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<漏れ出たエクセル>「桜を見る会」野党合同ヒアリング

メディアゴン / 2020年2月2日 22時46分

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両角敏明[元テレビプロデューサー]

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野党合同追求本部による「桜を見る会」のヒアリングが連続ドラマのようでおもしろいとおっしゃる方がいます。ヒアリングは1月27日までに31回、そのすべてを視ている筆者としては、お役人の「のらりくらり」や「隠し事」が過ぎて、連ドラにしては展開が遅いのが不満です。

たとえば、

野党「内閣府が招待者の推薦を依頼するのは各府省だけですね?」

内閣府「おっしゃるとおりです」

という第1回のやりとりから、

内閣府「安倍事務所や与党にも幅広く推薦をお願いしています」

に回答が変わるまでに一ヶ月もかかっています。まどろっこしいったらありゃしません。

野党「招待者の取りまとめはどういう手順で行われますか?」

内閣府「取りまとめのプロセスは内閣府の適正な遂行に支障をきたす怖れがあることなどから回答は控えさせていただきます」

これも第1回ヒアリングのやりとりですが、それ以降二ヶ月という長期間のやり取りから漏れ出た内閣府発言を整理すると、以下のようなプロセスがわかってきました。以下はヒアリングで内閣府が2019年度について説明した内容の整理です。

<1月25日に推薦依頼を発布しました>

内閣府によれば、推薦依頼はエクセルファイルのやり取りだと言っています。内閣府側から各府省へ府省ごとの区分ナンバーと、推薦者欄に整理番号を付した表形式ファイルを渡します。仮に推薦者枠100名の省なら、100行それぞれに整理番号があらかじめ付されています。よってこの省は基本的に100名以上の推薦者を書き込む余地のない書式です。第二次安倍政権以降、年々ドカドカと全体の招待者数が増えても、府省推薦者総数が増えていない理由がここにあります。

[参考]<桜を見る会>ウソと「ならば、ならば」の攻防戦

ところが、安倍事務所とか自民党などへ渡すエクセル表形式ファイルには整理番号が付されていないと内閣府が言っています。こちらは前年よりも増えることを予定したようなやり方です。

<推薦の〆切は2月8日でした>

2019年の各府省からの推薦〆切り日は2月8日ですが、なぜか安倍事務所への「桜を見る会」参加申込み書には申込み期限が書かれていません。でも・・・

<招待状の発送は3月でした>

中井亨・内閣官房参事官によれば、推薦された者は一定のチェックをした上で最終的に招待者として取りまとめられ、酒田元洋・内閣府総務課長のもとで例年3月初旬から中旬に招待状が発送されます。3月に入るまでは誰も「桜を見る会」に招待されるかどうかわからないのです。ところが、安倍事務所は参加申込者に対して

「このたびはご参加を賜りありがとうございます」

というお知らせを出しているのですが、この日付けは「2月吉日」。これでは内閣府が招待状を発送する前に安倍事務所は招待決定者を知っていたことになります。おかしな話です。この事実は衆院予算委員会で安倍首相も認めざるを得ませんでした。これは特別扱いのほんの一例です。もうひとつ留意しておくべき事があります。

内閣府と各府省との間ではエクセルファイルで推薦リストのやり取りがされています。安倍事務所にもエクセルファイルで推薦をお願いしていると内閣府は発言しています。ならば自民党も同じでしょう。各府省も安倍事務所も自民党事務局総務部も、内閣府へ共通書式のエクセルファイルに自らの推薦者を入力して渡しているはずです。これらのエクセルデータを一本化し、整理し、チェックすれば「推薦リスト」から「招待者リスト」を生成できることになります。これを50音順に並べ替えて重複チェックをしたり、招待状の種別毎に分類したり、なんてのは常識です。

ある日、中井亨内閣官房参事官は聞かれてもいないのに『データベースはありません』と断言しました。「招待者リスト」が消されても、それを作るための「招待者リストデータベース」があるはずだ、と突っ込まれるのを警戒しての発言でしょう。エクセルは「表計算ソフト」で「データベースソフト」ではないという論法のようですが、これって「ごはん論法」です。エクセルがけっこうなデータベース機能を持っていることは常識です。

各府省はそれぞれの「推薦リスト」を3年~10年保存の公文書としてエクセルデータで残しています。ですから安倍事務所も自民党も「推薦者リスト」のエクセルデータを残していないなどと考える人はこの世にほとんどいないでしょう。百万歩ゆずって安倍首相答弁のように安倍事務所の「推薦者リスト」は消去されたと仮定しても、安倍事務所の「後援会名簿」には「桜を見る会」参加の履歴があるはずなのです。

結局のところ「招待者リスト」を消しても、各府省や安倍事務所、自民党などに「推薦者」データが残っていない訳はなく、それさえあれば「招待者リスト」の再作成などお茶の子さいさいです。

招待者リストが消去されていることをほとんど唯一の楯にして逃げまくる安倍政権ですが、28日の衆院予算員会で功労、功績者という参加資格が事実上ノーチェックであることが共産党宮本徹議員との質疑で明らかになりました。安倍政権が一歩押し込まれた形です。

巷では新たに安倍事務所のアヤシげな話が出始めています。ひょっとすると安倍一族の崩壊ドラマが国会審議で視られるかもしれません。

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