iDeCoの受け取り、主婦でも"退職金"扱いになるのはなぜ?

MONEYPLUS / 2019年6月16日 18時0分

写真

iDeCoの受け取り、主婦でも"退職金"扱いになるのはなぜ?

老後の備えとしてiDeCoを始められた方もいらっしゃるかと思いますが、受け取り方によって税金のかかり方が違うのはご存知でしょうか?

今回は専業主婦がiDeCoを受け取る際に押さえておきたいポイントについて一緒に見ていきましょう。


給与収入がない主婦でも退職金扱いになるの?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後資金作りをするためのお得な制度ですが、受け取る時には税金がかかります。iDeCoで運用した資産は、60歳から70歳までの間に「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」で受け取ることになり、受け取り方法は自分で決めます。

たとえば、専業主婦Aさんが40歳から60歳まで毎月2万3,000円の拠出をした場合、拠出額合計は552万円です。年利3%の利回りで運用できた場合、60歳時点で利息は201万6,576円、資産の合計は753万6,576円になります。

ここから運用時にかかる手数料を引きます。加入時の手数料は2,777円、毎月の拠出時にも手数料がかかります。金融機関によって手数料は異なりますが最低167円の20年分とすると 合計は4万2,857円です。手数料を引くと資産合計は749万3,719円 になります。

Aさんの受け取り方法による税金の違いを見ていきましょう。

60歳で一括受け取り、運用次第では税金ゼロのことも

一時金受け取りは税務上「退職所得」となり、優遇措置として「退職所得控除」が適用されます。

退職所得控除とは、会社員などが退職金を受け取った時にマイナスできる控除です。退職金への課税額を計算する際に、勤続年数に応じた退職所得控除を給付額から控除します。

本来、専業主婦は会社員のように退職金を受け取ることはありません。しかし、iDeCoの一時金受け取りには専業主婦でも退職所得控除を利用することができます。その際にはiDeCoの加入年数を勤続年数と同様にカウントします。

課税退職所得金額=(収入金額<iDeCo一時金> — ※退職所得控除額)×1/2

退職所得控除額の計算方法

退職所得控除額の計算方法

Aさんが60歳で一括受け取りした場合、一時金749万3,719円に対して退職所得控除は800万円(40万円×20年)となりマイナスしきれないので、課税退職所得金額は「ゼロ」です。つまり税金はかかりません。

いっぽうで、嬉しいことに運用が上手く行き資産合計が800万円を超える場合には税金がかかることになります。

たとえば利回り4%の運用では資産合計は839万6,646円になり、運用手数料を引いても800万円を超えます。課税所得金額が39万6,646円(839万6,646円—800万円)で試算するとAさんの所得税は1万9,832円(所得税率5%)です。運用次第によって税金を納めることになることがわかります。

年金形式で受け取る場合には納税の可能性が高い

年金形式で受け取る場合には税務上「雑所得」となり、優遇措置として「公的年金等控除」が適用されます。

雑所得の金額=収入(iDeCoの年金額)— 公的年金控除額

公的年金等控除額より一部抜粋

1.60歳から5年間で受け取る場合 納税額は年間約3万7,000円

5年間の年金形式で受け取る場合には、年間149万8,743円、雑所得の金額は74万9,058円(149万8,743円-公的年金控除額74万9,685円)になります。

課税額を算出するには雑所得に所得税率5%を乗じるので、所得税は3万7,452円となり5年間で合計納税額は18万7,260円です。

2.60歳から10年間で受け取る場合 納税額は年間約1万7,000円

10年間の年金形式で受け取る場合は年間74万9,371円になります。その際、60歳から64歳までと65歳以上では税金の計算方法が異なります。

64歳までは雑所得4万9,371円(74万9,371円−公的年金控除額70万円)に所得税率5%を乗じて2,468円の所得税を納めることになります。65歳以上になると老齢基礎年金・老齢厚生年金と合わせた金額から公的年金控除額を引くことになります。

Aさんの老齢基礎年金・老齢厚生年金は年額80万円、iDeCoの受取額と合わせると154万9,371円です。所得税額は1万7,468円(154万9,371円-120万円に所得税率5%を乗じる)、10年間の所得税は合計で17万4,680円になります。

年金形式で受け取る場合には一時金受け取りと比べて所得税を収める可能性が高いと言えます。なお、今回は以下の条件で計算をしました。

※60歳以降は元本確保型で運用とする
※老齢基礎年金・老齢厚生年金の受け取りは65歳から
※雑所得はiDeCoのみ

一時金と年金の併用もあり

iDeCoの受け取りは一時金と年金形式の併用も可能です。

たとえば、運用が上手くいった際には資産総額が800万円を超える部分について年金受け取りにするのも一考です。ただし、税金がかかるということ以外に重要なことがあります。それは、家計のキャッシュフローを長持ちさせることです。

たとえば会社員で60歳以後の収入減少があり家計が厳しいのであれば、65歳の年金開始前までに一時金か年金形式、あるいは併用で受け取る選択もあるでしょう。

重要なのは、家計全体の中から受け取り方法を決めて、その次に納める税金が少ない方法を考えていただきたいと思います。特に50代になった方は、機会をみて夫婦でiDeCo受け取りの出口戦略を話し合っておきたいものですね。

(三原由紀)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング