俳優の「育休宣言」をヒモ呼ばわり…「働く男」へのまなざしは変わらないのか?

messy / 2015年5月27日 0時30分

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 80年代からテレビドラマ等で活動する俳優の金山一彦(47)が、“突然の「俳優引退宣言」をした”、とスポーツ誌が報じた。若いmessy読者は金山の俳優としての活躍ぶりをあまりご存じないかもしれない。00年代以降は2時間ドラマ以外の出演は減り、バラエティ番組への出演が増加。もしかして金山を俳優としてではなく「あぁ、たまにバラエティでチャーハン作ってる人ね」ぐらいの認識で見ている人もいるかもしれない。しかし、かつては映画『シャコタン☆ブギ』や『稲村ジェーン』などの話題作にも出演し、NHKの大河ドラマにも四度出演経験がある。主役をはることはなくても数々のドラマや映画に出演している、れっきとした俳優なのである。

 そんな金山が最近マスコミを賑わせた話題といえば、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)に出演中の熱狂的ふなっしーファン・大渕愛子弁護士(37)と昨年8月に結婚したことであろう。2人は共にバツイチ同士の再婚で、金山の前妻はかつて一世を風靡したアイドル女優のみっちょんこと芳本美代子(46)だ。

 金山と芳本は1996年に結婚するも、結婚一年後で別居。その後一女をもうけるが、それからも別居と修復を繰り返していたようだ。別居に至ったのは主に金山の素行が問題ではないかと言われており、女優・河合美智子との不倫疑惑やギャンブル好きからの借金疑惑、芳本へのDV疑惑など黒い噂が後をたたなかった。17年間で終止符を打った結婚生活だが、そのほぼ一年後に金山は大渕と再婚。大渕は昨年11月に妊娠5カ月であることを発表し、今年の3月26日に男児が誕生している。

 さて、冒頭の「引退宣言」だが、金山はすでに今年の3月末で所属事務所を退社したという。今月5日の「こどもの日」に、自身の公式ブログで、女性の社会進出や少子化の問題解決のためにも「お父さんの子育てが必要なのではないでしょうか?」と提案。「お父さんも産休をとってどっぷり子育てに参加する。そう言うお父さんが増えてくれば、会社のシステムも変わってくるだろうし。。。」と、育児に“どっぷり”参加する意思を匂わせていた。ただ、金山はスポーツ紙報道の「引退」という部分は否定しており、「育児休業です」と訂正している。いずれは仕事に復帰する考えのようだ。

育休夫はヒモではないんですが

 妻の大渕愛子も、夫の育児休業についてブログで言及している。息子が生まれてからの2カ月間は「私が主に育児をして仕事を控えていた」ため、「彦さん(=金山)が率先して、『次は自分が主に育児を』と言ってくれました。とは言っても、2人でやっていくんですけどね」と説明する大渕。両親で協力して子供を育て、育児の楽しみも共有したいという。今後、大渕は出産前同様にタレント弁護士として仕事復帰をし、金山が仕事を減らして育児時間を多く取るというわけだ。

 これは実に興味深い決断だ。金山も俳優・タレントとして仕事がゼロなわけでは勿論ない。しかし弁護士として勤務するぶんの収入プラス、ふなっしー好き&新米ママの肩書きを持つタレント弁護士である妻の方が、今は稼ぎ時なのだ。つまり彼女のキャリアを考えたら、ここが頑張り時。一方の金山は、今、「子供が生まれたから」といって急に仕事を増やそうにも増えるものではなく、数カ月~数年は育児ブログ更新程度の仕事に抑えてもキャリア上の支障がない――夫婦で話し合いそう判断したのだとしたら、賢明だと思える。

 偶然にも26日、東洋経済オンラインで「男性も家事・育児をする社会を作ろうよ! ある"ガチイクメン"からのメッセージ」と題した記事が配信された。妻と娘の3人家族で暮らす男性・宮本さん(博報堂勤務)が、妻が体調を崩したことをきっかけに休職し、家事育児を全面的に担った体験談、そして“ガチイクメン”として日々過ごす中で見えた現行社会の問題点に言及している記事だ。

『国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、このまま出生率の改善がなされなければ、60年には日本の人口は約8700万人、うち65歳以上が40%になる。つまり、日本がほぼ破綻状態になることは誰の目にも明らかだ。家族政策によって出生率が回復し、経済成長も遂げたスウェーデンでは、概して男性の育児時間が多い』(詳しくはコチラ)

『地域社会や母親たちの状況がすでに限界に達している今、日本でも男性たちが働き方を変えて、経済のためにも家事・育児を前向きに担わなくてはいけないと確信しました』(詳しくはコチラ)

 男性と女性の間ではまだまだ天と地ほどの差がある、子育てに対する意識。実際、筆者の友人でこの秋に育児休暇を終え職場に復帰予定の30代女性も「復帰にあたって、実家の近所に引っ越しを検討している。家事、育児に加えて仕事。これ以上全部ひとりでこなすのは無理」と話していた。ひとりでこなす……つまり、彼女ははなから夫の協力はあてにはしていないのである。もちろん日本にだって家事育児を主体的にこなす夫・父親もいるにはいるのだが、おそらくこれが日本の子育て世帯夫婦の現状であると言えるのではないだろうか。



 この現状を打破するためにも、金山のような芸能人がガチイクメンの当事者となり、その中で体験したこと、考えたこと、見えてきた問題点などをどんどん世の中に発信していくことは、彼ら夫婦に無関係な一般子育て世帯にとっても有益だろう。

 結婚当初は「一年後には離婚する予感」など、バラエティ番組でもネット上でもネガティブな見方をされることの多かった金山と大渕。ちなみに、匿名掲示板等を巡回したところ、今回の金山の育休宣言に対しても、「つまり大渕のヒモになるってことでしょ?」と否定的な意見が少なくないようだ。ヒモであるということと、家庭内で育児を担うことの区別もつけられない人もいるとは残念である。「結婚して子供まで出来たのに、外で仕事をして稼げない男はダメだ」という謎の論調は赤西仁・黒木メイサ夫妻や、水嶋ヒロ・絢香夫妻にも頻繁に攻撃として向けられる。

 筆者としては、一回目の結婚生活に数々の反省点があった金山だからこそ、今回は同じ轍を踏まないように努力し、今できる最良の選択をしたのではないかと思うのである。今後、金山と大渕が日本の子育て事情に一石を投じ、新たな夫婦像のロールモデルとなってくれることに期待したい。
(エリザベス松本)

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