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<ただより高いモノは無い>町中で見かける「Tカード」の個人情報だって第三者に渡るんです

メディアゴン / 2015年5月12日 21時36分

岩崎未都里[学芸員・美術教諭]

* * *

1980年代、若者はみんな持っていた「丸井の赤いカード」。これを使って関東では学生やフリーターの若者が、アパートに家具・家電を買い揃え、新発売のウォークマン(当時33,000円)まで購入していた。

筆者のアラフィフの友人達は

 「丸井の赤いカードは、18歳でもローンが組めて、欲しいモノが直ぐに手に入る魔法のカードだったよ。」

と、よく語ります。

そして、そのあと必ず加えられる台詞は、

 「ローンの金利は、今では想像がつかない数字だったけどね。毎月支払日にはヒヤヒヤさせられたよ。」

と。簡単に手に入れられる便利なカードには、高い金利がついて回ったわけです。

そして最近、筆者が気になる存在は、街に溢れかえる「T」のマークです。「Tカード」は多種多様な業種と結びつき、コンビニ(ファミリーマート)、家電、ネットショップ、ファミレス、ガススタンド、医療・医薬品、航空会社(ANA)まで、「Tポイント」なるもが貯まります。

商品を購入するたびに百円単位でポイントが溜まり、ポイント数と同額商品を購入できてしまう、便利なカードです。簡単に手に入る「Tカード」は連絡のつく電話番号さえあればニートな若者でも発行され、入会金や年会費も無料です。

何やら「簡単に手に入る便利なカードがここに再登場!」と、言われると「高い金利がついて回ったように、なにかあるのではないか?」と考えてしまいます。

従来のポイントカードなど、会員の個人情報が登録されたカードは、自分が登録した店舗のみに保有されてきました。しかし、最近では登録先の規約変更で第三者に個人情報が渡るケースが多い傾向にあり、これは「Tカード」でも同様です。

「Tカード」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下CCC)の発表によると、2014年11月1日から個人情報の「第三者提供」を開始しています。

1. 第三者への提供を利用目的とすること
2. 第三者に提供される個人データの項目
3. 第三者への提供の手段又は方法
4. 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること

以上の4つの条件を「本人に通知」あるいは「本人が容易に知り得る状態(ホームページにアップしてあればOK)」にしておけば、本人の合意署名・合意操作なく個人情報の「第三者提供」ができるのです。

「個人情報」はとても価値が高く、企業側も喉から手が出るほどに欲しがるものです。あのマイクロソフト社が巨額の資金でSkypeを買収したのは、Skypeユーザーの膨大な個人データを手に入れることが大きな理由に挙げられているほどです。

CCC社では、消費者行動を分析したデータを活用することで「ユーザーは買いたいものがいつでもある状態を提供する」とユーザーへのサービスやメリットを強調していますが、個人情報保護の観点から議論を呼んできたままの状態で半年経過しています。

「個人情報保護法」によると、「個人情報」の定義とは、

 「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」

を指します。つまり、氏名や住所だけでなく、購入商品やDVDの貸し出し情報なども個人情報であるということです。一見、1つの情報だけでは個人を特定できるものではないですが、複数の情報を組み合わせることで、個人を特定できるものも個人情報であるのです。

ちなみに、スマートフォンの無料アプリで、TwitterやFacebookの会員情報を利用した自動認証機能などがありますが、これらも同様のケースと言えるでしょう。

簡単にFacebookの友達に占いアプリなど利用されて「広告がPC画面内に入るだけなら別にいいよ」「いや、育毛剤広告など迷惑だ!許せない」など、そんな所から始まり、「家に勧誘電話」、「家にDMが送付」なども、あり得ます。

目先のメリットに惹かれて使う前に、そのサービス・メリットの所在と目的、がどういう仕組みで提供されているのか、考えてみる必要があるのではないしょうか。マーケティング手法自体は合法的なものであり、問題は無くても、自分自身の個人情報が、知らない間に知らない所で使われていることも認識して、利用するか、しないか、を選択したいですね。

結局、「ただより高いモノは無い」のです。

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