<NHK受信料追加値下げか?>役員報酬1円もカットせず番組制作費は17%増加
メディアゴン / 2020年2月8日 7時30分
奥村シンゴ(ライター)
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高市早苗総務大臣がNHKに受信料の追加値下げを求める意見書をまとめ、電波監理審議会で承認され、NHK予算案と共に通常国会へ提出される。総務相の意見書では、「6%相当の還元にとどまらず、受信料の在り方について不断に検討する必要がある」と指摘しており、NHKはより一層の業務効率化や経費削減などが求められることになる。
ネット上では「早くスクランブル化しろ」、「公共放送なのだから人件費を国家公務員並にしろ」、「ネットフリックスみたいに有料化すれば?金払ってまで見たい番組作る気ない」などと非難の嵐だ。それにも関わらず、NHKは役員報酬を削減する予定がなかったり、番組制作費は膨らむ一方だという。
<NHK役員報酬1円もカットせず>
NHKは昨年10月、受信料を今年10月に地上契約で月額35円、衛星契約で60円の値下げを発表し、受信料収入(約7060億円)の4.5%に相当、奨学生受給学生の対象者は徴収していない分を含めると6%値下げする。今年10月からNHKの受信料は、地上契約が月額1260円から1225円に、衛星契約が2230円から2170円となるが、高市総務大臣は更に値段を下げろと提案している。
先日、NHKは2020年度の収支予算を発表したが、事業収入は前年比43億円減の7204億円、事業支出は前年比76億円増加し7354億円とマイナス149億円の赤字。赤字は2年連続となる。2年連続赤字になった原因として、東京五輪、パラリンピック、インターネット同時配信、4K・8K放送、今年10月に予定される受信料値下げがある。ところが、2年連続赤字の収支予算を発表したにも関わらず、元NHKで現在自民党参議院でネット配信の『文化人放送局』でもおなじみ和田政宗氏によれば、役員報酬は削減しないという。
和田は1月23日にオピニオンサイト「BLOGOS」に下記を寄稿している。
「NHKは二年連続の赤字予算で、来年度は149億円の赤字見込み。民間企業なら経営陣の責任が問われ、報酬削減などが行われますが、 NHKは会長3092万円、副会長2690万円、専務理事2360万円、理事2206万円の報酬は、1円も削減しない見込みです。皆様はどう思いますか?」(和田政宗氏の1月23日ブロゴス記事より引用)
もし和田の記事が真意であれば、和田が指摘する通り、民間の会社なら上層部の報酬カットは当然だろう。NHKは視聴者から受信料を徴収しておきながら、役員が自ら身を切らないとは言語道断である。しかも、NHKの新会長の前田晃伸氏は記者会見で「業務、受信料、ガバナンスの三位一体改革は不断に取り組まなければいけない課題だ」としながらも、受信料を「下げればいいということではない」とまで話しているから驚きだ。
[参考]<NHKクロ現>「超プレゼン術の極意」取りあげかたが残念
ちなみに、NHKの平均年収は週刊東洋経済によれば1098万5000円という。『平均年収が高いトップ500社ランキング2019 』(プレジデントオンライン)では、民間企業で61位の位置にランクイン。役員報酬を1円も削らないところや平均年収の高さの割に受信料の値下げが地上契約で35円、衛星契約で60円では納得しない国民や視聴者が多くて当然だ。
<番組制作費が民放15%減少、NHK17%も増加>
収支予算が赤字であれば、前項で述べた経営努力はもちろんのこと、果たして業務に無駄がないか精査する必要もある。
「NHKと民放キー局の番組制作費の合計を比較すると、NHKは過去10年間で番組制作費が17%増加し、民放キー5局合計は15%減っている。つまり、民放は近年のテレビ離れなどによるテレビ広告費減少でそれなりに経営努力をしているが、NHKにその姿勢はうかがえない。」(週刊東洋経済より抜粋)
NHKは民放には制作が難しい災害報道、ドキュメント番組、大河ドラマ、紅白歌合戦、朝ドラなど魅力的で不可欠なコンテンツが存在する。とはいえ、民放と比べ番組予算が膨らみすぎではないだろうか。例えばコロナウイルスの報道にしても、横浜港のクルーズ船の乗客や救急車で病院に搬送されていく模様を撮影したり、ヘリまで飛ばしたりする民放と似たような報道を放送している。
経済評論家の上念司氏は自身のツイッターで、
「クルーズ船の着岸を中継して何か意味あるんか?物資が運び込まれました、、、だから何?そりゃ物資いるだろ。テレビの情報伝達量の少なさに呆れる朝。ヘリまで飛ばしてアホかと」
とツイートし、拡散され続けている。日本がコロナウイルスで緊急事態の中、公共放送が必要性があるとは思えない。NHKが高市総務大臣から「もっと値下げしろ」と言われ反感を買われるのは、至極当然の結果といえるだろう。
6%以上の受信料値下げは早急に実現することこそが「公共メディア」に課された最低限の責任だ。
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