今住宅ローンを組むか、老後に一括か?マイホーム購入のタイミング

MONEYPLUS / 2019年5月1日 18時30分

写真

今住宅ローンを組むか、老後に一括か?マイホーム購入のタイミング

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、マイホームの購入時期について悩んでいる44歳の主婦。利息の支払いに抵抗があるため、夫の定年後に一括購入を考えていますが、友人に低金利で住宅ローン控除が使える今が買い時だと言われ迷っているといいます。FPの鈴木さや子氏がお答えします。

住宅の購入時期で悩んでおります。今は会社より家賃補助が出ているので住居費は抑えられていますが、いずれは住宅購入を希望しております。現在、住宅購入資金、iDeCo、つみたてNISA、生活予備資金に分けて貯金をしております。


住宅購入資金としては、1800万~2000万円程度を目標にしています。 購入時期については、終の棲家についてじっくり考えたいという点や、借金や利息の支払いにとても抵抗感を持っている点から、主人の定年後に現金一括払いで購入できればと考えております。しかし、この話を友人や知人にすると「今は低金利だし、団信や住宅ローン控除も使えるし、どうせ家を買う予定なら今からローンを組んで買った方が良い」と言われます。


確かに今後、給料の上昇や退職金はあてにならない(私も病気のため正社員で働くのは難しい状況です)中で、老後の生活資金を貯めつつ、住宅資金も貯められるのか不安に思う部分はあります。それであれば、低金利のうちにローンを組んで購入した方が良いのか、あるいは、子供がいない(予定もない)ので、購入せずに高齢者施設の入居費用としてとっておく方が良いのかもと考えたりします。


老後の生活も見据えたうえで、どのような方法を取るのがよりベターでしょうか? アドバイスのほどどうぞよろしくお願いいたします。


〈相談者プロフィール〉
・女性、44歳、既婚(夫:会社員)、子供なし
・職業:パート
・居住形態:賃貸
・手取りの世帯月収:39.8万円
(夫29.8万円、妻10万円)
・毎月の支出目安:25万円
・貯金:1700万円
・投資:約460万円


鈴木: こんにちは。ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子です。マイホームをいつ買うのが正解かを悩んでいらっしゃるのですね。マイホームは一生で最も大きな買い物のひとつですから、物件だけでなく購入タイミングもじっくり考えることが大切です。今の自分たちにとって良い方向性は何かを考えるポイントをお伝えします。

まずは「希望していること」を整理する

購入のタイミングを考える際、まず大事にしたいのは自分たちの希望は何かを整理することです。ご相談者様の希望していることをまとめてみました。

【現時点で希望していることリスト】
・いつかマイホームは欲しい
・そのマイホームに一生住む予定
・マイホームはじっくり時間をかけて選びたい
・借金や利息を払うのは嫌であり、現金一括で払いたい

こうして整理してみると、「時間をかけてマイホームを選びたいし、ローンは組みたくないから、お金を貯めて定年後に一括で払ってマイホームを手に入れたい」ことが明確であり、ご相談者様もしっかりご自身の気持ちをわかっているようです。ところが、ご友人などからかけられる「早く買った方が良い」という言葉に悩んでしまうということは、希望は明確ではあるものの、「今買わない」リスクをできるだけ回避したいということでしょう。

そこで、次に「今買うこと」と「定年後に一括で買うこと」それぞれのちがいを考えていきましょう。

「今」と「定年後」購入のタイミングで異なること

1.資金面

ローンを組むことに大きな抵抗を感じていらっしゃいますので、まず資金面でどんなちがいがあるかを見ていきましょう。物件価格2000万円の住宅を、ローンを組んで買った場合と、定年後に一括で買った場合で試算してみます。

<1.今ローンを組んで買った場合>
・頭金:500万円(+手数料等50万円)
・借入金額:1500万円
・借入期間:20年
・金利:1.3%

表1

10年以上の住宅ローンを組むと、住宅ローン減税が受けられます。住宅ローン減税は、借入金年末残高×1%の金額が10年間税額控除として、直接所得税から引いてもらえる制度です。このケースの場合、10年間の合計減税額は約115万円となり、総支払額からひいた総負担額は、21,392,400円となります。また、住宅ローン減税は消費税増税後に拡充が予定されており、もし増税後に購入する場合はさらに減税額が増えます(もちろん同物件であれば、建物部分にかかる消費税分については負担増ですが)。

<2.定年後に一括で買った場合>
物件価格2000万円が総負担額となります(消費税等変動は考慮していません)。

資金面でのちがいは、同条件で買った場合、ローンを借りた方が約139万円負担が大きくなります。しかし、この差額は、繰上げ返済をすることによってもっと小さくすることが可能です。たとえば、繰り上げ返済分として、月3万円を貯金して毎年36万円を繰り上げると、総負担額は約2092万円まで下げられ、差額は約92万円に。ただし、定年後までの20年近くで税制(消費税・ローン減税など)が大きく変わることもあり得るため、負担額がどう変わるかが読めないというリスクがあります。

また忘れてはいけないのは、今負担されている賃貸住宅の家賃です。もし月10万円とした場合、60歳までの16年間の総支払家賃は1920万円。住宅購入資金として予定されている2000万円とさほど変わらないということになり、マイホームが欲しいという気持ちが強いのであれば、家賃分を返済にあてられることは購入の後押しになるかと思います。もちろん借入住宅等で家賃が2万円など低い場合は、じっくり選ぶための資金と考えることもできるかもしれません。

2.メリットとデメリット

資金面も含めたメリットとデメリットをまとめましょう。
表2

2つの選択肢とも、メリットもデメリットもありますが、「今」と「将来」の選択を比較するときに大きなリスクとなるのは、「将来」までに何があるかわからないということ。ローンを組んだ場合は返済中に収入が減るリスクや転居をせざるを得なくなるリスクが、定年後一括購入の場合は、それまでに貯められないリスクや物件相場が上がるリスクなどがあります。

一口に「これがベスト」とは言えないため、ご相談者様の「一番優先したいことが何か」を糸口に考えていくと良いと思います。

一番優先したいことは何か考える

冒頭にまとめた「希望リスト」のうち、一番優先したいことは何でしょうか。

もし「マイホームが欲しい」であれば、今後のリスクに備えながら、なるべく早く購入に踏み切るのも良いでしょう。たとえば、転居リスクがあるのであれば「売却した時に資産価値が落ちづらい物件」を選ぶようにしたり、返済中の家計変動リスクがあるのならば「無謀に高い物件は避け、できるだけ頭金を入れ返済額を下げる」「返済中はリスクに備えて貯金を続ける」といった対策ができます。

また、もし「借入はどうしてもイヤ」であるのならば、このまま定年後購入に向けて貯金を続けるのが良いでしょう。その際、老後資金として貯められているiDeCoやつみたてNISAでどのくらい準備できるのかも考え、老後資金も計画的に貯めましょう。以下の表のように現状をまとめると良いですね。

表3

優先したいことは何かを考え、それぞれの選択肢のメリットとデメリットを考えながら、ご相談者様が「こうしてよかった!」と思えるような選択ができるよう願っています。

(鈴木さや子)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング