【シゴトを知ろう】車輌開発エンジニア ~番外編~

進路のミカタ / 2018年7月12日 12時3分

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自動車事故防止などについて研究している米国道路安全保険協会(IIHS)は毎年、世界で発売されたモデルを対象に安全性評価試験を行い、安全性の高い車を発表しています。2017年12月に発表されたのは62車種。その半数が日本のメーカーが製造した車でした。

トヨタ自動車で車の開発を統括する「Zチーム」と呼ばれる部署の責任者である金子將一(しょういち)さんに、車の安全性や性能の向上に関わる仕事をする車輌開発エンジニアの仕事について教えていただきました。

■技術には終わりがなく、常に進化し続ける

――車輌開発を統括する「Zチーム」とはどんな部署なのでしょうか?

技術系部門の中の設計に関わる部署は、設計する場所によって、例えばボディなら「B」、シャシー(*1)は「C」、エンジンは「E」と呼ばれています。「Z」はアルファベットの最後の文字です。つまり、「Z」は車輌開発の最後の決定をする部署を意味しているのです。「この先進んでいこう!」と決定するのも「Z」、「残念ながらあきらめるしかない」と判断するのも「Z」です。

車の開発の流れに携わるさまざまな部署を横串とすると、車に最後までついて行く一本筋の通った縦串が「Z」です。車輌開発に関わる多数の部署を統括する、非常に責任が重い部署になります。プリウスにはプリウスの「Z」があり、カローラやレクサスにもそれぞれの「Z」が存在しています。

*1 シャシー:車のエンジンやボディ部分を除いた足回り機構などのパーツ全体のこと。


――これまで車輌開発エンジニアとして関わってこられた車の中で印象深い車について教えてください。

Zチームに来て最初に関わったイプサムというミニバン、そして現在関わっているプリウスが印象深いです。
イプサムに関わっていたのは1990年代後半で、Zチームに配属され夢中になって仕事に没頭していた若い頃の自分を思い出します。その頃の気持ちをずっと忘れたくないと思っています。

当時、イプサムのようなファミリー向けのミニバンは、運転していて楽しい車ではないという評価が一般的でした。私が主に担当していたのは、操縦安定性と乗り心地といった相反する性能の両立についてで、「ミニバンだって楽しく走りたい」といった声に応えるためにこだわって開発を進めたところ、人気の自動車雑誌などに高く評価していただき非常にうれしかったことを覚えています。

私も自分が開発したイプサムを買いました。3人の子どもがまだ小さく家族でミニバンを使う時期で、自分が作った車に家族が乗ってくれたとても幸せな印象が残る車です。

プリウスはトヨタ自動車の車輌の中でも重要な位置にあり、グローバルに販売されています。19年間のZチームの生活の中で一番長く関わっている車で、私が主に担当するプリウスPHVは、エコカーの中でも最先端といえるシステムを持っています。技術の進歩には終わりがありません。世代を重ねるごとに高度で最先端の技術の世界に入り込んでいくわけですが、今、その先端に位置する車の開発に関われていることはとても印象深いものがあります。

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