<恥ずかしい元総理>人類が新型コロナに打ち勝った証し?-植草一秀
メディアゴン / 2021年7月5日 0時12分
植草一秀[経済評論家]
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7月から8月にかけて日本の自然環境は厳しさを増す。梅雨の豪雨、酷暑、台風が重なるからだ。運が悪ければ地震も重なる。この時期に五輪を開催しようというのが、そもそもの誤り。
東京オリパラの招致委員会及び東京都が提出した東京五輪立候補ファイルにはこう記された。「この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリート が最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」「アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」目からうろこでなく目が点だ。ウソから始まりウソで終わる。
安倍晋三氏は昨年3月24日に東京五輪の1年延期を発表する際にこう述べた。「人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証しとして、完全な形で東京オリンピック・パラリンピックを開催する」1年3ヵ月が経過して事態は一段と混迷している。
東アジアは世界のなかで新型コロナの被害が際立って軽微な特殊地帯。しかし、日本はその東アジアで最悪のコロナ被害パフォーマンスを演じる。コロナ大失政の成果だ。人類が新型コロナ感染症に打ち勝っても、日本だけは打ち勝てずにさまよい続けるだろう。
菅コロナ三原則は「後手後手・小出し・右往左往」本当に五輪をやりたいなら、感染収束に全力を注げばよいはず。ところが、感染拡大推進のGoToトラブル事業を全面推進。海外で変異株が確認されても水際対策も速やかに実行しない。感染症対策の基本は「検査と隔離」だが、いまだに日本政府は必要十分な検査さえ実行しようとしない。
感染が減少すると行動抑制を緩和する。感染が拡大すると緊急事態宣言を発出する。この繰り返し。日本の感染波動は感染再拡大に転じている。感染の中心はL452RおよびE484Qに置き換わりつつある。感染力が拡大する可能性が高い。若年者の重症化リスクも高いと見られている。この状況下で緊急事態宣言を解除して五輪開催強行に突き進む。
海外から8万人もの外国人が流入する。すでに五輪選手、五輪関係の報道関係者からコロナ陽性者が確認されている。東京五輪は「コロナの祭典」になる。圧倒的多数の日本国民が東京五輪開催強行に反対している。理由は単純明快。
五輪開催強行が日本国民の命と健康を損ねるから。至極まっとうな判断だ。
開会式に2万人の観衆を収容し、五輪期間中は終電の繰り下げを鉄道各社に要請するなど、正気の沙汰でない。安倍晋三氏は東京五輪に反対しているのは反日と語ったが反日の意味を知らないらしい。国民の命と健康を優先して五輪開催を断念するべきだと考える人々は、日本国民の利益を真摯に考える愛国者。現状での五輪開催に反対することを「反日」とする「知性」が疑われる。この環境下で五輪開催を強行しようとする行為が反日。
昨年3月に「人類がコロナに打ち勝った証として完全な形で五輪を開催する」と叫んだことを覚えているのだろうか。昨年5月25日には1回目の緊急事態宣言を解除して「わずか1ヵ月半でコロナ収束に成功した日本の力」と自画自賛した。
このような人が日本のトップにいたことを多くの愛国者が恥ずかしいと感じている。
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