がります。

たった1枚のイラストで説明できるこの2つを理解さえすれば、体幹部から足を動かす、体幹部から手を動かす、をマスターできてしまいます。他にも、太ももの意識を少し変えるだけで爆発的に足が速くなる、腕の意識をやはり少し変えるだけで腕力がアップする方法もあります。いずれもイラスト1枚です。

「運動神経悪い芸人」はバラエティ番組ですから、演出や演技も多分にあるとは思いますが、そもそも器用な芸人さんたちなので、ちょっとしたきっかけを与えれば、飛躍的に運動神経が高まる可能性もあると思います。

ただし、薄毛の芸人さんが薄毛治療薬のイメージキャラクターになった際、本当に薄毛が治り始めたために薬の服用を止めた・・・なんていう話もありますので、「運動神経悪い芸人」たちは運動神経を向上させたいわけではないかもしれません。

だとすれば、筆者の本は読まないことをおすすめします。

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