<本フェチにはマネできない?>増殖する蔵書を「本棚一本」以上に増やさないテクニック
メディアゴン / 2014年11月7日 19時5分
水留章[テレビ番組制作会社 社長]
* * *
2014年11月7日の新聞で、「月額500円でたくさんの雑誌がバックナンバーに限るがすべて読み放題」と言う電子書籍サービスがとても好評得ていると言う記事を読んだ。電子書籍普及の起爆剤にもなろうかという話である。前月以前の雑誌が読み放題という確かにアイディアである。出版社も協力するだろう。
すぐさまそのアプリを買おうと思ったが、妙なことが気がついてしまい、購入をためらってしまった。
「そんなに買って読む時間あるの?」
いつも家人に言われてる言葉だ。本は「積まれている姿が美しい」と思って筆者にとっては困った質問ではあるのだが。では、図書館や大型書店に行けばいいじゃないかと言われるが、やはり自分で選んだ自分の本が自分の周りに・本棚に並んでいる状態が好きだ。筆者の布団の周りは常に本で囲まれている。
特に本を買うのが大好きな人間にとって、この問題、すなわち「本の置き場」は永遠のテーマだ。本は知らないうちに増殖する。もちろん買った本を全て読んでるわけではない。「積ん読(つんどく)」という言葉はあまり読書が流行らない今では死語になっているが、「積ん読」も嫌いではない。
文庫本など、押し入れの段ボールの下のほうにあることが何となく思い出されていても、それを探す手間よりも買ってしまう方を選ぶ人も多いと思う。人生はあまり積極的ではないが、読書や本にだけは妙に積極的な友人がいる。彼の書法はとても素晴らしい。学びたいと思ってもなかなか真似できないその友人の方法とは、一年をひとつの期間に区切り、本を読み終わってから、一軍と二軍、三軍に分けるというものだ。
自分の目に見える所にある本棚に入るものが「一軍」。そこに入るかどうかすぐには判断できないものは「二軍」として脇に置かれる。読了後、「これはいらない、もう目を通すことがない」と思うものは「三軍」に入り、段ボールの中に入れられる。
そして12月になると、一年の総決算として、11ヶ月の「一軍」を再読して精査する。「二軍」の本も考慮する。年末の日本レコード大賞の審査のようだ。最終的に書棚に残る「一軍」が選ばれる。そして年末の仕事休みに入ると、書棚に入らなかった本は「ブック・オフ」に郵送される。そうすると、いくばくかの翌年の書籍購入代が振り込まれるというわけだ。
これが毎年繰り返される。
さらに徹底しているのは、「積んである本」の中にある本は、一年間未読のものは、即段ボール行きが決定するということだ。よって、彼の部屋に恒常的な「積ん読」は存在しない。結果的には、本は「ひとつの本棚」以上には増殖しないという仕組みだ。とても合理的で、頭も整理されるすばらしい方法だ。
でも、これがなかなか真似ができない。
「並んでいる本の背表紙を見れば、人生の大体のことが学べる」
そんなタイトルの本があって欲しいと願っている筆者にとっては、絶対に無理だ。「蔵書の重みで家の床が抜けた」と憂いている人の顔に「かすかな自慢」が見えることがあるが、これがとても好きなのだ。
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