<拝啓今上天皇陛下さま>天皇陵の発掘調査を許可してください

メディアゴン / 2019年5月28日 7時30分

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高橋秀樹[放送作家/発達障害研究者]

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ぜひ、天皇陵の考古学的調査と、発掘の許可をいただきたいと思う。

大阪府堺市、羽曳野市・藤井寺市に渡って存在する「大山(だいせん)古墳(伝仁徳天皇陵)」など「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」が、ユネスコ(国連教育科学文化機関)によって、世界文化遺産に登録される見通しとなった。事前審査する諮問機関が「登録が適当」と勧告した。6月30日からアゼルバイジャンで開かれる世界遺産委員会で最終的に決まる。

いまさらながら、解説すれば、世界遺産は、「人類にとっての共通の宝・財産として後世に伝え、国際的に保護していく目的のため、1972年にユネスコで世界遺産条約が採択されたのがはじまり」だ。「人類にとっての共通の財産」であることは、取りも直さず「日本国民全員の誇るべき財産」でもあるということだ。

巨大な古墳群は5世紀前期から中期に造営されたもので、これら王墓と比定される墳丘の建設にあたっては、支配地の農民からのいわゆる税金と労働力を費消して造られたものでもある。その意味でも、現代にあってこれらを「日本国民の財産」とすることは、妥当なことであろうと思う。

だが、残念なことに、これら古墳群の学術調査は一向に進んでいない。世界最大の墳墓である、大仙古墳についても、宮内庁が百舌鳥耳原中陵(もずのみみはらのなかのみささぎ)として仁徳天皇の陵墓に治定しているが、実際の被葬者は明らかでないのが現状である。日本史の教科書も、仁徳天皇陵だとはしない。

世界遺産の登録にあたって求められる「顕著な普遍的価値」を、明らかにするためには、発掘調査が必要だ。だが、天皇陵・陵墓参考地は国有財産法に基づく皇室用財産のため、宮内庁が調査に資する発掘を認めていない。(大仙古墳は2018年11月、墳丘を囲む堀の護岸工事部分など、ごく一部を発掘調査した)

個人の権力の大きさや身分の差が、建造物という形あるものして、明らかに示されるようになっていった古墳時代の物証である陵墓の発掘調査は文献によるもの以上に雄弁に日本人の歴史を物語るであろうと思われる。

異論もあろう。諸外国の陵墓と比較して、大仙陵などの調査が進まないのは、現在も続いている王朝の陵墓だからと容易に想像がつく。中国の始皇帝陵やエジプトのピラミッドの被葬者の王朝は現在は途絶えており、発掘調査は進む。日本の皇室は建国から万世一系とされ、たとえ古代のものであっても、祖先の陵墓の発掘には抵抗の大きいものだろう。

しかし、今は、それを乗り越えるときではないのか。今上天皇陛下は中世史の研究家でもあると聞く。歴史学者として、日本国民の総意にもとづく、日本国民統合の象徴として、神武天皇から126代続くとされる天皇家の当主として、ぜひ、今上天皇陛下には、天皇陵発掘許可の英断を望みたい。これは禁じられた政治的発言には当たらないであろう。

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