6月の金融市場で「7日」と「19日」が要注目のワケ

MONEYPLUS / 2019年6月7日 6時0分

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6月の金融市場で「7日」と「19日」が要注目のワケ

10連休後の株式市場は下落でスタートし、その後もジリ貧の展開が続いています。6月5日の相場は少し戻しましたが、4月以前の水準に戻るほどの勢いは感じられません。市場心理が後退して起きる「リスクオフ」という現象が起きているようです。

一番の原因は米中貿易摩擦ですが、他にも複数の要因が重なっています。6月に入ってからの一段の下落には、米国の利下げへの思惑があるように感じます。少し掘り下げてみたいと思います。


リスクオフは金利低下・円高と同時並行

リスクオフは、ショッキングな出来事やニュースなどをキッカケに起きる現象です。紛争や政策発表などの具体的なアクションもあれば、政府要人の発言や憶測記事だけでも発生します。そして、景気や企業業績に直接影響がある場合も、まったく関係がなさそうな場合もあります。

前者で言えば、EU(欧州連合)離脱に関する英国国民選挙(2016年)やアップルの下方修正(今年1月)がそうです。一方、北朝鮮のミサイル発射や核実験などが後者に該当します。

市場心理の変化なので、事前に想定されていなかったサプライズを呼ぶ材料に大きく反応しやすい傾向にあります。たとえば米中貿易摩擦の場合、相互の追加制裁関税の発表も、3回目、4回目となるにしたがって反応が小さくなる傾向にあるものの、仮に4回目が想定外だった場合には改めて大きく反応することもあります。

市場がリスクオフに動いた場合、株式や原油などの価格変動が大きいリスク資産が売られ、債券や金などの価格が比較的安定している安全資産が買われる傾向にあります。

また、「有事のドル買い」「有事の円買い」などと呼ばれて、米ドルと日本円が買われやすく、ドル高・円高となるのも特徴です。米ドルと円との間では、近年は円のほうが強く、米ドルに対して円高となることが増えています。

主な指標

連休直前の4月26日と6月5日(海外は4日)の終値を比べると、リスク資産では、日経平均株価▲6.6%、NYダウ平均▲4.6%、NY原油価格▲14.8%とそれぞれ下落しています。一方の安全資産は、金価格が3.1%上昇し、米長期金利と国内長期金利も低下しました。為替レートも米ドルとユーロもどちらも円高になっており、典型的なリスクオフといえるでしょう。

米中摩擦懸念に米利下げ期待が上乗せ

今回のリスクオフの最大の要因は米中貿易摩擦でしょう。連休前は、貿易協議の最終合意への期待から、日米ともに株価が上昇していました。それが、連休中に米政府が対中国追加制裁関税を発表、さらに中国通信機器大手ファーウェイ向け輸出禁止も発表されたことで、金融市場は一気にリスクオフに傾きました。

ほかにも、テリーザ・メイ英首相の辞任、欧州議会選の中道2大勢力の過半数割れ、米国の対イラン追加制裁と対メキシコ関税引き上げ、中国景気指標のさらなる減速、イタリア財政問題の再浮上、アジア・オセアニア諸国の政策金利引き下げなど、マイナス方向の材料が次々に出てきたことで、リスクオフの流れが続いた印象です。

5月後半の株価は一進一退の印象でしたが、5月末から6月に入り、もう一段の下落となりました。ここで大きく低下していたのが米長期金利です。日米の金利差が縮小したことで、円高も誘発されました。

これには、米政策金利引き下げへの期待が急速に高まったことが背景にあると思います。米FRB(連邦準備制度理事会)は、2015年12月から続けてきた利上げを、3月にいったん先送りするとしていました。これが再び利下げ方向に向かうとの期待が台頭してきたわけです。

米雇用統計(7日)とFOMC(19日)に注目

さきほどリストアップした米中貿易摩擦をはじめとする懸念事項の多くは、1年以上前から続いている話です。トルコ問題や北朝鮮問題も同じ。少しずつ新たな話が加わったかもしれませんが、同じ懸念の延長線上の話です。

そして、いずれも解決の見通しはありません。おそらくどれもあと数ヵ月、いや数年にわたり一進一退となる気がします。

その中で、唯一の新しい材料が米利下げです。昨年来の米国景気減速(懸念)という材料の延長線上という見方もできますが、最近まで続いてきた米利上げを反転させる話なので、方向転換という点で新しい局面といえます。そして、6月に唯一変化する可能性のある材料という観点からみて、6月最大の注目材料という見方もできるでしょう。

次回の米FOMC(連邦公開市場委員会)は、19日夜(日本時間)に議長会見が予定されています。実際に利下げをしなくても、会見で利下げに関する言及があるかどうかが注目ポイントとなります。

利下げ実施または言及となれば、もう一段の長期金利安・円高と株安となるか、あるいは市場想定通りとして下げ止まりとなるかでしょう。どちらになるかは、ここから19日までに、さらなる思惑と期待により、米長期金利と為替がどう動くかにもよります。

一方で、利下げもないうえに利下げは検討していないという説明があった場合は、利下げへの期待が剥落する形となり、為替も金利も5月半ばの水準まで戻る可能性があります。株価も同様に5月半ばの水準(日経平均で2万1,200~2万1,500円)に戻る可能性があると思います。

米FRBの政策金利を見通すうえで重要な指標となるのが、7日夜(日本時間)に発表される米雇用統計です。先月までは堅調な結果が続いてきましたが、もし減速の兆しが見られるようであれば、利下げへの期待がさらに高まる可能性が出てきます。

<文:ストラテジスト 田村晋一>

(松井証券 執筆班)

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